はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

エネルギーの眺め

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幸運なことに、数少ない未踏県だった青森県の下北半島を訪問する機会を得た。その移動ルート上にある六ヶ所村で、各種の「エネルギー」が濃厚に集積している眺めを目撃した。写真手前からメガソーラー、火力発電につながる石油備蓄基地、丘陵地に林立する風力発電機群が、尋常ではないスケールで展開している。日本のエネルギー事情とその供給源の立地について考えざるを得ない、衝撃的な光景だ。

昨日から今日にかけて本来の用務のほかに、「六ケ所原燃PRセンター」「東通原子力発電所PR施設トントゥビレッジ」「むつ科学技術館」などを見て回った。あと「恐山霊場」も。うっかり下北半島とエネルギーの関係性についての興味がはじけてしまったわけだが、このような体験がまとめてできる場所の特殊性がそうさせたのだろう。

昨日この場所に来た際は、霧雨のために見通しがきず、やたらと幻想的なソーラーパネル景を体験した。それはそれで印象深かったのだが、奥にある石油タンクや風力発電機を視認することができなかったので、本日の帰り道にしつこく再訪したわけだ。ちなみに、ここを立ち去ろうと移動しはじめた直後に土砂降りに見舞われた。なんのフラグなんだろうかね。

基準とするもの

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小諸で見た、傾斜のある台形の敷地に建つビルの裏側。強い違和感があったのでじっと見ていたら、どんどんクラクラが増幅してきた。一体の建物ではなく、縦方向に細かく分割されているのだろうか、どうもフロアの位置が微妙に異なっているようだ。正面の道路に平行する間取りの部屋もあれば、台形になっている部屋もありそう。窓は完全にフリーダムで、全く統一感がない。

つくられた基準を感じ取ることができない事象は、ついつい不安な気持ちになるけれど、えも言われぬ魅力も感じる。これに近い感覚は、ブータンで体験したことがあるんだよな。つまり、水平・垂直・中心・対称などの「近代の呪縛」からの解放。でもやっぱり少し違う。「巧まざる造形」の魅力は、なかなか言語化できないな。 焦るつもりは全くないけど。

隙間を埋めたい衝動

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誰でも隙間があれば埋めたくなる気分を味わったことがあるだろう。なにかに依存しようとするしょうもない心理状態だ。僕は今、猛烈にそんな状態。なんのことかというと、リリースしたばかりの「はちまドボク地図」の隙間を埋めたい衝動に駆られている。どうやっても埋まるわけないし、いきなり旅に出るわけにも行かないので、前回のシベリアの写真と同じように、インドに行ったときの写真から位置を特定してみた。

そこは中国雲南省の標高3000mを越える山脈だった。少数民族地帯かどうかは知らないが、標高2000mを越える斜面に道路が通り、集落が点在していることがわかる。陸路だと、どのようにアプローチするのかさっぱりわからない。このような山地にも人の営みがあり、それを猛スピードで飛ぶ飛行機から眺めることが不思議に思えてくる。

しかしまあ、しばらくは航空機内からのネタを使うことは控えておこう。あまりにも安易な方向で隙間を埋めるのは、中毒になっちゃう気もするし、スマートじゃないもんね。