はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

消える橋

最近、あちこちで長崎の「出島表門橋」が話題になっている。日本の橋梁界で最も権威がある土木学会の「田中賞」も受賞しており、以前から見に行かねばと思っていた歩道橋だ。国指定史跡である出島の復元に関する事業の一環で、ネイ&パートナーズジャパンの…

佐賀の土木展

2018年7月25日(水)から 9月 2日(日)まで、佐賀県立博物館にて『すごいぞ!ボクの土木展』が開催される。佐賀にゆかりのあるクリエーターやアーティストの方々による体験型作品を中心とする、土木を楽しむための展示会だ。小さいお子さまから大きな大人ま…

江戸時代の水システム

唐津湾に注ぎ込む松浦川の中流域に広がる水田地帯に、「桃の川水路」という地味ながらも素晴らしい利水施設がある。佐賀では知らない人がほとんどいないが、佐賀以外ではほとんど知られていない成富兵庫重安(なりどみひょうごしげやす)の手により、江戸時…

過剰水門

1983(昭和58)年に完成した六角川河口堰を見に行くにあたり、台風時の高潮被害から地域を守るための「防潮水門」であることは心得ていた。ところが現地で実物を見てみると、想像をはるかに超えた過剰な雰囲気が施設全体に漂っていてのけぞった。堰幅226.2m…

眼鏡橋両岸暗渠

長崎は見どころがありすぎて困る。数日間の滞在では訪問先を絞り込むことが困難なレベルだ。このため、これまで少し腰が引けていたのだが、このたびチャンスが訪れて一泊することが実現した。その初日、ついでに眼鏡橋くらいは見ておかねばねえと思って、目…

海底観察タワー

玄界灘に面する波戸岬の「唐津市玄海海中展望塔」に立ち寄ってみた。波戸岬は「日本本土最北西端」なんだそうな。そんなこと言われても全くピンとこないが、高らかに一番を名乗る姿勢は尊重したいね。 あたかも水族館のように海底約7mの様子を観察する体験は…

コンテナ島と港まんが

米朝首脳会談が開かれるシンガポールのセントーサ島は、カジノやテーマパークなどもあるリゾートアイランドだ。本島とは築堤上の道路とモノレールで接続されているので、警備がしやすいことで選定されたのだろう。個人的には、本島とセントーサ島の間にある…

室外機コレクション

先月の上海訪問でも、いくつか室外機コレクションを鑑賞した。自分史上、上海と室外機は切っても切れない関係にあるのだ。上の物件は、個別の室外機のバリエーションが豊富で、配置には粗密があるというのに、全体的に整った伸びやかな印象をもたらしてくれ…

群生するプランター

既報の通り上海の都市内ジャンクションは見事な密度感であるが、大量のプランターによる緑化も見逃せないポイント。本ブログでたびたび取り上げている「緑化とは何か」問題を、ガツンと突きつけられる。 高速で走行する車から草花を鑑賞するためとも思えない…

ドナドナ城

上海訪問の大きな目的のひとつは、コンクリートのただならぬ重厚感を漂わせながら、オシャレな店舗やクリエイティブ関連のオフィスなどが入っている1933老場坊という施設を尋ねることだった。ここは何と、租界時代にイギリス人建築家によってつくられた、当…

みっちりジャンクション

上海の延安高架路と南北高架路が交差するとてつもなく高密度なジャンクション。名前は少し調べただけでは出てこなかった。中心には龍のレリーフをまとった橋脚が様々な方向に腕を出して、あたかも曲芸のように4層に重なる桁を支持している。どこに目をやれば…

SF都市

上海で未来の街を見てきた。あのザハ・ハディドが手がけた、巨大オフィスビル群「凌空SOHO」だ。あまりにも強烈なクセを有するこの空間は、あの手この手でケチをつけようとする人が極めて多いだろう。自分の理解を超えるものに対しては、どうしても警戒しち…

上海再訪

2016年に六本木の21_21 DESIGN SIGHTで開催された「土木展」が、なんと上海に巡回している。オリジナルの展示には僕もそれなりに関与したし、今回の巡回展にも作品をこっそり展示させていただいているので、なんとか現地に見に行きたいと思っていた。ずっと…

段差の更新履歴

職場の近所を通る私鉄の切土区間にある跨線橋。鉄道の建築限界をクリアするために、少々無理をしながら路面位置が持ち上げてられている。この様子には事情が積み重なっているような気がして、個人的にはがっちり心をつかまれた。そこで現状を観察しながら、…

昇降グラデーション

大阪湾の高潮から市街地を守る木津川水門。アーチ状の巨大バイザーゲートを有する、強烈なインパクトがある1970年につくられた構造物だ。大胆な構造システムや近未来的な造形テイストなどからしてみると、1960年につくられたオランダのハーゲスタイン水門を…

技術革新が奪った仕事

先日FBを見ていたら、友人が近所の廃料金所ブースを紹介していた。この近くはたまに通っていたはずなのに、いままで気付かなかった。自分の不明にちょっとした悔しさを抱きつつ、あらためて通勤時に寄り道してみた。 実際に稼働している自動精算機レーンの隣…

再建へのステップ

甚大な被害が生じた熊本地震から丸2年。当時を振り返りつつ現状を伝える報道の中で、復旧が急ピッチで進められている熊本城の天守閣とともに、全面が足場で囲まれた飯田丸五階櫓の様子も示されていた。被災当初より「奇跡の一本石垣」として多くの人に復興…

アートネイチャー問題

構造物の「緑化」について、Twitterのタイムラインに興味深いコメントがいくつか上がっていた。そのきっかけは、メキシコの高架橋の橋脚をつる性植物で覆うというプロジェクトに関するツイートのようだ。元の記事は環境問題として書かれているのだが、こちら…

レゴの橋

ドイツ西部の都市、ヴッパータールに架かるレゴブリッジ。レゴでつくったミニチュアの橋ではなく、レゴでつくられたようにペイントされたコンクリート橋だ。とても古い鉄道橋で、現在は自転車道となっている。 事前に写真で見ていたとおり、なかなかのインパ…

段差がある水辺

すでに埋め立てられた立売堀が木津川に接続していた場所にある「トコトコダンダン」は、直線的でクールな造形なので、少し取っつきにくい印象があるかもしれない。でも実際に空間を体験すると、とても心地よい。その源泉には、視点の高さの変化による豊かな…

ステキ倉庫

倉庫の壁面って、時間が経つにつれてじわじわくる。立体駐車場がもたらしてくれるモヤモヤに近い感覚。全体的にヒューマンスケールからはずれているのに、ちょっとした隙に親しみが表れるツンデレなところとか、たいへんステキだよねえ。間接的に「人の都合…

三角形の集合体

大正駅の高架ホームからまる見えのダブルワーレントラスの木津川橋梁。先日の岩崎運河橋梁と全く同じスペックの双子橋なのだという。構造や材料に多少の余裕が生じても設計を一回で済ませる姿勢から、単純化や標準化への切実な願望を感じるね。 それにしても…

背の高いトラス

大阪ドーム(京セラドーム大阪)の南側にあるJR大阪環状線の岩崎運河橋梁。先日の大阪訪問時にたまたま見かけて、やたらと背の高いプロポーションにのけぞった。隣に架かる道路橋の4径間桁橋の橋脚がそのシルエットに重なって見えたためか、その奇妙さがより…

パッチワーク物件

大阪の木津川沿いに、たいへん魅力的な物件があった。一体化されている建物なんだと思うけど、増殖し続けているように見える。形状も外壁の素材も窓の位置も階段の配置も、目に入る何もかもが統一されていないので、ワクワク感しか生まれてこない。規模が小…

駐車場鑑賞

クルマは移動することが本質だと考えると、それ以外の時は軽視されやすいってことが理解できる。クルマたちを街の中で一時保管する場所は、ひっそりとしがちで、もちろんそれほどコストをかけてもらえない。だから一カ所に集約して何層にも垂直方向に重ねて…

空中浮遊体験

デュッセルドルフの現代美術館(K21)の吹き抜け空間の最上部にあるトマス・サラセーノのインスタレーションは、想像以上に素晴らしかったな。ロビーから20mほどのに、ワイヤーネットがいくつもの階層に重ねられていて、その上をフワフワと移動できるのだ。 …

愛に重ねた色

ケルンの大聖堂とセットで観光写真に頻繁に登場するホーエンツォレルン橋は、歩道と鉄道を隔てるフェンスが色とりどりの南京錠でみっちり埋め尽くされていた。フェンスに錠前を取り付けて鍵を川に投げ込むという、永遠の愛の証として恋人たちが執り行う謎儀…

ヤンバルの公共建築

ここ数日における名護市長選のニュースに、名護市庁舎がチラチラ映っていた。昨年の夏に沖縄に行ったときに見に行ったので、ちょっとした親近感が湧いてきた。 格子状の全体構成、風通しを徹底した細部、コンクリートを活かした造形、かっこいいねえ。沖縄の…

青い海の人工島

あまりにも寒い日が続いているので、昨夏に行った沖縄の写真を眺めている。すっかり忘れていたけど、那覇空港の沖合の青い海で人工島の埋め立て工事が進められている様子を撮っていた。 これは新滑走路の建設工事なんだろうなあ、たしかに国際線や離島便など…

年の離れた双子

ケルンのダンス場を見に行くときに、観光写真でよく登場する鉄道橋のホーエンツォレルン橋の歩道でライン川を渡った。その際に上流側に架かるドイツァー橋のシルエットを確認し、ふーん3径間の鋼橋か、あそこには隅田川に架かる清洲橋のモデルになった吊橋が…