はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

山の中の塩

お正月にスペインの山中で購入した、とても美味しい「塩」がそろそろ切れそうで困っている。地中の岩塩が溶け込んだ泉からつくられたミネラルたっぷりの塩を、思っていた以上に消費しているのだ。日本での購入も可能なようだけど、ずいぶん高くつくので二の…

青森のオランダ

八戸港の一部をなす新井田川の河口を豪快に跨ぐ八戸大橋は、おそらくこの都市の成り立ちを体感できる適地だろう。橋上をレンタカーで通過した際にそう感じたのだが、わざわざ車を降りて立ち寄るかどうかずいぶん悩んだ。なにしろ滞在時間も限られている状況…

災害列島の心得

つい先週に控えると書いたばかりなのだが、毎年のように発生している豪雨災害がどうしても気になってしまったので、またしても飛行機からの写真を。 昨年の今頃に発生した西日本豪雨からおよそ3週間後に九州方面に行った際、堤防の決壊によって極めて大きな…

エネルギーの眺め

下北半島を訪問する機会を得た。移動ルート上にある六ヶ所村で、各種の「エネルギー」が濃厚に集積している眺めを目撃した。写真手前からメガソーラー、火力発電につながる石油備蓄基地、丘陵地に林立する風力発電機群が、尋常ではないスケールで展開してい…

基準とするもの

小諸で見た、傾斜のある台形の敷地に建つビルの裏側。強い違和感があったのでじっと見ていたら、どんどんクラクラが増幅してきた。一体の建物ではなく、縦方向に細かく分割されているのだろうか、どうもフロアの位置が微妙に異なっているようだ。正面の道路…

隙間を埋めたい衝動

誰でも隙間があれば埋めたくなる気分を味わったことがあるだろう。なにかに依存しようとするしょうもない心理状態だ。僕は今、猛烈にそんな状態。なんのことかというと、リリースしたばかりの「はちまドボク地図」の隙間を埋めたい衝動に駆られている。どう…

重大な地図情報

ついに念願の地図が!! 一部の方からご要望をいただいていた、というか、僕自身がずっと欲しかった「はちまドボク地図」をオープンするに至った。これは本ブログの記事の位置を示したGoogleマイマップ。こんな地図があったらいいなあと今週はじめにツイート…

勾配の可視化

地形の起伏を意識する際には、比較対象となる水平面が存在しているとたいへんわかりやすい。連続した傾斜を持つ実際に近いジオラマ模型よりも、スチレンボードを積層したコンター模型のほうが、地形を読み込む検討には適している。 棚田や段畑のようなスケー…

石切場アパート

アントニ・ガウディによる高級集合住宅「カサ・ミラ」は、外観から細部に至るまで、海をイメージしたという奇抜で緻密な造形で構成されている。僕の写真では少しも伝わらないが、やはりここでもガウディの卓越した造形力が遺憾なく発揮されている。 ところが…

ガウディの教会

アントニ・ガウディの最高傑作とも言われる、バルセロナの郊外サンタ・クローマ・ダ・サルバリョーにあるコロニア・グエル教会。玄武岩の柱状節理をそのまま使った斜めの柱や、レンガのアーチや天井のリブ、有機的な形状からなるステンドグラスや椅子など、…

モダニズムの生い立ち

先週まで国立西洋美術館で行われていた「ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代」は、大型連休の終盤にようやく行くことができた。その内容はモダニズム建築を代表するル・コルビュジエ(シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ)が描いた絵画を軸…

偉大な業績からの

先週、中国生まれのアメリカ人建築家であるイオ・ミン・ペイが亡くなった。なんと102歳だったそうな。彼が手がけた建築は、ルーブル美術館のメイン・エントランスになっているガラスのピラミッドが最も有名かもしれない。というか、活動の中心だったアメリカ…

室外機の新陳代謝

インドのデリーでは、様々な室外機のありようを目撃することができた。たいへんな傑作がいくつもあったが、その中でも秀逸だったのがこの室外機群。ここまで立体的な構成は、なかなかお目にかかれない。自己複製を繰り返すような生命感に満ちている。きっと…

階段井戸

3月にインドに行った際に、たいへん幸運なことに、ニューデリーの高層ビルが建ち並ぶエリアにひょっこり存在する階段井戸「アグラーセン・キ・バオリ」に連れて行っていただいた。地表の風景とのコントラストが凄まじいこの階段井戸からは、インドの構築環境…

トロハの水道橋

スペインの偉大な構造エンジニアであるエドゥアルド・トロハ(Eduardo Torroja, 1899-1961)によるアジオス水道橋(Acueducto de Alloz, 1939)は、たいへん感動的な構造物だった。80年前につくられた軽快でシャープなコンクリート構造物は、構造面や経済面…

秩序の中の自由意志

ニューデリーで出会った衝撃的な室外機コレクション。グリッド状に整えられたブルータル建築のファサードに、室外機が自由奔放に配置されている。よく見ると窓枠や塗装もオリジナリティに溢れているではないか。その様相は、まるでユーザーの使いこなし方の…

喪失感

パリのノートルダム大聖堂で火災が発生し、尖塔や屋根が焼失するというショッキングなニュースとともに、本日の朝を迎えた。人類の至宝が大きく傷ついたことについては、宗教や国が異なるとしても、僕も含めた世界中の人々がなんとも言えない大きな喪失感を…

DIYマインド

先月のニューデリー出張では、毎朝1時間ほどホテルの近所を散歩した。全く観光客などいない住宅地だったので、なんとなく現地の生活を垣間見ることができ、たいへんワクワクする刺激的な時間となった。 そこで衝撃のDIY作工物を見かけた。おそらく大五郎的な…

パラドール体験

「パラドール」とは古城や修道院などをリノベーションしたスペイン国営のホテルのこと。その存在を知ったのはもちろん「水曜どうでしょう」なわけで、いつか泊まりたいなあと密かに思っていた。そこでお正月のスペイン旅行の目的のひとつに設定して、バスク…

給水塔ホテル

千葉高架水槽についてツイートしていたときに、2年ほど前のケルン訪問時に泊まった給水塔リノベホテル「Hotel im Wasserturm」のことをブログに残していないことに気がついた。少々忘れかけているが、写真を見ていろいろ思い出したので、今回あらためてメモ…

水を配る塔

どうにも年度納めができないままにうっかり新年度を迎えてしまいそうで、なんとも冴えない体調が続いている。休日だった今日も朝からぼんやりしていたが、一念発起して以前から気になっていた千葉県水道局による「桜の季節の見学会」に出向いてみた。それは…

職人の筆さばき

ビルバオの横断歩道はとてもユニークだった。おそらく滑り止めとして、道路標示の上に凹凸がつけられているのだが、その文様がことごとくオリジナリティに溢れているのだ。道路標示の職人さんの気質や気分が色濃く反映されているのだろう。ぬかったことに、…

インド

インドという国は、人生観が変わって何度も行きたくなる人か、衛生面や喧噪が全く受け入れられず二度と行きたくなくなる人に二分されるという話を、何度となく聞いていた。その国に、はじめて行ってきた。国際交流基金ニューデリー日本文化センターにて開催…

追悼

今回はいつにも増して、極めて個人的なお話。 ーーーーー ドイツのケンプテンを拠点に活躍していた構造エンジニアで、個人的にも親しい友人だった増渕基さんが、先週の3月5日に急逝しました。残されたご家族のご心痛をお察し申し上げ、ご冥福をお祈り申し上…

建てなかった建築

先日、春日部の外郭放水路を取材した際、浦和の埼玉県立近代美術館で開催されている企画展「インポッシブル・アーキテクチャー もうひとつの建築史」にも行ってきた。ともかく、多少無理して見に行けてよかった。この展覧会から個人的に受け取った、苛立ちや…

防災観光

「地下神殿」で有名な首都圏外郭放水路の第1立坑を、上端部に設置されているキャットウォークから見下ろした様子。直径約30m、高さ約70mの円筒の中にしばらくいると、いつの間にかスケール感を喪失していることに気付く。手がかりにしていた階段工の存在も、…

失った宝物

10年前の今日は、解体へまっしぐらだった蘇我のJFEスチール第5高炉を撮っていた。懐かしいなあ。もう、すっかり跡形もなくなってしまったね。 当時、これを残したいという声は散発的に上がっていたものの、実現にはほど遠い空気だったことを憶えている。今だ…

リフト付き歩道橋

高低差がある街ではときどき、歩道橋付きのリフト、もしくは、リフト付きの歩道橋を見ることがある。ヨーロッパの街ではえらくかっこよく仕立てられてものもしばしば体験できる(例えば、バーデン:緑の中の昇降、ロールシャッハ:駅前エレベーター橋、エッ…

ヤバい建築の本

たいへんヤバい本を入手してしまった。日本人にとっては馴染みが極めて薄いであろう社会主義時代のルーマニアとモルドバにおける、モダニズム建築の写真集「Socialist Modernism in Romania and the Republic of Moldova」とガイドブック「Socialist Moderni…

空飛ぶ橋

これまでにも国内外のさまざまな可動橋を見てきたが、「ビスカヤ橋」を体験したことで、ようやくひとつの到達点にたどり着いた気分になっている。エッフェルの弟子であるアルベルト・パラシオにより設計された吊橋であり、1893年に完成した世界最古の「運搬…