はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

街のおもしろポイント

ときどき、自分の意思とは無関係にセレクトされた地方都市に出張に行くことがある。そんな時には、まち歩きのトレーニングをする機会だと捉えて、現地のことを事前に調べずに乗り込むようにしている。 少し前には、長野市に行ってきた。用務の隙間に1時間ほ…

地球を感じる秘密の穴

若者たちに連れられて、館山にある秘密の地下施設に行ってきた。それは「館山海軍航空隊赤山地下壕跡」という。東京湾の入口に位置する館山には数多くの戦跡があるというが、こんなにすごいものがあるとは知らなかった。 何がすごいって、表面に現れた地層の…

バズワードの効用

ふと気がつくと、9月も中旬になっているではないか。先月下旬に森美術館で開催されている『建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの』へ行き、その時に書きなぐったメモを簡単に整えておかねばと思っていたのに、すっかり時間が経過してしまった。もう一度観…

懸垂姉妹

たいへん画期的な姉妹提携が実現する運びとなった。あの「湘南モノレール」と、あの「ヴッパータール空中鉄道」が姉妹提携を締結するというのだ。懸垂式モノレールファンとしては、この上なくめでたい話。なにしろ僕も昨年、双方の懸垂式モノレールをたっぷ…

5万人の意味

佐賀県立博物館で7月25日からスタートした「すごいぞ!ボクの土木展」は、ちょうど1ヶ月目で入場者数が5万人を突破する見込み(追記(9/3):全期間での最終数は、約6万8千人とのこと!)だという。「土木」という一般的ではない企画テーマで、人口約24万人の…

愛くるしい塔

脳天気に晴れ渡った空の元で、たいへん夏らしい港の風景を撮ることができた。しかし、その主役たる博多ポートタワーは、頭でっかちで短足というなんとも垢抜けないフォルム。中心にはごついエレベーターシャフトがあって透過性も何もないし。つまり、タワー…

防空壕にて

先日長崎を訪れたとき、急斜面に広がる住宅地を少しだけ散策した。その際、何とも重々しい雰囲気を放つ緑地が目に止まった。そこは「長崎県防空本部跡(立山防空壕)」と示され、内部も一般公開されているということなので、ドキドキしながら立ち寄った。 19…

乗り越える

このところ気持ちが沈むんだりイライラが募るニュースばかりで、未来に対する気持ちがうっかり萎えてしまう。でも今日は、しっかり踏ん張らなきゃなあと考えさせられる日だった。人災も天災も、乗り越えていかねば。

佐賀の水の礎

佐賀平野は水に恵まれているわけではない。むしろ「照れば渇水、降れば洪水」と呼ばれてきた厳しい状況だ。広大な農地を潤し続ける水源を持つほどの大きな山はないし、干満差が大きい有明海は水害の被害をもたらすこともある。そんな環境の中で、人々は創意…

特殊なアウトプット

長崎の出島表門橋は、とても微妙なバランスで成り立っている。 出島側は土地自体がほぼ国指定史跡の遺構なので、橋台を置くことができない。このため桁は、浮かび上がらんばかりに優しくタッチするだけになるよう、江戸町側の橋台をカウンターウェイトとする…

消える橋

最近、あちこちで長崎の「出島表門橋」が話題になっている。日本の橋梁界で最も権威がある土木学会の「田中賞」も受賞しており、以前から見に行かねばと思っていた歩道橋だ。国指定史跡である出島の復元に関する事業の一環で、ネイ&パートナーズジャパンの…

佐賀の土木展

2018年7月25日(水)から 9月 2日(日)まで、佐賀県立博物館にて『すごいぞ!ボクの土木展』が開催される。佐賀にゆかりのあるクリエーターやアーティストの方々による体験型作品を中心とする、土木を楽しむための展覧会だ。小さいお子さまから大きな大人ま…

江戸時代の水システム

唐津湾に注ぎ込む松浦川の中流域に広がる水田地帯に、「桃の川水路」という地味ながらも素晴らしい利水施設がある。佐賀では知らない人がほとんどいないが、佐賀以外ではほとんど知られていない成富兵庫重安(なりどみひょうごしげやす)の手により、江戸時…

過剰水門

1983(昭和58)年に完成した六角川河口堰を見に行くにあたり、台風時の高潮被害から地域を守るための「防潮水門」であることは心得ていた。ところが現地で実物を見てみると、想像をはるかに超えた過剰な雰囲気が施設全体に漂っていてのけぞった。堰幅226.2m…

眼鏡橋両岸暗渠

長崎は見どころがありすぎて困る。数日間の滞在では訪問先を絞り込むことが困難なレベルだ。このため、これまで少し腰が引けていたのだが、このたびチャンスが訪れて一泊することが実現した。その初日、ついでに眼鏡橋くらいは見ておかねばねえと思って、目…

海底観察タワー

玄界灘に面する波戸岬の「唐津市玄海海中展望塔」に立ち寄ってみた。波戸岬は「日本本土最北西端」なんだそうな。そんなこと言われても全くピンとこないが、高らかに一番を名乗る姿勢は尊重したいね。 あたかも水族館のように海底約7mの様子を観察する体験は…

コンテナ島と港まんが

米朝首脳会談が開かれるシンガポールのセントーサ島は、カジノやテーマパークなどもあるリゾートアイランドだ。本島とは築堤上の道路とモノレールで接続されているので、警備がしやすいことで選定されたのだろう。個人的には、本島とセントーサ島の間にある…

室外機コレクション

先月の上海訪問でも、いくつか室外機コレクションを鑑賞した。自分史上、上海と室外機は切っても切れない関係にあるのだ。上の物件は、個別の室外機のバリエーションが豊富で、配置には粗密があるというのに、全体的に整った伸びやかな印象をもたらしてくれ…

群生するプランター

既報の通り上海の都市内ジャンクションは見事な密度感であるが、大量のプランターによる緑化も見逃せないポイント。本ブログでたびたび取り上げている「緑化とは何か」問題を、ガツンと突きつけられる。 高速で走行する車から草花を鑑賞するためとも思えない…

ドナドナ城

上海訪問の大きな目的のひとつは、コンクリートのただならぬ重厚感を漂わせながら、オシャレな店舗やクリエイティブ関連のオフィスなどが入っている1933老場坊という施設を尋ねることだった。ここは何と、租界時代にイギリス人建築家によってつくられた、当…

みっちりジャンクション

上海の延安高架路と南北高架路が交差するとてつもなく高密度なジャンクション。名前は少し調べただけでは出てこなかった。中心には龍のレリーフをまとった橋脚が様々な方向に腕を出して、あたかも曲芸のように4層に重なる桁を支持している。どこに目をやれば…

SF都市

上海で未来の街を見てきた。あのザハ・ハディドが手がけた、巨大オフィスビル群「凌空SOHO」だ。あまりにも強烈なクセを有するこの空間は、あの手この手でケチをつけようとする人が極めて多いだろう。自分の理解を超えるものに対しては、どうしても警戒しち…

上海再訪

2016年に六本木の21_21 DESIGN SIGHTで開催された「土木展」が、なんと上海に巡回している。オリジナルの展示には僕もそれなりに関与したし、今回の巡回展にも作品をこっそり展示させていただいているので、なんとか現地に見に行きたいと思っていた。ずっと…

段差の更新履歴

職場の近所を通る私鉄の切土区間にある跨線橋。鉄道の建築限界をクリアするために、少々無理をしながら路面位置が持ち上げてられている。この様子には事情が積み重なっているような気がして、個人的にはがっちり心をつかまれた。そこで現状を観察しながら、…

昇降グラデーション

大阪湾の高潮から市街地を守る木津川水門。アーチ状の巨大バイザーゲートを有する、強烈なインパクトがある1970年につくられた構造物だ。大胆な構造システムや近未来的な造形テイストなどからしてみると、1960年につくられたオランダのハーゲスタイン水門を…

技術革新が奪った仕事

先日FBを見ていたら、友人が近所の廃料金所ブースを紹介していた。この近くはたまに通っていたはずなのに、いままで気付かなかった。自分の不明にちょっとした悔しさを抱きつつ、あらためて通勤時に寄り道してみた。 実際に稼働している自動精算機レーンの隣…

再建へのステップ

甚大な被害が生じた熊本地震から丸2年。当時を振り返りつつ現状を伝える報道の中で、復旧が急ピッチで進められている熊本城の天守閣とともに、全面が足場で囲まれた飯田丸五階櫓の様子も示されていた。被災当初より「奇跡の一本石垣」として多くの人に復興…

アートネイチャー問題

構造物の「緑化」について、Twitterのタイムラインに興味深いコメントがいくつか上がっていた。そのきっかけは、メキシコの高架橋の橋脚をつる性植物で覆うというプロジェクトに関するツイートのようだ。元の記事は環境問題として書かれているのだが、こちら…

レゴの橋

ドイツ西部の都市、ヴッパータールに架かるレゴブリッジ。レゴでつくったミニチュアの橋ではなく、レゴでつくられたようにペイントされたコンクリート橋だ。とても古い鉄道橋で、現在は自転車道となっている。 事前に写真で見ていたとおり、なかなかのインパ…

段差がある水辺

すでに埋め立てられた立売堀が木津川に接続していた場所にある「トコトコダンダン」は、直線的でクールな造形なので、少し取っつきにくい印象があるかもしれない。でも実際に空間を体験すると、とても心地よい。その源泉には、視点の高さの変化による豊かな…