はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

ペデ

本当のチェーンブリッジ

チェーンブリッジと言えば、ハンガリーのブダペストを貫流するドナウ川に架かる吊橋「セーチェーニ鎖橋」。いつか見に行きたい。それはさておき、ブータンでは鉄の鎖そのものに金網を載せて、それらを針金で結束するという、まるでアスレチック遊具のような…

南国の空中歩廊

今年の年始に行った2度目のシンガポールでは、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイの上空に架かる吊橋「スカイウォーク」を体験することができた。前回は意気込んで現地まで行ったのに、風雨のため直前で閉鎖されてしまったため、ようやく念願が叶ったことになる。 …

自然を引用した楕円

スイスアルプスの渓流沿いを歩くトレッキングコース「Trutg dil Flem」には、ユルグ・コンツェットが設計した7つの歩道橋が架けられている。それらの橋は美しい渓流を様々な角度から楽しみ尽くすための重要な視点場として設えられており、それらの橋自体が…

世界的な歩道橋

数年前に九州に行った際の写真をほじくり返す機会があったので、その最中に大事な橋を再発見した。川口衞が設計した、別府の南立石公園の脇に架かる「イナコスの橋」だ。その構造形式は「サスペンアーチ式不完全トラス構造」とされているが、正直なところ僕…

悪魔の橋

昔から人は自分が理解できないものを、神や悪魔の仕業として位置付けようとする。どうにもならない難所に超絶テクニックを用いて架けられたことで、「悪魔の橋」と呼ばれる橋梁は世界中にあるだろう。有名どころでは、スイスのゴッタルド峠の近くに架かる橋…

繊細なトラスが架かる街

僕がドボク旅行を計画する際には、ぜひとも行きたいという大きなアンカーポイントを最初に設定し、それらを結ぶように周辺地域のサブコンテンツを探していくという方法を採っている。オーストリアのフェルトキルヒという街は、そんな中で経由地としてピック…

薄い板

スイスのフライエンバッハという街の南にある、高速道路の上空に架けられたビルヒェルヴァイト(Bircherweid)歩道橋。高低差がある場所を驚異的に薄い板だけの構造物は、なんと1965年につくられた世界初の吊床版歩道橋だという。少々道に迷いながらたどり着…

緑の中の昇降

チューリッヒから電車で15分程度で行けるバーデンという街に、いろいろなミスを重ねてしまって1時間以上かけて到着した。お目当ては、市街地とリマト川の高低差を解消するリフト付き歩道橋。駅前の傾斜地につくられた人工地盤に接続している。 茶色のトラス…

駅前エレベーター橋

ボーデン湖畔のロールシャッハという街に、駅と駅裏の住宅地との高低差を解消するリフト付き歩道橋があるというので行ってみた。これが、ミニマルで雑味がない造形と仕上げの中に知的な色気を織り交ぜるという、いかにもスイスっぽいかっこよさを存分に体現…

風変わりなトラス橋

オーストリア西端エリアのブルーデンツの街はずれに架かる、Alfenz Bridgeという風変わりなコンクリートトラス橋。先日紹介したSchanerloch Bridgeと同様に、Marte.Marte Architektenという設計事務所が手がけている。 河川の合流部に架けられているためか、…

技術の重ね方

スイスのViamala渓谷に架かる吊床版橋のPunt da Suransuns。それぞれの部材が、恐ろしいまでに薄く、細く、単純。構造家のユルグ・コンツェットが手がけた橋梁は、ギョッとするほど極端に研ぎ澄まされたミニマル・デザインであり、その意味を理解して受け止…

アウトドア派の階段橋

5年前にスイスを訪問した際は、主にダムや橋を巡ったために、人里離れた山奥に行くことが多かった。そこでびっくりしたことは、トレッキングやサイクリングなどのアウトドアライフを楽しんでいる方々が、どこに行っても老若男女を問わずたくさんいたこと。 …

味わい深い木橋

愛媛県内子町にある山間の小さな集落に、「田丸橋」という屋根付きの木製歩道橋がある。1944(昭和19)年に架けられた木橋なのに、しっかり現役。構造部材の補修補強や屋根のふき直しなどの手が入りつつ、オリジナルの姿がちゃんと維持されている。雨をしの…

歩道橋付き堰

パリ郊外。セーヌ川に合流する少し手前のマルヌ川に、堰とセットになった「サン・モーリス歩道橋」が架かっている。路面全体が太鼓橋のようになっており、全体的にエレガントな雰囲気が漂っている。装飾も多いし。マルク・ミムラムが手がけた橋を見ると、フ…

国境を越える過剰な橋

マルク・ミムラムがデザインした、歩行者と自転車のための「Passerelle des Deux Rives」という斜張橋。直訳すると「両岸をつなぐ歩道橋」というストレートで当然な意味になっちゃう。まあこれは、ライン川の両岸にあるフランスのストラスブールとドイツのケ…

インテグレーション

先週はローラン・ネイの話を直接伺う機会がいくつもあった。その中で彼は、随所に「インテグレーション」という言葉をちりばめていた。前回に引き続いて、再びアムステルダムのフルハトハーフェン橋(Vluchthavenbrug、2012)を眺めることで、彼の「インテグ…

明確な歩車分離

ものすごく久しぶりに仙台を訪れた。これまで何度も立ち寄ったことはあるのだけど、たいてい目的地ではなく経由地だったので、ほとんど印象がないままだった。今回は少し街を歩いてみようと思い、用務の翌日に時間を確保していたのだが、あいにく雨に降られ…

みんなでつくった黄色い道

先月訪問したロッテルダムでは雨の中、2015年にクラウドファンディングによってつくられたばかりの総延長390mの木製歩道橋「ルフトシンゲル(Luchtsingel)」を鑑賞してきた。25ユーロの出資につき1枚、壁高欄の木材に名前が刻まれているらしい。デジタル的…

モーゼの奇跡の顛末

僕が2011年にオランダを離れてすぐに話題になった(ArchDiaryの記事)濠の水面の下を歩く体験ができるという「モーゼ橋(Moses Bridge)」を観るために、西ブラバント・ウォーター・ラインのFort Roovereという稜堡を訪問した。なんで僕が住んでいるときに完…

バカっぽい浮き橋

オランダ南部にあるベルヘン・オプ・ゾーム(Bergen op Zoom)という港街は、軍事戦略的要衝だったようで、星形要塞の名残がある。そのひとつが18世紀初めにつくられた「Ravelijn op den Zoom」という堀に囲まれた稜堡。1930年に木橋がひとつ架けられたが、…

“a”という歩道橋

大阪の天王寺駅前にかかるペデストリアンデッキ『鮨屋萬助・阿倍野歩道橋』は、なかなかファンキーだった。ネーミングライツによる名称、既設橋の解体が絡む複雑な架設計画、レベルが異なる周辺の建物との接続、線形や幅員が変化する桁と複雑な形状の屋根が一…

言語化が難しい解き方

当然のことながら、『ヨーロッパのドボクを見に行こう』に収録できなかった物件が多数存在している。検討しながら涙を流してカットしたものは、ブログやら講演のスライドやらで紹介することで供養する場合も多い。それでも極めて残念な気持ちを持っているの…

吊られるリング

オランダのアイントホーフェンの町はずれに、ホーフェンリング(Hovenring)という円形自転車専用橋がある。僕がこの街に住んでいた2011年にはまだできていなかったので、昨年のお正月のオランダ旅行の際に、強引に行程にねじ込んで見に行ってきた。 70mのタ…

新しい廃橋

スイスを流れるローヌ川に架かる歩道橋。シエルという街の工業団地付近にある。正式名称がよくわからないので、Structuraeに倣って「イル・ファルコン歩道橋」と呼んでおこうか。1998年完成とのことだが、2011年の夏に訪問した時点でもまだ使われていなかっ…

輪になって踊ろう

フランスの南部を巡ったときにはアヴィニヨンにも立ち寄ったのだが、もっとゆったり味わうべき街だった。ここの歴史地区は世界遺産にも登録されているってのに、ほとんど駆け足でバタバタしちゃっただなんて、実にもったいないよね。でもさすがに「アヴィニ…

脅威の薄さ

昨年の年始のオランダ旅行の際には、ズウォレという街にローラン・ネイが設計したできたばかりの歩道橋「Rodetorenbrug」を見に行った。ネイ事務所のサイトの写真を見ても、その薄さというか軽さというか儚さがCGとしか思えず、実際に見て確かめなければと…

愛せない橋

オランダには、かっこいいのかかっこわるいのかわからないのに、妙に引かれるデザインがたくさんある。つまり、自分の中にある「ものさし」で図ることができない価値を、混乱とともに突きつけられるのだ。それを繰り返していくと、自分の中の「ものさし」が…

軽いアーチ

今年の正月に強行したオランダ紀行では、ナイメーヘンという街に一泊した。翌朝はとりあえずこの街のシンボル的橋梁であるWaalbrugを見に行ったのだが、その近くに架かっている歩道橋を目ざとく見つけ、思わず駆け寄った。 ワンスパンのアーチリブに階段が設…

床版レス歩道橋

橋梁における「床版(しょうばん)」とは、文字通り大地の代替物としての「床」のことであり、彼方と此方を結びつける橋梁の本質の要素とも言える。ちなみに床版を支えるものが「桁」であり、桁を支えるものが「橋脚」や「橋台」と理解しておけばいいだろう…

ダッチっぽい自転車橋

オランダの東部のナイメーヘンという街に、つい最近開通したばかりの長大アーチ橋を見に行ってきた。ベルギーを拠点に活動している構造設計家のローラン・ネイ氏によるものだ。たっぷり時間をかけてその橋を見た後に、次の目的地に移動しようと車を走らせる…