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はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

自然を引用した楕円

スイスアルプスの渓流沿いを歩くトレッキングコース「Trutg dil Flem」には、ユルグ・コンツェットが設計した7つの歩道橋が架けられている。それらの橋は美しい渓流を様々な角度から楽しみ尽くすための重要な視点場として設えられており、それらの橋自体が…

世界的な歩道橋

数年前に九州に行った際の写真をほじくり返す機会があったので、その最中に大事な橋を再発見した。川口衞が設計した、別府の南立石公園の脇に架かる「イナコスの橋」だ。その構造形式は「サスペンアーチ式不完全トラス構造」とされているが、正直なところ僕…

悪魔の橋

昔から人は自分が理解できないものを、神や悪魔の仕業として位置付けようとする。どうにもならない難所に超絶テクニックを用いて架けられたことで、「悪魔の橋」と呼ばれる橋梁は世界中にあるだろう。有名どころでは、スイスのゴッタルド峠の近くに架かる橋…

繊細なトラスが架かる街

僕がドボク旅行を計画する際には、ぜひとも行きたいという大きなアンカーポイントを最初に設定し、それらを結ぶように周辺地域のサブコンテンツを探していくという方法を採っている。オーストリアのフェルトキルヒという街は、そんな中で経由地としてピック…

薄い板

スイスのフライエンバッハという街の南にある、高速道路の上空に架けられたビルヒェルヴァイト(Bircherweid)歩道橋。高低差がある場所を驚異的に薄い板だけの構造物は、なんと1965年につくられた世界初の吊床版歩道橋だという。少々道に迷いながらたどり着…

緑の中の昇降

チューリッヒから電車で15分程度で行けるバーデンという街に、いろいろなミスを重ねてしまって1時間以上かけて到着した。お目当ては、市街地とリマト川の高低差を解消するリフト付き歩道橋。駅前の傾斜地につくられた人工地盤に接続している。 茶色のトラス…

駅前エレベーター橋

ボーデン湖畔のロールシャッハという街に、駅と駅裏の住宅地との高低差を解消するリフト付き歩道橋があるというので行ってみた。これが、ミニマルで雑味がない造形と仕上げの中に知的な色気を織り交ぜるという、いかにもスイスっぽいかっこよさを存分に体現…

風変わりなトラス橋

オーストリア・チロル地方のブルーデンツという街の近くに架かる、Alfenz Bridgeという、風変わりなコンクリートトラス橋。先日紹介したSchanerloch Bridgeと同様に、Marte.Marte Architektenという設計事務所が手がけている。 河川の合流部に架けられている…

技術の重ね方

スイスのViamala渓谷に架かる吊床版橋のPunt da Suransuns。それぞれの部材が、恐ろしいまでに薄く、細く、単純。構造家のユルグ・コンツェットが手がけた橋梁は、ギョッとするほど極端に研ぎ澄まされたミニマル・デザインであり、その意味を理解して受け止…

アウトドア派の階段橋

5年前にスイスを訪問した際は、主にダムや橋を巡ったために、人里離れた山奥に行くことが多かった。そこでびっくりしたことは、トレッキングやサイクリングなどのアウトドアライフを楽しんでいる方々が、どこに行っても老若男女を問わずたくさんいたこと。 …

味わい深い木橋

愛媛県内子町にある山間の小さな集落に、「田丸橋」という屋根付きの木製歩道橋がある。1944(昭和19)年に架けられた木橋なのに、しっかり現役。構造部材の補修補強や屋根のふき直しなどの手が入りつつ、オリジナルの姿がちゃんと維持されている。雨をしの…

歩道橋付き堰

パリ郊外。セーヌ川に合流する少し手前のマルヌ川に、堰とセットになった「サン・モーリス歩道橋」が架かっている。路面全体が太鼓橋のようになっており、全体的にエレガントな雰囲気が漂っている。装飾も多いし。マルク・ミムラムが手がけた橋を見ると、フ…

国境を越える過剰な橋

マルク・ミムラムがデザインした、歩行者と自転車のための「Passerelle des Deux Rives」という斜張橋。直訳すると「両岸をつなぐ歩道橋」というストレートで当然な意味になっちゃう。まあこれは、ライン川の両岸にあるフランスのストラスブールとドイツのケ…

インテグレーション

先週はローラン・ネイの話を直接伺う機会がいくつもあった。その中で彼は、随所に「インテグレーション」という言葉をちりばめていた。前回に引き続いて、再びアムステルダムのフルハトハーフェン橋(Vluchthavenbrug、2012)を眺めることで、彼の「インテグ…

明確な歩車分離

ものすごく久しぶりに仙台を訪れた。これまで何度も立ち寄ったことはあるのだけど、たいてい目的地ではなく経由地だったので、ほとんど印象がないままだった。今回は少し街を歩いてみようと思い、用務の翌日に時間を確保していたのだが、あいにく雨に降られ…

みんなでつくった黄色い道

先月訪問したロッテルダムでは雨の中、2015年にクラウドファンディングによってつくられたばかりの総延長390mの木製歩道橋「ルフトシンゲル(Luchtsingel)」を鑑賞してきた。25ユーロの出資につき1枚、壁高欄の木材に名前が刻まれているらしい。デジタル的…

モーゼの奇跡の顛末

僕が2011年にオランダを離れてすぐに話題になった(ArchDiaryの記事)濠の水面の下を歩く体験ができるという「モーゼ橋(Moses Bridge)」を観るために、西ブラバント・ウォーター・ラインのFort Roovereという稜堡を訪問した。なんで僕が住んでいるときに完…

バカっぽい浮き橋

オランダ南部にあるベルヘン・オプ・ゾーム(Bergen op Zoom)という港街は、軍事戦略的要衝だったようで、星形要塞の名残がある。そのひとつが18世紀初めにつくられた「Ravelijn op den Zoom」という堀に囲まれた稜堡。1930年に木橋がひとつ架けられたが、…

“a”という歩道橋

大阪の天王寺駅前にかかるペデストリアンデッキ『鮨屋萬助・阿倍野歩道橋』は、なかなかファンキーだった。ネーミングライツによる名称、既設橋の解体が絡む複雑な架設計画、レベルが異なる周辺の建物との接続、線形や幅員が変化する桁と複雑な形状の屋根が一…

言語化が難しい解き方

当然のことながら、『ヨーロッパのドボクを見に行こう』に収録できなかった物件が多数存在している。検討しながら涙を流してカットしたものは、ブログやら講演のスライドやらで紹介することで供養する場合も多い。それでも極めて残念な気持ちを持っているの…

吊られるリング

オランダのアイントホーフェンの町はずれに、ホーフェンリング(Hovenring)という円形自転車専用橋がある。僕がこの街に住んでいた2011年にはまだできていなかったので、昨年のお正月のオランダ旅行の際に、強引に行程にねじ込んで見に行ってきた。 70mのタ…

新しい廃橋

スイスを流れるローヌ川に架かる歩道橋。シエルという街の工業団地付近にある。正式名称がよくわからないので、Structuraeに倣って「イル・ファルコン歩道橋」と呼んでおこうか。1998年完成とのことだが、2011年の夏に訪問した時点でもまだ使われていなかっ…

輪になって踊ろう

フランスの南部を巡ったときにはアヴィニヨンにも立ち寄ったのだが、もっとゆったり味わうべき街だった。ここの歴史地区は世界遺産にも登録されているってのに、ほとんど駆け足でバタバタしちゃっただなんて、実にもったいないよね。でもさすがに「アヴィニ…

脅威の薄さ

昨年の年始のオランダ旅行の際には、ズウォレという街にローラン・ネイが設計したできたばかりの歩道橋「Rodetorenbrug」を見に行った。ネイ事務所のサイトの写真を見ても、その薄さというか軽さというか儚さがCGとしか思えず、実際に見て確かめなければと…

愛を注げないおバカ橋

オランダには、かっこいいのかかっこわるいのかわからないのに、妙に引かれるデザインがたくさんある。つまり、自分の中にある「ものさし」で図ることができない価値を、混乱とともに突きつけられるのだ。それを繰り返していくと、自分の中の「ものさし」が…

軽いアーチ

今年の正月に強行したオランダ紀行では、ナイメーヘンという街に一泊した。翌朝はとりあえずこの街のシンボル的橋梁であるWaalbrugを見に行ったのだが、その近くに架かっている歩道橋を目ざとく見つけ、思わず駆け寄った。 ワンスパンのアーチリブに階段が設…

床版レス歩道橋

橋梁における「床版(しょうばん)」とは、文字通り大地の代替物としての「床」のことであり、彼方と此方を結びつける橋梁の本質の要素とも言える。ちなみに床版を支えるものが「桁」であり、桁を支えるものが「橋脚」や「橋台」と理解しておけばいいだろう…

ダッチっぽい自転車橋

オランダの東部のナイメーヘンという街に、つい最近開通したばかりの長大アーチ橋を見に行ってきた。ベルギーを拠点に活動している構造設計家のローラン・ネイ氏によるものだ。たっぷり時間をかけてその橋を見た後に、次の目的地に移動しようと車を走らせる…

古城の軽い橋

カルロ・スカルパが手がけたヴェローナの「カステルヴェッキオ」には度肝を抜かれた。古城を改修した市立美術館なんだけど、動線や空間構成からディテールに至るまで、全く隙のない圧倒的な質の高さを体験することができるので、近くに行くことがあればぜひ…

パリの日本橋

海外に行く際に、見どころを人に尋ねるのは、ごく自然な行動だと思う。そうやって人様に尋ねられると、こちらもよろこんで教えようとするのだけど、時々ハッと我に返ることがある。僕が紹介するラインナップは本当に楽しんでもらえるのだろうか、いくら何で…

ボックス基礎

先日の「切通し交差点」の風景を望む歩道橋の基礎が、なんだかおかしなことになっているよ。久地円筒分水から続く用水の直上に歩道橋が架かけられているために、「ボックスカルバートが基礎」になっているのだ。「ボックスカルバートの基礎」という意味では…

高度な仮橋

牛伏川フランス式階段工の上流に、自衛隊クラスの技術力が駆使されたのであろう、かっこいい仮橋があった。桁はアルミ製梯子。片側にはV字橋脚を延長してつくられた高欄まである。もちろん僕は腰が引けてしまい、渡ることができなかったよ。

余計な雪

昨年末、北九州→宇部→岩国→広島を巡った際に、20年来の念願が叶って「錦帯橋」を参拝することができた。ありがたやありがたや。 しかし当日は寒波が襲来しており、雪が舞う天候だった。こちらは資料としての記録写真を保持したいというのに、雪が画面に入っ…

白くて薄い太鼓

周辺の植生さえそれっぽければ、「これ、スイスの山奥で見かけたきれいな橋だよ」と言ってもそのまま通りそうな橋。アーチ状の薄いコンクリート床版がそのまま構造部材になっていて、ミニマルで緊張感のある見事なフォルムが素敵すぎる。こんな切れ味鋭い構…

ヴェネツィアの赤いアーチ

ヴェネツィアのカナルグランデを跨ぐ4つめの橋は、2008年に架けられたばかり。鉄道と道路のそれぞれの玄関口であるサンタルチア駅とローマ広場を結ぶという極めて重要な位置にある。設計はご存じカラトラバ。 僕の中でカラトラバは空気が読めない、もしくは…

スカルパの橋

ヴェローナという街に行った際に、カステルヴェッキオという古城を改修した市立美術館に立ち寄った。これが予想をはるかに超えた素晴らしい美術館で、とても大きな衝撃を受けた。動線の構成や作品の引き立て方が素晴らしく、素材を巧みに活かした繊細で丁寧…

音楽の橋

今年の5月にローマのテヴェレ川に架けられたばかりの、Ponte della Musicaという鋼アーチ橋。現時点では歩道橋だけど、将来はバスやトラムが通ることを想定しているらしい。 きっちりときれいにまとめられた橋ではあるが、既視感のある構造フォルムやカラー…

コンクリートトラスアーチ

ミラノ市内のナヴィリオ運河に架かる歩道橋。名前はPonte del Dazioのようだが、まだ確証は得られていない。コンクリートのトラスはかなりごつくて、雰囲気の良い運河の中において、過剰なまでの存在感を放っている。それでも部材の角度に微妙な変化をつけて…

同じことの繰り返し

ルール工業地帯のゲルゼンキルヒェンに架かるFootbridge harbour Grimbergの高欄。信じがたい外観はこちら。フェンスの面には簡素な金網を用い、それを上下端のケーブルに張り渡し、ケーブルは端部ですっきり定着させている。極めて簡素なつくりで、極めて透…

非ダッチデザイン

アムステルダムの自転車道に架かる自碇式吊橋のnesciobrug。緩やかなカーブの線形や、断面形状が連続的に変化する鋼箱桁や、シンプルな各部のおさまりなどがすごく素直できれい。流麗で繊細で洗練された印象を受ける。つまり、オランダらしくない。ダッチデ…

渓谷を渡る板

先月のスイス訪問では、重要な巡礼地として東部のViamala渓谷に架かるPunt da Suransunsも参拝した。これはユルグ・コンツェットが設計した吊床版歩道橋で、これまでも何度か噂には聞いていた。なんでもまじめにハイキングをしなければ見ることができないと…

ミニマルブリッジ

ヴァルス村を散歩してたら、あまりにもすてきな歩道橋にばったり出くわして、腰を抜かしそうになった。これは一目惚れってやつだね。 フランジを露出させていない耐候性鋼板の箱桁、ウェブに取り付けられて桁を薄く見せているシンプルな高欄、わずかにウェブ…

ひねり技

ロッテルダム近郊の水路に架かる自転車と歩行者のための橋。とても現代のオランダらしさを感じる。経済的合理性や典型的な美とはまた少し違う方向、ジョークのように見せかけて本気でやるというアプローチ、失敗してもそれほど気にしない寛容さ。いやほんと…

かっこいい技術

マインツの北隣、ヴィースバーデンに架かるスパン約100mのアーチ橋。1967年当時の最新技術である軽量コンクリートを用いたPC構造および両側からの張り出し工法による架設といった点で、技術的にも価値があるらしいのだけど、見た目も非常に素敵。 地覆のライ…

森の中の空中回廊

ヨルグ・シュライヒが設計したシュトゥットガルトにあるケーブルネット構造のLodzer歩道橋は、アプローチ部分も素晴らしい。ここを歩くと、まるで森の木々の間を浮遊しているような不思議体験が得られる。 結構な高低差を長い延長のスロープでつなぐために線…

グレイシュの橋

先日、オランダ南端のマーストリヒトに行ったときに、きれいなアーチ橋を見かけた。構成要素の基本形態とそれらのおさまりがとてもシンプルにまとまっていて、すっきり爽快さわやか系歩道橋といった印象を受けた。 どなたの設計なのかなと気になって調べてみ…

2つのS

ボーフムの工場跡地を活用した公園の端部に、2つの斜めの主塔からS字の桁を片面で吊るリングガーダー橋がある。かなり素敵。結構高い位置で道路と鉄道を軽やかに跨ぐ体験はなかなかのものだ。詳細はこちらからどうぞ。 schlaich bergermann und partner : B…

宙に浮くアール

きれいなカーブを描く鋼箱桁が浮かんでいるこの光景、不思議でしょうがない。エンジニアリングに対する絶対的な信頼がなければ、橋脚のないこの橋を渡ることはできないよね。いやほんと、うっとりするよこの橋。ドイツの橋梁デザインは、本質を突きながらも…

アメンボ

ロンドンのドックランズという再開発地区に架かっている浮き橋。荷重には浮力で抗するため、基礎が省略できてお得になる。流されないように水中にアンカーで固定しているらしいが、当然のことながらそれなりに揺れる。ふわふわした気分で渡れる楽しい橋。か…

ローリング

世の中にはおかしな橋がいくつもあって、このブログでもこれまでたくさん紹介してきたが、ロンドンで見たこの橋は、かなりイっちゃってる。なにしろ、丸まるんだよ、橋なのに。まるまったその姿はまるでダンゴムシのよう。いったい何のために丸めるのか、そ…