はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

ペデ

宙に浮くアール

きれいなカーブを描く鋼箱桁が浮かんでいるこの光景、不思議でしょうがない。エンジニアリングに対する絶対的な信頼がなければ、橋脚のないこの橋を渡ることはできないよね。いやほんと、うっとりするよこの橋。ドイツの橋梁デザインは、本質を突きながらも…

アメンボ

ロンドンのドックランズという再開発地区に架かっている浮き橋。荷重には浮力で抗するため、基礎が省略できてお得になる。流されないように水中にアンカーで固定しているらしいが、当然のことながらそれなりに揺れる。ふわふわした気分で渡れる楽しい橋。か…

ローリング

世の中にはおかしな橋がいくつもあって、このブログでもこれまでたくさん紹介してきたが、ロンドンで見たこの橋は、かなりイっちゃってる。なにしろ、丸まるんだよ、橋なのに。まるまったその姿はまるでダンゴムシのよう。いったい何のために丸めるのか、そ…

ミレニアム

ふと気がつくと2000年からもう12年も経過してしいたが、ようやくこのたびロンドンのミレニアムブリッジを参拝することができた。ミレニアムって響きの浮かれっぷりが少々気恥ずかしくなるのだけど、キリスト教国では極めて特別なイベントだったんだろう。ロ…

極めて高価な爪楊枝

スキポール空港のすぐそばのHaarlemmermeer(タイプミスのような綴りだけど、オランダってこういう地名が多いね)というエリアを貫く水路には、カラトラバの斜張橋が3つも並んでいる。 これらは爪楊枝のような同じ形の斜め主塔で統一されているが、それぞれ…

玄人好みのハイテク橋

ベルギーのVerviersという小さな街に架かる橋長30m、幅員2mのCentner歩道橋。一見したところ小振りで地味な印象なんだけど、一歩踏み込んでじっくり眺めてみると、最新技術が注ぎ込まれたクールな橋であることが感じ取れる。 構造形式はU字断面を持つ鋼下路…

せり上がる吊橋

デュイスブルクの運河に架かるユニークな歩道橋。バックステイのケーブルを油圧シリンダーで引っ張ることでタワーを外側に傾斜させて、運河上のケーブルを引き上げ、桁を太鼓橋のようなアーチ状に持ち上げる。冗談みたいな話だけど、エイプリルフールのネタ…

腹の中

エッシュ歩道橋の内側は、錆止めの色に似た赤で塗装されている。この地域特有の赤土の色を引用しているのだそうな。意を決して巨大生物の体内に取り込まれてみたら、そこには奇妙な安心感があったよ。

使徒、襲来

はじめてネット上でこの歩道橋の写真を見たとき、なにかの冗談かと思った。有機的な白い表皮を持つモノフォルムは、そもそも橋に見えないよね。アニメ好きがつくった良く出来たCGかと思ったのだが、どうやら現実のもののようだ。じっくり見ていくにつれ、徐…

あやとり的輻輳感

アムステルダム中央駅の近くにある音楽ホールMuziekgebouw aan 't IJのアプローチには、面白い橋が架かっている。いくつものケーブルがあやとりのように輻輳している上に、支柱や定着部の形状は連続的に変化していて、独特のリズム感を生み出している。細か…

巻き取り橋

マッチ棒のような頭を持つコンクリート柱に取り付けられた円柱をぐるぐる回して、そこから吊されたワイヤーを巻き取り、桁をリフトアップするという可動歩道橋、Coupure橋。ベルギーのブルッヘ(ブルージュ)という街にあり、スイスの構造家のユルグ・コンツ…

読み解きの必要性

ベルギーのKortrijkという街にあるローラン・ネイが構造デザインを手がけた吊橋、college橋。繊細で危うい緊張感を感じて、美しい女性を見かけたときのようにかなりときめいた。 この橋は、滑らかなS字を描く桁が下がろうとしたり浮き上がろうとしたりねじれ…

クノッケの白い板

日曜日はベルギーを拠点に活動している構造デザイナーのローラン・ネイ氏へのインタビューに同席させていただく機会を得て、ブリュッセルに行ってきた。氏が考える構造・造形・環境・施工などを材料に、どのようなアプローチで料理を仕上げていくのかという…

もう一息感

マーストリヒト郊外の運河にひっそりと架かっている張弦梁構造のBoschpoort橋。いろんなところが凝っていて、かなりがんばっていることは伝わってくるけど、そんなに洗練されているようには見えないんだよね。この手慣れていないちょっと言葉足らずな感じを…

パイソン雑感

「Borneo-Sporenburg Bridges」という両岸の埠頭が入ったまともな名前がつけられているこのまともじゃない橋は、「The Python Bridge」というニックネームも持っている。なるほど、巨大なニシキヘビが僕らを威嚇している姿に見えるね。 この橋を渡ってみると…

一対のバランス

この橋は先日紹介した橋とセットになっている。両者を見比べてみると、こちらの橋のフォルムははじけていなくて面白みが感じられず、そもそも桁下端のラインは不格好だし、ラチスで組まれた側面の傾斜の変化は窮屈な感じで、なんだか拍子抜けしてしまう。つ…

過激な自由

アムステルダム中央駅から東へバスに揺られて約15分、十数年前に行われた湾岸地区の再開発を見に行ってきた。デザインが適度にコントロールされた長屋群による街並みも面白かったのだが、圧巻はボルネオ埠頭とスポーレンブルグ埠頭を結ぶ奇妙な赤い歩道橋。…

写真写りが良くない橋

ブリュッセル郊外の遊歩道にひっそりとたたずむ、ローラン・ネイが設計したStokkel歩道橋。構造力学に対する純度を保ちながらも、とても彫刻的なトラス橋である。緊張感のある美しさを感じて、一目見ただけで気に入ってしまった。 この手の透過性が高く軽量…

デザインのスタンス

新進気鋭の構造設計家ローラン・ネイを中心とするチームが手がけた、ブリュッセル郊外に2001年に架けられたTervuren歩道橋。道路を跨ぐ高い位置の遊歩道橋と、トラムの停車場がある下の歩道のための横断歩道橋の2つの役割を持っている。 複雑な動線を持つに…

セーヌ川最新歩道橋

パリのセーヌ川に架かる一番新しい橋であるSimone-de-Beauvoir歩道橋。「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」という名言を残した、あのボーヴォワールの名前を冠している。知ったかぶりしてみたけど、どんな人かは全く知らない。 右岸側のベルシー公…

繊細な裏側

パリ南東部のCréteilという郊外感にあふれる街に、カラトラバが設計したOudry-Mesly歩道橋を見に行ってきた。メトロ8号線の終着駅から歩いて10分ほどの、高速道路の上に架かる下路アーチ橋である。 この橋は1988年につくられたというから、カラトラバのキャ…

魔法の橋

La Défenseという再開発エリアに架かるValmy歩道橋は、上から吊っているわけでもないのに、こんなに桁がカーブしているのに、柱がほとんどない。まるで魔法がかけられているようだ。あまりの軽快さに渡るのに躊躇する。 この不思議な橋は、ものすごいテクニ…

赤い橋の保存

この八幡橋は先日のエントリでも少し触れたように、技術的にとても貴重なものだ。見た目にもそれが現れていて、見ていて飽きない。なにより、人道橋として現役ってのがすばらしいね。 しかし、大切に扱われているかというと、そうでもないような雰囲気がある…

江東の赤トラス

富岡八幡宮の裏手の、もともとは水路だったとおぼしき遊歩道に、ちょっと変わった赤いトラス橋が架かっている。ふらふら散歩しているときに偶然目にして、なんだなんだと思って橋の下に行き、いくつか設置されているプレートを確認した。それらによると、橋…

なにを跨ぐの

羽田空港のターミナルとスカイアーチの間にある歩道橋。ケーブルトラス構造と薄い床版、X字の平面となめらかな縦断、気の利いた高欄などの付属物などに見られるように、いろいろと手の込んだユニークな橋である。 しかし、なんとも違和感のある不思議なたた…

菊水円形横断歩道橋

およそ40年前の1971年建設された札幌市白石区菊水6条4丁目の六差路に架かる国内初の円形歩道橋。水曜どうでしょうの雅楽戦隊ホワイトストーンズのロケ地としても有名で、来訪者は絶えない。 この橋をなんとか全貌を捉えられないかと思案し、近所の結婚式場…

ぶら下がり歩道橋

もうすぐお正月。ドボク詣をする方々におかれましては、風邪などをお召しにならないよう、防寒対策を忘れずに。僕も大山さんの高架下初詣に参加させていただく予定。ゴール地点は箱崎ジャンクションだ。 箱崎詣に際しては、幾重にも交錯する橋桁の重厚なアン…

リフレイン

この橋の桁裏を見上げてみた様子。とても洗練された造形になっている。 個人的には、部材が連続している様や、それが微妙に変化する様はとても好きだったりする。きれいだよね、淡々と繰り返されているものって。 これは音楽にも通じていて、リフレインが延…

構造デザイン的アプローチ

パリ市内の運河に架かる歩道橋。テンションメンバーによってアーチを描く薄い桁を補剛している。プレファブの鋼桁部を船で運び、コンクリートの脚部に落とし込むという方法によって、極めて短期間に施工したとのこと。 以前、設計者のマルク・ミムラム氏にお…

役割と意味の転換

数年前に韓国の観光地で見かけた歩道橋。なんだか違和感が色濃く漂っている。よく見ると、主塔やケーブルが全くの飾り物。おそらく、こういうことだったんだろう。 「ここの歩道橋は絵葉書になるような橋にしたいなぁ」「だったら、吊橋だよ」「でも、わざわ…