はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

建築

空港見物

スペインのバスク地方の空の玄関口であるビルバオ空港、またの名をソンディカ空港、さらにまたの名をロイウ空港のターミナルビルは、バレンシア地方出身のサンチャゴ・カラトラバが設計したもの。氏が手がけた構造物は、その土地の文脈を読んで最適解を導く…

近江の姉弟

これまでヴォーリズと言う名前は、大阪の大丸心斎橋店本館の建て替えの話題で耳にしていたが、どんな人物なのかを調べたことはなく、戦前の外国人建築家なんだろうという認識を出ることはなかった。ところが、滋賀への出張時にたまたま宿をとった近江八幡の…

ポツダムの塔

昨日は終戦記念日もしくは終戦の日だったので、なんとなく気になって、その成り立ちについて復習してみた。1945(昭和20)年7月26日に米英中により発せられたポツダム宣言を受諾して降伏したのは、2つの原爆が投下されてソ連から宣戦布告がなされた後の8月14…

基準とするもの

小諸で見た、傾斜のある台形の敷地に建つビルの裏側。強い違和感があったのでじっと見ていたら、どんどんクラクラが増幅してきた。一体の建物ではなく、縦方向に細かく分割されているのだろうか、どうもフロアの位置が微妙に異なっているようだ。正面の道路…

石切場アパート

アントニ・ガウディによる高級集合住宅「カサ・ミラ」は、外観から細部に至るまで、海をイメージしたという奇抜で緻密な造形で構成されている。僕の写真では少しも伝わらないが、やはりここでもガウディの卓越した造形力が遺憾なく発揮されている。 ところが…

室外機の新陳代謝

インドのデリーでは、様々な室外機のありようを目撃することができた。たいへんな傑作がいくつもあったが、その中でも秀逸だったのがこの室外機群。ここまで立体的な構成は、なかなかお目にかかれない。自己複製を繰り返すような生命感に満ちている。きっと…

ワイナリーのシエスタ

スペイン高級ワインの産地として有名なリオハ地方は、カンタブリア山脈の南側にある。ビルバオなどの大西洋沿岸のエリアは湿度が高かったのに対して、明らかに乾燥しているように感じた。岩山を背景とするなだらかなに傾斜した高原には見渡す限りブドウ畑が…

試される平衡感覚

自走式立体駐車場に車を止めるとき、なんとなくいつもの感覚からずれてしまい、うまく駐車マスにおさまらないときがある。いろんな要因が重なっていそうだけど、上の写真のような螺旋状の走行路と駐車マスが同一平面にある傾床式駐車場では、それが頻発する…

SF都市

上海で未来の街を見てきた。あのザハ・ハディドが手がけた、巨大オフィスビル群「凌空SOHO」だ。あまりにも強烈なクセを有するこの空間は、あの手この手でケチをつけようとする人が極めて多いだろう。自分の理解を超えるものに対しては、どうしても警戒しち…

パッチワーク物件

大阪の木津川沿いに、たいへん魅力的な物件があった。一体化されている建物なんだと思うけど、増殖し続けているように見える。形状も外壁の素材も窓の位置も階段の配置も、目に入る何もかもが統一されていないので、ワクワク感しか生まれてこない。規模が小…

駐車場鑑賞

クルマは移動することが本質だと考えると、それ以外の時は軽視されやすいってことが理解できる。クルマたちを街の中で一時保管する場所は、ひっそりとしがちで、もちろんそれほどコストをかけてもらえない。だから一カ所に集約して何層にも垂直方向に重ねて…

ヤンバルの公共建築

ここ数日における名護市長選のニュースに、名護市庁舎がチラチラ映っていた。昨年の夏に沖縄に行ったときに見に行ったので、ちょっとした親近感が湧いてきた。 格子状の全体構成、風通しを徹底した細部、コンクリートを活かした造形、かっこいいねえ。沖縄の…

山岳教会

ヴッパータール空中鉄道を訪れるついでに、周辺エリアで見ておきたいものがいくつかあった。そのうちのひとつが、1972年につくられたゴットフリート・ベームによるマリエンドーム・ネヴィゲス(Mariendom Neviges)という巡礼教会。記憶が定かではないけれど…

寄り道のご褒美

先週末は京都大学に行ってきた。その際、なんとなく気になって用務先をあえて通り過ぎてみた。すると、遠くにたいへん興味深い建築物が見えてきて、ものすごくときめいた。あまり時間がなかったこともあり中に入るのは遠慮してしまったが、外側の開放感があ…

水平垂直中心

9月のブータン訪問の最終日には、重要施設である県庁兼寺院の「パロ・ゾン」を訪問した。この巨大な元軍事施設は、もともとあった建物が20世紀初頭に焼失して再建されたものだという。映画「リトル・ブッダ」のロケ地にもなったとのこと。 その荘厳さにはた…

プレキャスト城

岡山県津山市に宿泊した昨日の早朝、津山城郭の一端にある「津山文化センター」までお散歩してきた。アクの強いこの建物が街中にあったらギョッとするだろうけど、街を見下ろすロケーションにはとてもふさわしいと思ったな。 四面すべてを構成しているプレキ…

ただならぬ体育館

先日の佐賀訪問時には、数時間の時間を確保してまち歩きをした。街の中を縦横に走るクリークを中心に見て回っていると、遠くにギザギザした不穏なシルエットが見えた。直感的にこれはヤバいものだとググッと心を掴まれて早足で近づいていくと、折板構造の壁…

レガシー

「レガシー」という言葉はスバルのレガシィが真っ先に思い浮かぶこともあり、オリンピックなどの文脈で使ったことはない。まあその前に、なんとなくではあるけれど、個人的には「遺産」のイメージが先行してしまうので、現役施設に適用することをためらっち…

イタリアの造形

完全な主観ではあるけれど、イタリア人の造形力って特別にすごいと思う。街中に溢れる具象彫刻はもちろん、建築物も、自動車も、彼らが生み出してきた立体物の造形には、ついついうっとりさせられてしまう。 ネルヴィが設計したパラッツェット・デッロ・スポ…

入りたかった体育館

なんとなく体育館ネタが続いているついでに、まだアップしていなかったネタを。 2011年のクリスマスの日に、バチカンのサンピエトロ広場でローマ教皇のお言葉をいただいた後に見に行ったパラロットマティカ(PalaLottomatica)という競技場。1960年のローマ…

三角体育館

丹下健三とタッグを組んで数多くの名建築を生み出した構造家・坪井善勝が、単独で設計した体育館が下関にある。1963(昭和38)年につくられた下関市体育館は、全体を通じて三角形の変奏曲といった雰囲気が生み出されていて、そのフォルムはスター・デストロ…

舟の行方

『100均フリーダム』の著者である内海慶一さんの「唐突感こそが、香川県立体育館らしさなのだと思う。」というツイートを見て、「しまった」と思った。丹下健三によるこの体育館は3年前に立ち寄ったことがあるのだが、屋根構造を反映した奇抜で圧倒的なフォ…

まちの記憶の更新

熊本市役所のすぐ近くのアーケード街にひょっこり姿を現した「ダンメン」が、たいへん見事で感激した。通行人の多い繁華街だったので視線が若干気になったんだけど、しばらく佇んでじっくり鑑賞せざるを得ない迫力だった。 建設以来はじめて露出したであろう…

ドーナツターミナル

ヨーロッパの玄関口のひとつ、パリのシャルルドゴール空港はなにかとチャレンジング。1974年の開港から一貫してポール・アンドリューという土木出身の建築家が手がけており、それぞれ特徴があるターミナルを年代を追って楽しむことができる。 その中でも最も…

ステキ階段

建築空間において、階段はたいへん魅力的な存在だよねえ。表情豊かな造形という点でも、移動による視点の変化でも、昇降するという意味においても。もちろん、建築家はそれを強く意識しながら、腕の見せ所と言わんばかりに力が入りまくるのだろう。チューリ…

バズる室外機

たびたびツイッターなどで室外機について触れているが、まさか1万リツイートを越えるとは予想もしていなかった。5日前にシンガポールで見た、ショップハウスの裏にみっちり貼り付いた室外機群が突然バズったのだ。たしかに、現代的な高層ビル群の背景と、野…

将来対応の角

旭川の繁華街にあるビルの側面に、大量の角(つの)が盛大に飛び出していた。神田明神の近くで見たビルにも似たような角が生えていたなあと思い出したのだが、いまひとつその役割がピンとこなかった。SNSを通じて、複数の方から増築のための仕掛けだろうとい…

駅前ビルの表層

新橋駅前ビル1号館が纏っているテクスチャーは、懐かしい未来感に溢れている。それは、なんとも絶妙な色彩、透明感、素材感がつくり出すグリッド。新橋駅の東側を通るときには、いつもうっとり眺めてしまう。 第一京浜側のフラットな面を眺めて、壮大な矩形…

スナック様式の最高峰

先日、富岡製糸場を再訪した(参照:世界遺産のお手入れ)。その際に市街地を散策したのだが、これがなかなかしびれる街並みだった。なんというか、かつて多くの人々が行き交っていた頃の雑多な猥雑さを思い起こさせる、絶妙な昭和感が残されていたのだ。 そ…

国境の屋根

この夏に通過した、オーストリアとリヒテンシュタインの国境にある施設。やたらと薄くシャープに見える板と、たった2本のやたらと細く見える柱で構成されたキャノピーは、重力に逆らう魔法がかけられているように見える。本体となるガラス張りの施設はスケ…