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はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

形態

イタリアの造形

完全な主観ではあるけれど、イタリア人の造形力って特別にすごいと思う。街中に溢れる具象彫刻はもちろん、建築物も、自動車も、彼らが生み出してきた立体物の造形には、ついついうっとりさせられてしまう。 ネルヴィが設計したパラッツェット・デッロ・スポ…

入りたかった体育館

なんとなく体育館ネタが続いているついでに、まだアップしていなかったネタを。 2011年のクリスマスの日に、バチカンのサンピエトロ広場でローマ教皇のお言葉をいただいた後に見に行ったパラロットマティカ(PalaLottomatica)という競技場。1960年のローマ…

三角体育館

丹下健三とタッグを組んで数多くの名建築を生み出した構造家・坪井善勝が、単独で設計した体育館が下関にある。1963(昭和38)年につくられた下関市体育館は、全体を通じて三角形の変奏曲といった雰囲気が生み出されていて、そのフォルムはスター・デストロ…

地下へのいざない

押上<スカイツリー前>駅のA1出口は、やんわりとしたカーブが見事だよ。先の見通しがきかないことって不安感を抱かせることが多いように思うけど、ここは期待感を持ってしまう。 そういえば地下鉄の出入口って、「出口」と呼ぶのはなんでだろうか。単純に管…

ひねる理由

昨年の夏、オーストリアのドルンビルン川に架かるSchanerloch橋というかっこいいコンクリート橋を見に行った。桁下面がねじられた造形になっていたのだが、現地を観察してもその理由がよくわからなかった。もしかしたらエンジニアリング面での理由はなく、オ…

ドリアンのパターン

総合芸術文化施設のエスプラネード・シアターズ・オン・ザ・ベイは、その特異な見た目から「ドリアン」と呼ばれている。ドームの表面が三角錐のような形状の日よけで構成されているのだけど、これがたいへん刺激的であり、抵抗感がある人はたくさんいそうだ…

自然を引用した楕円

スイスアルプスの渓流沿いを歩くトレッキングコース「Trutg dil Flem」には、ユルグ・コンツェットが設計した7つの歩道橋が架けられている。それらの橋は美しい渓流を様々な角度から楽しみ尽くすための重要な視点場として設えられており、それらの橋自体が…

国境の屋根

この夏に通過した、オーストリアとリヒテンシュタインの国境にある施設。やたらと薄くシャープに見える板と、たった2本のやたらと細く見える柱で構成されたキャノピーは、重力に逆らう魔法がかけられているように見える。本体となるガラス張りの施設はスケ…

風変わりなトラス橋

オーストリア西端エリアのブルーデンツの街はずれに架かる、Alfenz Bridgeという風変わりなコンクリートトラス橋。先日紹介したSchanerloch Bridgeと同様に、Marte.Marte Architektenという設計事務所が手がけている。 河川の合流部に架けられているためか、…

抽象彫刻発電所

ドイツアルプスの麓の街、ケンプテンにある2010年に竣工した水力発電所を見に行ってきた。地元の建築設計事務所のベッカー・アーキテクトの設計。たいへんありがたいことに、ケンプテンに住む友人の取り計らいで、施設のガイドツアーにも参加させていただく…

渓谷を跨ぐ彫刻作品

オーストリアの山奥で、急勾配と急カーブの道をぐんぐん登り、すれ違いを許さない狭隘な素掘りトンネルをいくつもくぐり抜け、そこを走り抜けるフルサイズの路線バスにおののきながら、レンタカーを走らせた。そして、Marte.Marte Architektenという建築設計…

扇形の市場

1935(昭和10)年に開設された築地市場の建屋は、やんわりとしたカーブによる扇型が特徴だ。かつて最外周部分に敷かれていた鉄道によって決まったレイアウトと形状。建設当時は船と鉄道による輸送が絶対的な要件だったんだね。 汐留の高層ビルから見れば、陸…

巧まざる造形

わが家の近所には、スケールの小さいけどゲリラ豪雨によってたまに氾濫してしまう「草野水路」がつくりあげたスリバチ地形がある。最近久しぶりにこのあたりを散歩し、スリバチの底と縁では風の温度や湿度が全く異なることが体感できた。そこに架かる「小仲…

ミムラムのアーチ

ル・アーヴルの写真を見返していたときに、マルク・ミムラムがデザインしたプレキャスト・コンクリートの連続アーチ橋の存在を思い出した。ノルマンディー橋のアプローチ部分にあたる高架橋だ。アーチリブのリズミカルな連続感、スパンドレルの微妙なカーブ…

流体表現の女王

あのザハ・ハディドが急逝した。65歳という若さ、押し出しの強い風貌、ザハ建築が世界中でじゃんじゃん建設されている状況なので、まったく想像していなかっただけに、絶句した。そして、残念でならない。 ローマの国立21世紀美術館(MAXXI)では、エントラ…

ラビリンス

岡山県にある苫田ダムの非常用洪水吐は、「ラビリンス型自由越流」という日本で最初に採用された形式。越流部の延長を確保するためにジグザグに構成して放流量を増やすとともに、越流同士をぶつけて減勢するというもの。まあ説明は若干ややこしいけど、とに…

世代を超える調和

先日患ったインフルエンザB型をきっかけに、すっかり体調を崩してしまった。回復するための体力が枯渇していたことに対して、自分の加齢を痛感せざるを得なかった。しかしこのままずるずるだらだらしている場合でもないので、リハビリのため近所を散歩する…

ジュゴンの拘束具

消波ブロックを「テトラポッド」という呼び名で認識している人は多いだろう。先駆的存在であるとともに、特徴的かつ均整の取れた姿のためか、すっかり一般名称として浸透しているよねえ。でも、これはひとつの商品名だ。同様の機能を有する製品は多数あり、…

アイデアの実現

なんだかんだ言って、人は自分が理解できないことを否定しがち。 「なんかムカつく」「僕はなんとなくキライだな」「そんなこと教わってない」「自分には関係ないし」「今時の若いヤツは」「常識を知らない」とかとか、自分にとって好都合な言い方をいろいろ…

気になる間取り

先日訪問した鳥取県倉吉市にあった、ものすごく複雑な構成のお宅。ステキすぎてしびれた。段差だらけの外壁面、入り組んだ屋根、連鎖する雨樋。無意識のメタボリズムなんだろうか、ずっと眺めていても飽きないよねえ。何度も写真を見返してみても、その間取…

巨大ちくわ

キューブ・ハウスなどの少々イカレたダッチ建築が密集するロッテルダム・ブラーク駅に、新たなびっくり建築が加わった。高さ40m、幅71m、長さ114mもの巨大な半身の「ちくわ」である「マルクトハル・ロッテルダム」だ。昨年のお正月に行ったときにはまだ完成…

環境の中で理解する造形物

クリスチャン・メンが設計したガンター橋。ケーブルをコンクリートでラッピングした形式は、斜版橋と呼ばれている。いろんなところで写真を見ていたけど、斜版と桁が一体となった側面がのっぺりしていて重鈍な印象があり、正直なところ、それほど好きではな…

魂が宿るコンクリート伽藍

一見するとパステルカラーで彩られたファンシーなキッズスペースに見えるだろうが、それはある意味で正しい。ここはスイスのバーゼル近郊にあるシュタイナー教育の総本山「第2ゲーテアヌム」のホールに至る階段室だ。 この異様な建物は、内と外のイメージが…

鉄の分子模型

ベルギーの首都のブリュッセルの観光名所といえば、絢爛たる広場のグランプラスか、華麗なアールヌーボー様式の建築か、過度な期待は禁物の小便小僧あたりだろうか。いやいや、鉄の分子構造を1650億倍という訳の分からない拡大率で高さ100mを越えるサイズに…

ワイルドな仮設沈下橋

先日、一関市内を流れる磐井川を渡っていると、下流にやたらと気になる作工物が見えた。ふぞろいの連続アーチが、微妙に揺らいで見えるのだ。目をこらして見てみると、どうもコルゲートパイプを用いた仮設の工事用道路のようだ。コルゲートパイプってのは薄…

謎の塔

佐倉市の丘の上にある「羽鳥調圧塔」を知ったのは、友人のツイートがきっかけだった。こんなすごいものが身近にあることをなんで僕は今まで知らなかったのか!と焦ったが、落ち着いて考えてみると、20年ほど前からその存在を認識していたことを思い出した。…

モダニズム神社

先月、福井に出張したときのこと。とある寄合に出席していたところ、知人に福井神社にはもう行ったよねと、スマホの写真を見せられながら問われた。これは見ておかねばならない物件だよなあと思い、大いに悩んだ末に寄合を中座して現地に急行した。 この神社…

ランドアート防風板

3年前のオランダ在住時に、うっかり見に行き忘れてしまった重要施設があり、そのことが夜も眠れないほどに悔しかったので、今年のお正月に行ってきた。ロッテルダムの西方にある「ローゼンブルク・ウインド・ウォール」だ。伝説の雑誌「SD」に、1995年に発…

フィリップスのUFO

オランダのアイントホーフェンという街は、大手家電メーカーであるフィリップスの企業城下町である。街のあちこちにフィリップスが絡む建造物があるのだけど、アイントホーフェンのシンボル的存在の「Evoluon」はその代表格。未確認飛行物体のイメージを持つ…

ダッチっぽい自転車橋

オランダの東部のナイメーヘンという街に、つい最近開通したばかりの長大アーチ橋を見に行ってきた。ベルギーを拠点に活動している構造設計家のローラン・ネイ氏によるものだ。たっぷり時間をかけてその橋を見た後に、次の目的地に移動しようと車を走らせる…

過剰造形駅舎

チューリッヒはスイス最大の都市なので、うっかり首都なんだと思い込んでいた。え?違うの?じゃあ国際的なイメージから、ジュネーブかバーゼルなんじゃないの?と思ったのだが、これも違った。正解はどこなのかというと、ベルンという街である。少し調べて…

赤い橋脚

最近まで全くノーマークだったんだけど、柏崎の海岸段丘に切れ込んだ深い谷に架かる米山大橋って、すごくかっこいいね。たまたまネットで引っかかった情報から、この橋を見てみたいなと思って、先月に別件のついでに立ち寄った。 1967(昭和42)年につくられ…

不思議アーチ

斜角(スキュー)が大きいアーチ橋は、高確率でおかしなことになりやすい。上路アーチ橋ならまだしも(トリックアーチ)、下路アーチだと目を疑う構造物(ねじれた関係)になることもある。 美瑛町の白金温泉に架かる歩道橋も、アーチ部材が細いパイプという…

宇宙的鮮魚空間

はじめて築地市場に行ってきた。 昼下がりの市場はすでに閑散としており、脳天気な世界から時間空間がぽっかり切り取られたかのよう。天井から漏れる光は、なんとも妖しい色彩とともに屋根のトラス構造を浮かび上げている。大きなカーブのついた大空間の床に…

連担する様

かすかに違うけどほとんど同じようなものが連担している状況って、すごくグッとくる。特にそれがでかいものだと。こんな気持ちになるのって、僕だけじゃないよね?

パイプ屋根

ミラノのポルタ・ベネツィア駅の、メトロじゃなくてS線の方の駅部。土かぶりの少なさのためか、パイプルーフ工法(THパイプルーフ技術協会|工法の概要)で大空間をつくり出している。特殊な工法がそのまま空間フォルムやディテールに反映されているのがとて…

立体構成

なにこのビル、やたら魅力的なんですが。面の構成やら、突き出した梁やら、室外機やら、パイプやら、質感やら。いったい用途はなんだろうかねえ。いろいろ気になるねえ。

美ダム

「日本一美しいダム」と言われている、大分県竹田市にある白水堰堤。その白いレースのような落水表情には、ため息をつきながらついつい魅入ってしまう。結構な山の中にあり、大分市からも熊本市からも車で2時間以上かかる。なんでこんな人目につきにくい辺鄙…

一本の線

熊本県天草諸島の最南端、フェリーで対岸に渡ればもう鹿児島県という行き止まり的な場所に架かる「牛深ハイヤ大橋」。個人的には1997年に完成したときからずっと実物を見てみたかった憧れの橋。熊本市から3時間はかかるという立地なので、なかなか手を出せず…

ワケを教えて

韓国の仁川(インチョン)空港の近くに、「松島(ソンド)新都市」という遠浅の海を埋め立てて一気に建設された近未来都市がある。上の写真の橋はそのエリアで見かけた斜張橋。斜めに開いた2つのリングを上端でケーブルによってつなぎ止め、これを主塔とし…

構造の遊び

朝に羽田を出発して北九州に入り、レンタカーでいわゆる近代化土木遺産をいくつかまわって佐世保まで行くという、わりと無茶苦茶な行程ではあったけど、ずっと見てみたかった弓張岳展望台になんとか日没直前に到着した。 これは1965(昭和40)年につくられた…

イケメン高架

新東名は険しい地形を無理矢理ぶち抜いて道路を通しているので、必然的にトンネルと高架橋が連続している。そもそものお値段はどちらにしてもとてもお高いので、いろんなところで徹底的にコスト縮減が図られた。その影で泣いていた人は数知れない(僕も少し…

ゆがんだ主塔

2006年に開催されたトリノ冬期オリンピックに際してつくられた歩道橋。鉄道とその車両基地を跨いで、選手村と地下鉄駅方面を結んでいる。縦にも横にも斜めに傾斜しているアーチ状の赤い主塔、吊っているんだかカウンターウェイトにしているんだかよくわから…

リアル集中線

室蘭港の埠頭に野晒しで積まれていた、様々な太さの鋼棒。みっちり具合、鉄の重量感、自由な配置、錆のテクスチャー、一点集中のパース感、もうたまらない。港湾にはこうした無名の作品がたくさんあるので楽しいね。

硬い造形

ベルギーのKortrijkという街にLaurent Neyが手がけたcollege橋を見に行ったとき、その隣に架かっている桁橋が気になったので近寄ってみた。直線的な造形はやりすぎなくらい硬質感がある。極端に裾広がりの橋脚は、河川の高水敷だったら成立しないフォルム。…

リピート

同じものが繰り返されるってことに大きな魅力を感じる。それは宗教音楽やテクノから受ける印象によく似ている。たとえば、繰り返される旋律、淡々とした音色、規則正しいリズム、単調な構成。こうした要素が、覚醒や恍惚や高揚といったいわゆるトランス状態…

ミラノの玄関

ミラノはファッションやデザインの街として名高い。でも、空の玄関口であるマルペンサ空港に架かる斜張橋は、びっくりするほど鈍くさい。いろいろと腐心している形跡はあるのだが、いかんせん構造フォルムが不格好なのだ。 最初にこの空港に降り立って街に向…

ヴェネツィアの赤いアーチ

ヴェネツィアのカナルグランデを跨ぐ4つめの橋は、2008年に架けられたばかり。鉄道と道路のそれぞれの玄関口であるサンタルチア駅とローマ広場を結ぶという極めて重要な位置にある。設計はご存じカラトラバ。 僕の中でカラトラバは空気が読めない、もしくは…

うずまき

バチカン博物館の出口には、とてもすてきな二重らせんのスロープがある。下に行くほど渦が小さくなるので、曲率も勾配も変化する。とても素敵でしびれたのだけど、転倒事故が多いのか転倒するピクトさんが描かれた黄色の三角板が異様にたくさん壁に貼られて…

ファシストの家

ジュゼッペ・テラーニというイタリアのモダニズム建築家が設計したカサ・デル・ファッショという建物が、スイスとの国境付近のコモにある。1932年にムッソリーニのファシスト党本部として建てられ、現在は国境警備隊が使っている。まあ権威を象徴するのが使…