はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

構造

ただならぬ体育館

先日の佐賀訪問時には、数時間の時間を確保してまち歩きをした。街の中を縦横に走るクリークを中心に見て回っていると、遠くにギザギザした不穏なシルエットが見えた。直感的にこれはヤバいものだとググッと心を掴まれて早足で近づいていくと、折板構造の壁…

構造の理解の仕方

多少なりとも橋梁設計に触れていた身からすると、映画や漫画の世界に登場する橋にびっくりすることがある。例えば、メインケーブルが切断されているのに全体が崩落しない吊橋、中央の橋脚によってやじろべえのようにバランスを保っているアーチ橋、橋脚なし…

世界的な歩道橋

数年前に九州に行った際の写真をほじくり返す機会があったので、その最中に大事な橋を再発見した。川口衞が設計した、別府の南立石公園の脇に架かる「イナコスの橋」だ。その構造形式は「サスペンアーチ式不完全トラス構造」とされているが、正直なところ僕…

悪魔の橋

昔から人は自分が理解できないものを、神や悪魔の仕業として位置付けようとする。どうにもならない難所に超絶テクニックを用いて架けられたことで、「悪魔の橋」と呼ばれる橋梁は世界中にあるだろう。有名どころでは、スイスのゴッタルド峠の近くに架かる橋…

薄い板

スイスのフライエンバッハという街の南にある、高速道路の上空に架けられたビルヒェルヴァイト(Bircherweid)歩道橋。高低差がある場所を驚異的に薄い板だけの構造物は、なんと1965年につくられた世界初の吊床版歩道橋だという。少々道に迷いながらたどり着…

オリンピックの話

僕もオリンピックを見に来た。でもリオデジャネイロではなく、1972年開催のミュンヘンオリンピックの会場に。軽量構造のスペシャリストであるフライ・オットーの代表作である膜構造の屋根を見るために。 昨年の春頃、ネット上でオットーの訃報を目にした。プ…

技術の重ね方

スイスのViamala渓谷に架かる吊床版橋のPunt da Suransuns。それぞれの部材が、恐ろしいまでに薄く、細く、単純。構造家のユルグ・コンツェットが手がけた橋梁は、ギョッとするほど極端に研ぎ澄まされたミニマル・デザインであり、その意味を理解して受け止…

がんばれ橋脚

先日、ものすごく無理しつつも必至に桁を支えている橋脚を、新宿で見た。これほど見た目に限界付近で耐えていることが理解できる橋脚は珍しいので、どうしたって応援したくなるよねえ。そんなことを一緒に歩いていた方々に興奮しながら伝えたのだが、あまり…

インテグレーション

先週はローラン・ネイの話を直接伺う機会がいくつもあった。その中で彼は、随所に「インテグレーション」という言葉をちりばめていた。前回に引き続いて、再びアムステルダムのフルハトハーフェン橋(Vluchthavenbrug、2012)を眺めることで、彼の「インテグ…

近代石橋

スイスのヴァルス村の中央に架かるヴァルサーライン橋(Valserrheinbrückeか?)も、先日のグレンナー橋と同じユルグ・コンツェットが設計した橋であり、2010年に供用された。 見るからにユニークな橋だ。両サイドに縦方向に積層された石材が重要な構造部材…

近代木橋

構造形式自体は伝統的なものだが、現代的にクールにアレンジされたスイスの木製方杖ラーメン橋。例によって正式名称がよくわからない(Glennerbrückeか?)ので、とりあえずここではグレンナー橋としておこう。ユルグ・コンツェットの設計で、2002年につくら…

橋の写真

ひとつ前の記事で、オランダのナイメーヘンに架かる橋「De Oversteek」の写真を取り上げた。柴田敏雄氏の写真展に感化されて、自分の写真もそれっぽくならないかあと思い、構造的な特徴を持つ部分をクローズアップして構図のバランスを再検討してみたり、ド…

元世界チャンピオン

「世界一の橋」ってのは、いろいろな切り口があってわかりにくい。「高さ」に着目してみても、構造物の最高点(Wikipedia:List of tallest bridges in the world)と路面の位置(Wikipedia:List of highest bridges in the world)では、出てくる橋がまるで…

格子のダム

自分が一番好きなダムってなんだろうか。まあ一番なんて決められないよね、みんなそれぞれ好きだもの。とは言え、僕の場合は若干の傾向はある。膨大な水圧に対して圧倒的なボリュームで対抗するものよりも、使用する材料を最小化しつつ構造で対抗するものが…

バカっぽい浮き橋

オランダ南部にあるベルヘン・オプ・ゾーム(Bergen op Zoom)という港街は、軍事戦略的要衝だったようで、星形要塞の名残がある。そのひとつが18世紀初めにつくられた「Ravelijn op den Zoom」という堀に囲まれた稜堡。1930年に木橋がひとつ架けられたが、…

“a”という歩道橋

大阪の天王寺駅前にかかるペデストリアンデッキ『鮨屋萬助・阿倍野歩道橋』は、なかなかファンキーだった。ネーミングライツによる名称、既設橋の解体が絡む複雑な架設計画、レベルが異なる周辺の建物との接続、線形や幅員が変化する桁と複雑な形状の屋根が一…

言語化が難しい解き方

当然のことながら、『ヨーロッパのドボクを見に行こう』に収録できなかった物件が多数存在している。検討しながら涙を流してカットしたものは、ブログやら講演のスライドやらで紹介することで供養する場合も多い。それでも極めて残念な気持ちを持っているの…

吊られるリング

オランダのアイントホーフェンの町はずれに、ホーフェンリング(Hovenring)という円形自転車専用橋がある。僕がこの街に住んでいた2011年にはまだできていなかったので、昨年のお正月のオランダ旅行の際に、強引に行程にねじ込んで見に行ってきた。 70mのタ…

セクシー網タイツ

博物館の王様と言えば、大英博物館だろう。古今東西のアーカイブの充実っぷりは、想像をはるかに超えていた。各種の侵略を繰り返しながら略奪してきたものだろう、という側面も窺えるが、ここだからこそしっかりアーカイブされているという厳然たる事実も目…

後付けの屋根

大英博物館やルーブル美術館をはじめとする欧州各地の古いゴージャス建築では、その中庭に後からガラス屋根を設置することで、天候や季節に左右されない内部空間として活用することが増えてきた。しかも、その屋根構造そのものがひとつの見どころとして成立…

薄さと細さの意味

スイスの構造設計家のクリスチャン・メンがデザインしたズンニベルク橋。橋梁ファンはマイヤールのサルギナトーベル橋の巡礼とセットで訪れる橋だ。床版から上のケーブルの位置がとても低いのでエクストラドーズド形式にも思えるけど、どうなんだろうか。ぺ…

セットもの

スイスのマルティニという街のやや北に、ローヌ川を跨ぐ「サン・モーリス橋」という高速道路の橋がある。3年半前、スイスのダム巡りのために画面奥側から走行してきた際に、これは!と思ってすぐさま高速道路を降りて見に行った。 これがなかなか面白く、ト…

脅威の薄さ

昨年の年始のオランダ旅行の際には、ズウォレという街にローラン・ネイが設計したできたばかりの歩道橋「Rodetorenbrug」を見に行った。ネイ事務所のサイトの写真を見ても、その薄さというか軽さというか儚さがCGとしか思えず、実際に見て確かめなければと…

軽いアーチ

今年の正月に強行したオランダ紀行では、ナイメーヘンという街に一泊した。翌朝はとりあえずこの街のシンボル的橋梁であるWaalbrugを見に行ったのだが、その近くに架かっている歩道橋を目ざとく見つけ、思わず駆け寄った。 ワンスパンのアーチリブに階段が設…

床版レス歩道橋

橋梁における「床版(しょうばん)」とは、文字通り大地の代替物としての「床」のことであり、彼方と此方を結びつける橋梁の本質の要素とも言える。ちなみに床版を支えるものが「桁」であり、桁を支えるものが「橋脚」や「橋台」と理解しておけばいいだろう…

アーチ風トラス

オランダにあるロシアの旅客機(飛行機に泊まる)に宿泊した翌日、高速道路を北上してズウォレという街に向かった。街に近づいてきたので駐車場の心配をしていたら、川を渡る際に右手の遠方に赤い橋がチラリと見えた。むむっ?あれはもしや、事前のチェック…

おかしな斜張橋

先日の記事(岬の上の小さな村)を書く際に「Lussia Bridge」を軽く調べたら、イタリアのウィキペディアに「Ponte Morandi」というタイトルの項目が掲載されていたので、それを別名と認識していた。 先ほど、その橋のことがTwitterで軽く話題になったので、…

不思議アーチ

斜角(スキュー)が大きいアーチ橋は、高確率でおかしなことになりやすい。上路アーチ橋ならまだしも(トリックアーチ)、下路アーチだと目を疑う構造物(ねじれた関係)になることもある。 美瑛町の白金温泉に架かる歩道橋も、アーチ部材が細いパイプという…

古城の軽い橋

カルロ・スカルパが手がけたヴェローナの「カステルヴェッキオ」には度肝を抜かれた。古城を改修した市立美術館なんだけど、動線や空間構成からディテールに至るまで、全く隙のない圧倒的な質の高さを体験することができるので、近くに行くことがあればぜひ…

ボックス基礎

先日の「切通し交差点」の風景を望む歩道橋の基礎が、なんだかおかしなことになっているよ。久地円筒分水から続く用水の直上に歩道橋が架かけられているために、「ボックスカルバートが基礎」になっているのだ。「ボックスカルバートの基礎」という意味では…