はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

構造

逆アーチ風トラス

エクサンプロヴァンスの近くにあるViaduc de l'ArcというTGVの鉄道高架橋。Ventabren Viaductについて調べていたときにたまたま見つけたので立ち寄ってみた。バスケットハンドル型の鋼アーチをひっくり返したようなパイプトラスの上にRC床版を載せた橋。逆さ…

宙に浮くアール

きれいなカーブを描く鋼箱桁が浮かんでいるこの光景、不思議でしょうがない。エンジニアリングに対する絶対的な信頼がなければ、橋脚のないこの橋を渡ることはできないよね。いやほんと、うっとりするよこの橋。ドイツの橋梁デザインは、本質を突きながらも…

アメンボ

ロンドンのドックランズという再開発地区に架かっている浮き橋。荷重には浮力で抗するため、基礎が省略できてお得になる。流されないように水中にアンカーで固定しているらしいが、当然のことながらそれなりに揺れる。ふわふわした気分で渡れる楽しい橋。か…

玄人好みのハイテク橋

ベルギーのVerviersという小さな街に架かる橋長30m、幅員2mのCentner歩道橋。一見したところ小振りで地味な印象なんだけど、一歩踏み込んでじっくり眺めてみると、最新技術が注ぎ込まれたクールな橋であることが感じ取れる。 構造形式はU字断面を持つ鋼下路…

結構古い少数主桁

ベルギーのリェージュからE25(A26)で南へおよそ30km下ったところに架かるSécheval高架橋。この端正な橋の特徴は、主桁が2つと少ない上に、横構や対傾構といった細かい部材がなく、かなりシンプルに成り立っているということ。 これは少数主桁橋といって、通…

使徒、襲来

はじめてネット上でこの歩道橋の写真を見たとき、なにかの冗談かと思った。有機的な白い表皮を持つモノフォルムは、そもそも橋に見えないよね。アニメ好きがつくった良く出来たCGかと思ったのだが、どうやら現実のもののようだ。じっくり見ていくにつれ、徐…

巻き取り橋

マッチ棒のような頭を持つコンクリート柱に取り付けられた円柱をぐるぐる回して、そこから吊されたワイヤーを巻き取り、桁をリフトアップするという可動歩道橋、Coupure橋。ベルギーのブルッヘ(ブルージュ)という街にあり、スイスの構造家のユルグ・コンツ…

読み解きの必要性

ベルギーのKortrijkという街にあるローラン・ネイが構造デザインを手がけた吊橋、college橋。繊細で危うい緊張感を感じて、美しい女性を見かけたときのようにかなりときめいた。 この橋は、滑らかなS字を描く桁が下がろうとしたり浮き上がろうとしたりねじれ…

クノッケの白い板

日曜日はベルギーを拠点に活動している構造デザイナーのローラン・ネイ氏へのインタビューに同席させていただく機会を得て、ブリュッセルに行ってきた。氏が考える構造・造形・環境・施工などを材料に、どのようなアプローチで料理を仕上げていくのかという…

写真写りが良くない橋

ブリュッセル郊外の遊歩道にひっそりとたたずむ、ローラン・ネイが設計したStokkel歩道橋。構造力学に対する純度を保ちながらも、とても彫刻的なトラス橋である。緊張感のある美しさを感じて、一目見ただけで気に入ってしまった。 この手の透過性が高く軽量…

魔法のピラミッド

ダヴィンチ・コードにも登場した逆さピラミッド。ルーヴル美術館に隣接する地下ショッピングセンターにある。これまた不思議な構造物。なんでこんな重力に逆らったものが成立しているのかしら。人類ってすごい。

魔法の橋

La Défenseという再開発エリアに架かるValmy歩道橋は、上から吊っているわけでもないのに、こんなに桁がカーブしているのに、柱がほとんどない。まるで魔法がかけられているようだ。あまりの軽快さに渡るのに躊躇する。 この不思議な橋は、ものすごいテクニ…

トンネルアンカー

マーストリヒトからの列車がリエージュに到着する少し前に、車窓から大きな斜張橋が横目にちらりと見えた。なんとなく気になったので、リエージュ・ギューマン駅を一通り見た後に、歩いて見に行ってきた。思っていたよりも距離があったが、なかなか面白い橋…

喰われるトラス

過日、外輪太郎さんにご案内いただいた水路行でのひとつのハイライトがこのトラス。やけに鈍重なポニートラスの道路橋が、上空に架かる鉄道橋の桁に喰われ踏みつけられている。その様子は極めて生々しく、まるで虐待を受けているかのような光景。なんかもう…

江東の赤トラス

富岡八幡宮の裏手の、もともとは水路だったとおぼしき遊歩道に、ちょっと変わった赤いトラス橋が架かっている。ふらふら散歩しているときに偶然目にして、なんだなんだと思って橋の下に行き、いくつか設置されているプレートを確認した。それらによると、橋…

片持ち梁の絶妙な緊張感

こういうのって興奮する。僕だけじゃないよね、きっと。

三角の塔

近所に火の見櫓がぽつんと残っている。かつては日本全国どこにでもあったけど、警報システムの変化や老朽化のために急速に減ってきているんだそうな。 三角形の断面を持つトラスの構造フォルムはかなり魅力的。でも、補強のためだろうか外側に取り付けられて…

ぶら下がり歩道橋

もうすぐお正月。ドボク詣をする方々におかれましては、風邪などをお召しにならないよう、防寒対策を忘れずに。僕も大山さんの高架下初詣に参加させていただく予定。ゴール地点は箱崎ジャンクションだ。 箱崎詣に際しては、幾重にも交錯する橋桁の重厚なアン…

新しい跨線橋

先日札幌に行ったとき、10年近く前に自分が関わらせてもらった「北郷通こ線橋」を見に行ってきた。鉄道を跨ぐ鋼コンクリート複合橋だ。ほぼイメージ通りに、とてもきれいに仕上がっていた。設計や施工に関わった方々の熱意が伝わってきて、感激した。 特に階…

橋を吊る橋

首都高速道路6号線と7号線が結ばれる両国ジャンクション。ここにかなりアクロバティックな構造を持つ橋がある。ちょっと見ただけではわかりにくいけど、なんと、上の7号線の桁が下の6号線の桁を吊っているのだ。 これをはじめて見たときは、あまりの大胆…

タワーマスター

名古屋テレビ塔、さっぽろテレビ塔、大阪通天閣、博多ポートタワー、東京タワー。これらの塔は、すべて同じ人物が設計した。内藤多仲という建築家だ。すごいよねぇ、日本の塔のゴッドファーザーだ。ちなみに個人的には、これらの塔のプロポーションやバラン…

床版だけ高架橋

首都高には面白い構造物がいっぱいある。 ふつう高架橋には桁があるんだけど、ここではそれが一瞬スカッと途切れている。橋を見慣れてしまった自分にとって、桁がなくてRC床版しかないのは、極めて短いスパンとは言っても、ものすごく不自然で不安を感じる…

構造デザイン的アプローチ

パリ市内の運河に架かる歩道橋。テンションメンバーによってアーチを描く薄い桁を補剛している。プレファブの鋼桁部を船で運び、コンクリートの脚部に落とし込むという方法によって、極めて短期間に施工したとのこと。 以前、設計者のマルク・ミムラム氏にお…

アーチ式斜張橋

出張で来ている台湾で、移動中に珍しい橋を見かけた。主塔がアーチ状になっている斜張橋だ。 斬新なものをがんばって考えてみましたというような、学生作品的なノリを感じた。 一瞬しか見えなかったのが残念。もっとじっくり見たかったな。

水面の道

世の中には変わった橋がある。数年前、シアトルで“浮き橋”という形式を見かけた。と言っても、上空から見ただけだけど。 浮き橋は、浮力によって橋の重量を支える形式。このワシントン湖は水深が深くて、基礎の設置を断念したのだそうな。歩道橋ではときどき…

巨大コンクリート塊

昨日、久しぶりにダムをじっくり鑑賞してきた。重力式コンクリートダムのド迫力は、やっぱりすごいね。 この形式は、コンクリートの重量によって水圧を支えるというもの。極めてシンプルな仕組みだ。日常的に経験するものごとのスケールが、とんでもなく大き…

建築的堤体

函館の水がめ、笹流ダム。コンクリートが貴重だった大正の頃、材料費を抑えるために、えらく手間がかかるバットレスという構造形式が用いられた。そのため、まるで建築物のファサードような独特の表情が生まれている。でも、もとの姿はそれぞれの部材が細く…

先人の寡黙な仕事

小樽の水がめ、奥沢水源池にはすてきな水の階段がある。堤体は普通のアースダムなんだけど、この階段式溢流路は緩やかにカーブしながら扇状に幅を広げて、周囲の樹林とともに美しい落水の表情を魅せてくれる。 大正3年(1914年)につくられて、いまも現役。…

解決方法の探索

シュトゥットガルトにある、公園と住宅地を結ぶ歩道橋。コチラでも紹介した、J.シュライヒの設計。まるで樹木のように上方に拡がった、細く赤い橋脚が目を引く。気分としては、5径間の橋だが、見方によっては17径間とも言える。ここがキモ。 シュライヒは…

構造設計家

シュトゥットガルトにある、道路で分断された2つの公園をつなぐ歩道橋。橋梁ではなかなかお目にかかれない「ケーブルネット構造」という形式だ。ネットにはブドウのつるが絡まり、緑に覆われる予定なんだそうな。僕が見たのはだいぶ前のことなので、今はど…