はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

港湾

海岸のクローン兵

日本は海に囲まれた島国である。しかも、結構ひょろ長い。このため、国土の外周全体が津波、高潮、波浪といったジオスケールの自然現象に晒され、海岸線の浸食、砂浜の消失、交通の分断、家屋の流失、人命の喪失などの被害が古来より延々と繰り返されている…

鉄道連絡船

乗り物の中に乗り物がすっぽり入るという状況は、たいへん魅力的に感じる。自動車を船倉に入れて運ぶ「カーフェリー」はこれまで何度も体験したことがあるけれど、鉄道車両をそのまま船倉に入れる「鉄道車両渡船」は体験したことがない。ずいぶんスケールの…

小麦のリレー

このところ千葉港を訪れる機会がたびたびあり、ばら積み船→埠頭→サイロ→製粉工場→製パン工場→店舗→食卓という小麦の流れを示して、食品コンビナートの説明をしている。これがなかなかわかりやすいようで、都市のバックヤードとしての役割を深く納得していた…

可視化された物流

インド洋と地中海を結ぶスエズ運河で大型のコンテナ船が座礁した事故は、発生から6日後にようやく航行再開に至った。懸命に続けられた離礁作業はもちろん、喜望峰ルートに舵を切った場合のコストなどのニュースをドキドキしながら見守っていた。船舶の航行…

帝国軍のガントリークレーン

先日乗船した東京港のクルーズでは、中央防波堤に新しくつくられたコンテナバースの近くを通過した。ああここが40年以上続く領土紛争問題に対して最近都が出した調停案の中でわずかに大田区の取り分とされた場所か、などと無責任に感慨にふけっていたが、ガ…

水を制する堤

筑後川の下流に「デ・レーケ導流堤」と呼ばれている港湾施設がある。筑後川の幅を狭めることで流速を早め、土砂が堆積しにくい状況をつくり出し、航路として必要な水深を確保するというもの。干満の差が最大で6mもある有明海ならではの工夫だね。 オランダか…

抜け殻になったコンテナターミナル

タンジョン・パガー・コンテナ・ターミナルのあの感動を再び味わいたくて、2年半ぶりにシンガポールを訪れている。そのターミナルを一望できる高層高級住宅を訪問したのだが、窓の外を見るなり腰が抜けた。なんと、広大な敷地がほぼ空っぽなのだ。色とりどり…

港との距離

国家や都市のバックヤードを担っている港湾って、グローバル化とともにその規模が大きくなるに従って、どんどん市民生活から離れていき、リアリティを失ってきているように思う。それは、様々な形態の貨物を合理的に大量運搬可能にした「コンテナ」という物…

リーファーコンテナ

機密性や断熱性が高く、温度調整が可能な冷却装置を備えたコンテナを「リーファーコンテナ」と呼ぶ。もちろん冷蔵や冷凍が必要な食料などを運ぶためのもので、その性能はどんどん向上しているらしい。 コンテナの眺めはそもそも魅力的であるが、これはさらに…

稚内ドーム

稚内港には1936(昭和11)年に建設された「北防波堤ドーム」と呼ばれる珍しいフォルムの防波堤がある。宗谷海峡の強烈な風と波を遮る半アーチ断面の覆いや、それを支える70本の列柱がえらく感動的。ふんわりカーブのリブが反復する回廊は、港内側に向けて解…

海運の終着点

船は今も昔も長距離大量大型輸送の主役だ。時間と気象の要素を除けば、最も効率がいい輸送手段だもんね。だから海上輸送の要となる港湾には、地域産業の物資が集積しているので、その地域の特性を体感することができる。でも、おいそれと立ち入れるわけでは…

芝浦ループ

またしても船に乗って東京を満喫する機会を得た。もちろん今回も仕事だよ。水面から東京を捉え直すために、10名弱の特別チームが編成され、本気で撮影をするってものだ。途中昼食休憩をはさみながら、合計約8時間もトイレのない船に揺られ続けた。極めて楽し…

荒野の電波塔

東京が生み出す大量のゴミによってできた新たな地形「中央防波堤」を、東京港を巡る船から眺めると、その標高の高さに愕然とする。そして、人口の荒野の向こう側にあるスカイツリーは、まったく見たことがないような眺めになっている。東京港ってすぐそこに…

取り外しが可能な橋

8月19日から23日までの期間、アムステルダムでは5年に一度の帆船まつり「SAIL AMSTERDAM 2015」が開催されている。まったく偶然のことだが、僕がアムステルダムに行った予定とビタッと一致してしまったために、様々なトラブルの元凶になったとともに、滅多に…

岸壁の退役クレーン

もう4年も前のことになるが、アントワープのスヘルデ川沿いの岸壁に、個性豊かな古いクレーンたちが何台も置かれていた。この写真以外にも、まだまだたくさんあった。おそらく退役したクレーンたちが招集されたのだと思うが、なんの案内もなかったので、そ…

意図せぬ鳥撮り

千葉港では現在、毎週日曜日の夕方に『工場散歩人がご案内する「千葉港サンセット&工場夜景クルーズ」』が開催されている。思い起こせば、2007年に実施したプロジェクトの中でほぼ同様のコンセプトとコースでテストクルーズを実施した。それに参加していた…

コンテナ中華レストラン

久しぶりに時間ができたので、懸案だったシンガポールのコンテナ動画をようやく編集することができた。「Prima Tower Revolving Restaurant」という穀物サイロの最上部を改装してつくられた回転レストランからのタイムラプス動画だ。そこからの見事なコンテ…

吊られるクレーン

先週訪問したシンガポールでの見聞を少しでもまとめなければならないのに、別のネタを書いちゃおう。 昨晩、聞き捨てならない情報を入手してしまった。昨日の日曜日、自宅から20分程度で行くことができる千葉港で、フローティングクレーン(起重機船)が新品…

コンテナビューホテル

シンガポールに来た最大の理由は、いまや世界の物流の核になったシンガポール港のコンテナターミナルを見ることである。来訪するまでにどこからどう見えるのかをいろいろと調べると、昨年末にオープンしたばかりの「The Westin Singapore」が急浮上した。僕…

ランドアート防風板

3年前のオランダ在住時に、うっかり見に行き忘れてしまった重要施設があり、そのことが夜も眠れないほどに悔しかったので、今年のお正月に行ってきた。ロッテルダムの西方にある「ローゼンブルク・ウインド・ウォール」だ。かつて鹿島出版会から発刊されて…

水鏡の風景

伏木富山港にて、水たまりができたストックヤードの奥に、前夜に降った雪が少し溶けたウッドチップの原料山を見た。当初はそれがなんであるか全く理解できなかった。 港湾では、とても不思議で幻想的な光景に、思いがけずに出くわすことがある。でも、気楽に…

クレーンに泊まる

今回のオランダ旅行は「取材」という名目で行ったため、様々な角度からオランダに再挑戦した。もちろん完全に自己負担なので、スケジュールや予算にはそれなりの制約があり、様々なコンテンツを貧乏くさく可能な限りみっちり詰め込んでしまった。泣く泣く外…

重層する交通モード

万葉線(旧加越能鉄道)の終点である「越の潟駅」、港を渡る富山県営渡船の「越ノ潟発着場」、2012年に開通した「新湊大橋」による、雨の夕方の風景。 伏木富山港のうち射水市の新湊地区(富山新港)は、もともと潟湖だった地形を利用した掘込み式人工港湾で…

いい色

先日、千葉港の沖合から京葉コンビナートの夕景を眺める機会をいただいた。日中は雨混じりの曇り空だったけど、日没する前後で雲が薄くなり不思議な色合いの空、そして海面になった。ほんのわずかな時間ではあったけど、なんとも浮遊感のある幻想的な体験が…

コンテナスケープ

バルセロナ市街地を一望できるモンジュイックの丘の一番高い場所には、モンジュイック城がどんと構えている。この城は軍事要塞として使われ、監獄として使われ、現在は一般開放されていて一部が軍事博物館として使われている。市内からは、地下鉄、ケーブル…

ルーアンのタワーブリッジ

フランス・ノルマンディー地方の中心都市であるルーアンは、ジャンヌ・ダルクが処刑された地として有名で、まあまあ内陸部に位置しているにもかかわらず、パリの外港としてセーヌ川の水運で栄えた都市。どんだけ港町かと言うと、こんなとんでもない橋がつく…

ブルー・ジラフ・カルテット

アントワープ港で見かけた4匹の青いキリンたち。黄色いおなかと足下がとってもキュートだけど、かなり実力のあるコーラスグループだと思われる。

アントワープの港クルーズ

まるで真夏のような強い日差しが照りつけたイースター休日に、工業都市としてのアントワープを満喫できる港クルーズ(Flandriaホームページ)を楽しんできた。 10:30発1.5時間のショートハーバークルーズと、14:30発2.5時間のロングハーバークルーズが用意さ…

鍛え上げた上半身

ロッテルダム港を遊覧する素敵なクルーズで見かけたガントリークレーン。このキリンはなんで上半身だけが筋骨隆々としているのだろうか。かなりアンバランスに見えるのだが、そこがまた魅力だね。

色とりどりの箱

高度に規格化されたコンテナには地域性など全くないと思っていたのだが、これは妙にオランダっぽく感じた。オレンジがベース色になっているからかな。コンテナの集合ってやっぱりかわいい。