はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

細部

縛られた橋脚

鉄筋でぐるぐる巻きにされた鉄道高架橋の橋脚。耐震補強ってことはわかるけど、ずいぶん荒っぽいやり方だ。なにかのプレイか。 気になって調べてみると、どうやらRB工法というもののようだ。周りに邪魔なものがあって重機を使って施工できない使えない場合に…

鋼のぶつぶつ

鋼橋とかで部材同士を接合するために、 40年くらい前まではリベット継手が使われていた。いまは溶接や高力ボルトに取って代わられてるので、すっかり使われなくなった技術だ。個人的には、懐古趣味ではないのだけど、このテクスチャーがとても好きだ。特に疎…

アーケード

川崎にて。パイプラインのアーケードって、かなり珍しいんじゃないかな。日よけにはちょうどいいね。

不自然な自然

広い幅員の路面と背の高い遮音壁で構成された道路空間に、ベルト状の植栽が挿入されている。騒音の緩和という側面もあるかもしれないが、緑による心理的効果を狙ったものなんだろう。心地よい環境や景観を形成するために、植栽の助けを借りることはよくある…

豊かなディテール

最近の製鉄業界は高炉の休止や稼働率の縮小による大幅減産、年間配当の減少など、暗いニュースが続いている。主要な顧客である建築、自動車、電機などの業界が低迷しているためだ。ものづくりが大きな経済基盤を形成している日本において、製鉄業界の不振は…

なげやりな整列

上海で見かけた通り。 ボーッと佇んでいただけで、すっかり平衡感覚が失われた。 どこが水平でどこが垂直なのか、全然わからないんだもの。 いや、もはや正しい基準なんて必要ないのかもしれない。 この通りには、何とも言えない賑わいが生まれていたのだか…

変形する数字

タンカーの側面には、喫水を示す数字が描かれている。それはご丁寧に、鉄のプレートを溶接して浮き彫りにした上で、白く塗装してある。 3次曲面ですぼまっている船尾部にもその表記があるのだが、タンカーを真横から見たときに視認できるよう、斜めになって…

可視化した網目

鉄道高架の、おそらく建築物が撤退した後のメンテナンス状況。 チョークで可視化されたクラックの様子は、尋常ではない。 これには現代アートも真っ青だろう。なにしろ、リアリティがすごい。

濃縮された要素

高架橋における、鋼鈑桁とPCホローの架け違い部。2種の桁と橋脚のほか、あとから取り付けられた落下物防止柵、検査歩廊、昇降梯子、排水管、落橋防止装置が見える。2つの桁は、断面、高さ、材料、仕上げが違う。円柱の橋脚は、上部が横方向に張り出し、天…

謎の数列

ときどき上海の街を徘徊しているわけだが、壁面が気になってしかたがない。意味不明の数列が描かれているのを、頻繁に目にするので。 この写真は、とりわけ高密度に配置された壁面。決してフォトショップでコラージュしたわけじゃない。ほんとにこんな風にス…

音楽的室外機

上海の見所のひとつに、建物の外壁に取り付けられた空調の室外機があるわけだが、今回の旅でも街に出るたびに鑑賞している。ランダムに生えていて建物の外観を台無しにしているものもすてきなんだけど、整列していることで表層に新たなレイヤーを生み出して…

壁に垂れる道

巨大なタンカーの甲板から海面に向かって吊り下げられているはしご。ところどころに突き出しているアウトリガーみたいな棒によって、くるくる回るのを防いでいるのだろう。プリミティブな工夫だけど、効果は高そう。ローテクはなごむね。

くぐるホーム

JR御茶ノ水駅のホームの一部は面白いことになっていて、昔から気になっている。ホームの真ん中に分厚い壁があって、そこには高さおよそ1.5mほどのアーチ状の穴が連続的に空いているのだ。その上部には注意を喚起するための黒黄の縞模様が四角く描かれてい…

橋面排水

橋に排水管を設置しないで済ませる方法のひとつに、橋面排水がある。早い話が、路上に側溝を設けるようなもの。橋の姿を台無しにする排水管を付けなくて済むので、たいへんいい方法だと思うのだが、それほど普及していない。おそらく、機能性や初期コストや…

アーチ裏アート

以前のエントリでも紹介した壁鑑賞の達人である杉浦さんと一緒に、JR総武線の高架下建築鑑賞ツアーをしてきた。 なにかと刺激に満ちたツアーだったが、とりわけ面白かったのがコンクリートアーチの補修跡。モンドリアンを彷彿させる巨大な天井画がそこにあ…

きのこ

上海で見かけたビル。割と近代的な感じがする建物だが、平滑な外壁には空調の室外機がキノコのように繁殖している。 なんとも面白いテクスチャーに、クラクラした。

ちょっとした気配り

擁壁ってのは、土を支えて地形に段差を生みだす構造物のこと。斜面に位置する宅地や、道路の近傍なんかでよく見かける。 計算や施工が比較的単純なので軽く見られているのか、圧迫感や汚らしさやだらしなさを感じるものが少なくない。お金をかけずとも、ちょ…

水の表情

とあるフィルダムの越流部。何の変哲もないダムではあるが。湖水が天端のアールを滑らかに降りていくと、途中から水の流れが崩れ、空気を含んで白いレースができる。それらが複合して微妙な文様を描きながら斜面を滑り降り、床面に叩きつけられて勢いを失う…

汚れを誘うもの

工場の中には、巨大なパイプが張り巡らされている。それを下から見上げてみると、植物や昆虫のような面白い模様を目にすることができる。意図しないアールヌーボーといったところだろうか。この細かい筋は、水が通った道にほかならない。製鉄所などは、細か…

ツタが絡む壁

南国の台北で見かけた擁壁。奇妙なことに、10m間隔で規則正しくツタが生長している。これは、コンクリート構造物の切れ目は湿潤になりやすい事実を、端的に示している。この擁壁は、設計段階でツタの生長を想定していたとは思えない。そもそも、見た目には配…

ザラついたお肌

耐候性鋼材による鉄道トラス橋。耐候性鋼材ってのは、あらかじめ表面に錆を形成させて、それ以上の腐食を防止する鋼材のこと。塗り替えが必要ないため、塗装による防錆処理よりも維持管理の面で優れている。もちろん見た目は錆なので、嫌われやすい。「新し…