はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

設備

未来的避難所

日本海に沿って小樽と稚内を結ぶ「オロロンライン」は、北海道の雄大さを体感できる素晴らしい道路だ。特に道北のサロベツ原野をひた走る直線区間は、日本離れしたスケールをうんざりするほど堪能できる。 もちろん夏の晴れた日のドライブは最高な体験になる…

リーファーコンテナ

機密性や断熱性が高く、温度調整が可能な冷却装置を備えたコンテナを「リーファーコンテナ」と呼ぶ。もちろん冷蔵や冷凍が必要な食料などを運ぶためのもので、その性能はどんどん向上しているらしい。 コンテナの眺めはそもそも魅力的であるが、これはさらに…

巧まざる造形

わが家の近所には、小さいながらもゲリラ豪雨によってたまに氾濫してしまう「草野水路」がつくりあげたスリバチ地形がある。最近久しぶりにこのあたりを散歩し、スリバチの底と縁では風の温度や湿度が全く異なることが体感できた。そこに架かる「小仲台新橋…

かわいいドボクサイン

先月末に行われた『土木展』のミーティングで、メイングラフィックを担当されている柿木原さんのプレゼンで、ポスターの中に描かれている「土木の行為」のアイコンも解説してくださった。その時に会場から「かわいい」という声がチラホラ聞こえてきた。そう…

リプレイス

道路照明を説明するための写真が必要になったので、もやし柱と高圧ナトリウムランプのセットの写真を撮ろうとして、帰宅時にレンズを向けてファインダーを覗いた。ところが、なんだか様子がおかしい。灯具が妙に薄いのだ。光源も複数個見えるし。 よくよく見…

個性的な同級生と後輩たち

団地好きや室外機好きや写真好きなど、様々な属性の方がそれぞれの観点からオススメしてくださった「湯島ハイタウン」を、ようやく鑑賞してきた。これが想像以上に素晴らしいのなんのって。ベランダがなくシンプルでモダンなファサードになっている上に、室…

小判型ぐるぐる

先日出張で訪れた高崎では、ちょっとした空き時間に市内を散策することができた。高崎の特徴なのか、大きな地方都市の特徴なのかは定かではないが、駅周辺に大規模な駐車場が大量に立ち並んでいる様子にびっくりした。 その中でも、ビルの谷間にチラリと見え…

稚内ドーム

稚内港には1936(昭和11)年に建設された「北防波堤ドーム」と呼ばれる珍しいフォルムの防波堤がある。宗谷海峡の強烈な風と波を遮る半アーチ断面の覆いや、それを支える70本の列柱がえらく感動的。ふんわりカーブのリブが反復する回廊は、港内側に向けて解…

タワコレ

昨年あたりから、「タワー」をコレクションをしている。収集の対象は有名な塔ではなく、どこの街にもある無名の電波塔だ。集め始めてみると、思っていた以上に多様な形態が存在しており、それぞれに個性のようなものを感じることができる。 コレクションのル…

コレクション大会

昨年末というか先週あたり、少し時間的精神的な余裕ができたので、過去に撮った写真の共通点をムキになって掘り起こしてみた。そして、それらの写真をハッシュタグをつけてツイートしまくってみた。例えば「ステキ倉庫」「ゴージャス避難階段」「室外機コレ…

量が生み出す価値

「量より質」はある場面では正しいと思うけど、それって結果の話なんじゃないかな。特に何かの価値を生み出そうとする場合、「量から質が生まれる」ことの方が正しいんじゃないかと思う。それどころか「圧倒的な量は、質そのものになる」という気もするな、…

締めくくりの展示作品

東京都現代美術館の地下駐車場がかっこよかった。様々な現代アートをたっぷり鑑賞した後にこの空間を体験すると、ある種の高揚感が得られるよ。断熱材で覆われた空調ダクトのまるでザハ建築のようなスピード感と、キリッとした駐車升の整列感の対比なんて、…

環状列塔

先日、はじめて鳥取と島根を訪問した際に、せっかくの機会なのでベタ踏み坂として有名になった境港の「江島大橋」に立ち寄ろうと思い、レンタカーを走らせた。するとその途中で「なんだこれは!!ひょっとしてアレを降臨させるためのものなんじゃないか!?…

壁が隔てるもの

氷見の防火建築帯の周辺は、延焼を防御するという役割が示すとおり、木造建築の密集地帯である。防火建築帯の屋上から裏側をから眺め、ああこのエリアに火の粉が飛ぶのを防ぐのかと思った次の瞬間、このエリアが火の海になった時に体を張って外に広がるのを…

丹下団地の使われ方

香川県高松市にあの丹下健三が手がけた「県営一宮団地」は、至る所にあるナナメのラインや配置がものすごくかっこいいよ。建物自体のフォルムもステキなんだけど、その建物でズバズバ切り取られた表情豊かで贅沢な空間がたまらないんだよな。 それはともかく…

異質な存在

都市の中には、異質さを禁じ得ない施設がたくさんある。例えば、巨大駐車場や物流倉庫や各種タンクなんかがそれに該当する。僕はそれらをなんとなく気にしていたのだけど、あらためて自分のアルバムを振り返ると、なにかのついでという状況で、かなりたくさ…

本当に純粋な階段

現在千葉市美術館で行われている『赤瀬川原平の芸術原論展』(会期:2014年10月28日~ 12月23日、オフィシャルサイト:こちら)は、必ず行くべき展覧会だよ。開催の「前日」に訃報に接したときは、そのニュースすら作品の一部なのでは?と思ってしまったが、…

きのこの給水塔

3年前のクリスマスの日はローマで過ごした。サンピエトロ広場でベネディクト16世の説法を聞いた後に、EUR(エウル)というエリアを訪れた。クリスマスのために完全に機能停止していた街からは、ファシストの壮大な夢の断片が感じられた。 ネルヴィの手によ…

樹木を越えた何か

シンガポールのベイエリアに2年前にできた植物園には、極めてインパクトが大きい塔状の装置群が設置されている。紫に塗られたスチールのパイプが外皮を構成し、そこを覆うために植物が強引に配置されている。太陽光発電装置、換気装置、雨水収集装置、エコに…

バックヤード通り

前の職場の元同僚に誘われて、遅い夏休みをシンガポールで過ごすことにした。シンガポールと言えば世界の物流の要であり、元同僚にはその点を推されたのだ。このため、コンテナターミナルの眺めをいかに楽しむかをテーマに旅行プランを組み立てていた。 とこ…

デパートの裏側

デパートなどの集客力がある大きな建物の裏にある避難階段が面白く感じるようになってきた。もちろん過去の写真を振り返ってみても、様々な階段に興味を持って撮ってきたことは間違いないのだが、旧木更津そごうの避難階段(反復階段)を見てからは、はっき…

曲がった電柱

旭川の繁華街では、ぐにゃりと曲がった形状の電柱が列をなしている風景を見ることができる。おそらく何らかの理由で建物との近接を避け、かつ、道路幅員を確保するために、苦肉の策として生み出された不遇の電柱群なのだろう。旭川に来るたびに、飲み屋に行…

何があっても落とさない

富山の高岡市と射水市を結ぶ万葉線に乗っていたとき、庄川の河口に変断面が連続するコンクリート橋が見えたので、後日あらためて訪問してみた。1938(昭和13)年につくられた国道415号の「新庄川橋」である。 RC桁が描くリズミカルなラインはとても丁寧にデ…

反復階段

木更津駅西口に面した商業施設の裏側に、極めてゴージャスな避難階段があった。この建物から海側は背の高い建物がそれほど多くないため遠くからでもよく視認でき、木更津のシンボルと言ってもいいくらいの存在感を放っていた。 この商業ビルはもともと「木更…

長すぎるオフィスビルとベンチ

アムステルダムの造船所跡地に、かつてはクレーンが載せられていた全長270mのコンクリートのフレームが残されていた。これまでもオランダ人のすさまじいリノベーションマインドを数多く見てきたが(たとえば、飛行機に泊まる、クレーンに泊まる、毒虫の部屋…

博多駅周辺の名所

これまでにも福岡には何度も来ているはずなのだが、「博多駅」を訪れたのは今回がはじめてだと思う。西側の博多口は、自分が勝手に抱いていた博多のイメージと全く異なり、スケールが大きい現代的な街並みだった。その整然とした理性的な眺めに、なぜだかが…

連なる輪

デン・ハーグの地下トラム駅「Spui」はレム・コールハース率いるOMAの設計。地上、地下駐車場、トラムホームの重層構造が上手い具合にまとめられていて、複雑な空間構成が体感的に認知しやすくなっている。エスカレーターを下って地下のホームに行く途中、車…

アムステルダム再訪

3年前に1年間も住んでいた比較的なじみ深い国であるオランダをなぜ再び訪れているかというと、帰国してから見ておくべきだったなあという物件があれこれ湧いて出てきたためである。当方の情報収集不足、うっすら知っていたもののオランダにあると気付かなか…

ガソリンスタンド跨ぎ

シュトゥットガルトで見かけた、ガソリンスタンドの上空を越えていく橋。 この橋はシュライヒ事務所の設計で、ものすごく薄いコンクリートアーチでカーブした桁を支えている、地味にすごい橋なんだけど、曲線やら斜め線やらで空間が構成されているために視覚…

東京側25m

下関駅で見かけたトイレのサイン。もちろん間違ってはいないのだけど、そのスケール感覚はどうなんだろうか。山口県民あるいは長州人にとっては、通常の感覚なのかしら。