はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

都市

サイバーパンクな街

千葉駅に接続する千葉都市モノレールの軌道を、上から眺めてみた。1984年にウィリアム・ギブスンが書いたサイバーパンクSF小説『ニューロマンサー』に登場する電脳都市「チバ・シティ」は、実はすでに現実のものになっているんじゃないかと、うっかり錯覚し…

京都グリッドの呪縛

一ヶ月ほど前、京都に行く機会を得たので、古都って言っても現代の暮らしはどうなっているんだろうかねえと思いながら、うろうろと街を徘徊してみた。その際に、京都の地図を眺める度に気になっていた「後院通」にも行ってみた。 何をいまさらと言われると思…

タンガ

北九州の旦過市場がすごいよ。(公式ホームページ) 神獄川の上に迫り出した店鋪の背面が、なんとも幻想的なたたずまい。まるで東南アジア的のカオスな水都のような雰囲気を放っていて、うっかりときめいてしまう。 もちろん市場の中もすてきだよ。バックヤ…

ゴルフ場の調整池

ゴルフ場の開発に伴って整備された調整池のことではない。宅地開発に伴って整備された調整池を、ゴルフ練習場として使っている事例である。この近くにお住まいの方に教えていただいて、この調整池と併せてウハウハしながら見に行ってきた。いやもうすごいよ…

銀座の特異点・三原橋

銀座と言えば、高級百貨店、ブランドショップ、高級クラブに代表される大人の繁華街といったイメージか。歴史ある企業の本社やショールーム、ファストフードやファストファッションの旗艦店が集中するビジネス拠点というイメージか。 そんな銀座に、極めて特…

水無池

丘陵地なんかで宅地開発が行われると、その土地が本来持っていた保水力が著しく低下して、下流域に甚大な溢水被害を引き起こす恐れがある。このため、一時的に雨水を貯留する「調整池」と呼ばれるプールがセットでつくられることが多い。どちらかと言えば、…

王宮ラッピング

一昨年の今頃は何をしていたのかなとふと気になってカレンダーを見てみたら、10月から始めたオランダのアイントホーフェンでの生活にすっかり慣れて、はじめてアムステルダムを訪れた日だった。このときはコンセルトヘボウのコンサートを観覧するという浮か…

トリノのダンメン

昨年の今頃は何をしていたのかなとふと気になってカレンダーを見てみたら、11月後半に入居したミラノのアパートをはじめて離れ、2泊3日でトリノに行っていた日だった。あれからまだ1年しか経っていないとは驚きだ。この短い旅はネタが豊富に得られたんだよな…

貯水槽のある風景

たまたま釜山郊外の谷間の街にLRTで行く機会があった。高架になった駅を降りると、そこは貯水槽パラダイスだった。青系のタンクを中心に、ときどき黄色が混じっていて、とてもかわいらしい。 街区がグリッドで構成された街を歩くと、わりと強引に傾斜地を開…

商品としての都市

今回の韓国訪問では、新都市開発の例をいくつか目にした。それらはまさしく「都市」であって、「ニュータウン」などの規模をはるかに超えるものだ。開いた口がふさがらないほどすごいんだよ、ほんとに。入居者はどこから来るのだろうか、住民の年齢構成や属…

ロンドンのピアノ

まだロンドンオリンピックが開かれていた頃、三菱地所のTVCMが目に入るとそこにロンドンの街並みが映し出されていたので、「ああ懐かしいね」なんて知ったかぶり優越感をえらそうに振りまいてみた。これだから、にわか海外かぶれはイヤになるよね。 それはさ…

浅草の名所

少し前に浅草の仲見世通りに行ったのだけど、すれ違うのも難儀するほど国内外からの観光客でごった返していた。たしかに「江戸」の文化を体験するのにふさわしい場所だと思う。 しかし、そんな観光客のみなさまに声を大にして言いたい。江戸から続く「東京」…

東京は千葉でできている

僕が住んでいる千葉県は、東京ディズニーランドや東京ドイツ村があったりと、東京に媚びた卑屈さがあるように見える。しかし東京という大都市は、主に千葉でできているのだ。という事実をつい最近知った。どうやら千葉県民はこの事実をもう少し認識した方が…

御茶ノ水キャニオン

先週末、BPA(ボート・ピープル・アソシエーション)のクルーズ企画「東京花見クルーズ2012」に参加させていただいた。日本橋川、神田川、隅田川、小名木川をめぐる都市内河川おなかいっぱい堪能コースだ。これまでいろんな場所で頻繁に船に乗っている僕なん…

超現実シティ

ローマ近郊にムッソリーニの肝いりで1930年代に開発されたエウル(EUR, Esposizione Universale Roma)という地区がある。その名の通り、ここでローマ万国博覧会を開催する予定だったが、第二次世界大戦のために中止になったという。気合いを入れてつくった…

カラトラバ推しの街

生ハムやパルメザンチーズで有名なパルマと、フェラーリの街であり世界遺産にも登録されているモデナとの間に、レッジョ・エミリアという街がある。ここはモニュメンタルな構造物のデザインでは右に出るものがいないカラトラバでまちおこしをしようとしてい…

超高級アーケード街

ミラノのガッレリア、そんなに期待せずにふらりと立ち寄ったのだけど、かなりゴージャスですごい。古典的な石造りの建物に、当時の最先端素材である鉄とガラスを用いたドーム。当然のことながら、ディズニーランドやヴィーナスフォートとは質感が全然違うん…

ドなう

ドイツ南部に行った目的は、シュトゥットガルトおよびその近郊の橋梁巡礼、ミュンヘンのドイツ博物館見学、そしてドナウ川で「ドなう」とツイートすることの3点であった。 地上絵師の石川さんからのリクエストである「ドなう」を実現するために、どの街を訪…

コルビュジエ団地

もう1ヶ月以上も前の話ではあるのだけど、フランス南部の旅で最後に行ったのが、ル・コルビュジエによるマルセイユのユニテ・ダビタシオン。何年か前に森美術館でやったコルビュジエ展に展示されていた実物大のユニテの部屋にかなり衝撃を受けたので、せっ…

飛び地の聖地

だいぶ前のことになるが、グーグルマップでオランダを眺めていたところ、ベルギーとの国境がなにやらおかしなことになっている箇所を見つけた。ん?なんだろうこのノイズみたいなものは?と思い、おもむろに拡大していったのだが、それはますます不可解な図…

金持ちの国のスリバチ

ベルギー、ドイツ、フランスに囲まれた神奈川県ほどの大きさのルクセンブルク大公国は、ガイドブックにもたいして情報が載っていないマイナーな小国だ。グーグルパブリックデータによると、総人口はおよそ50万人。神奈川県のおよそ900万人と比べると、いかに…

パイソン雑感

「Borneo-Sporenburg Bridges」という両岸の埠頭が入ったまともな名前がつけられているこのまともじゃない橋は、「The Python Bridge」というニックネームも持っている。なるほど、巨大なニシキヘビが僕らを威嚇している姿に見えるね。 この橋を渡ってみると…

一対のバランス

この橋は先日紹介した橋とセットになっている。両者を見比べてみると、こちらの橋のフォルムははじけていなくて面白みが感じられず、そもそも桁下端のラインは不格好だし、ラチスで組まれた側面の傾斜の変化は窮屈な感じで、なんだか拍子抜けしてしまう。つ…

パリの新橋

パリのセーヌ川に架かるポンヌフという橋は、およそ400年前につくられた。ものすごく古いはずなのに、夕日を受けてほんのり輝くその姿は「新しい橋」という名前にふさわしくフレッシュな印象だった。どうやら数年前に化粧直しをしたらしい。それって、石の表…

ゴミ投入口

アイントホーフェンに引っ越してきた当初、ゴミの出し方が全くわからなかった。アパートの管理会社で専用のICカードを使って地下のゴミ捨て場に投入するというようなことを教わったのだが、アパートに来てみてあちこち探しても地下室なんて見当たらない。あ…

曇天のロッテルダム

この日も雨が降りそうな曇天だった。しかし、オランダのドボクを見たいという欲求を押さえられず、一路ロッテルダムへ。暗い雲の中で一瞬、タワーにだけ太陽の光が当たったエラスムス橋は、彫刻作品のように凛としていて、悔しいけどかっこよかった。このシ…

街の日常

運河、アーチ橋、カヌー。こちらは物珍しさを感じながら見ているけど、この街ではごく普通の光景なんだろうね。

倒錯

ヨーロッパの観光地化された古い街並みを歩いていると、ふとディズニーランドとかのテーマパークに来ているような感覚に陥り、すべてが張りぼてに見える瞬間があるな。そこにはリアルな生活があるはずなのに。 自分の目が鍛えられていないことの証なんだろう…

江東水路

江東区の観光案内所およびギャラリーである深川東京モダン館が主催する江東ドボクマッピング水路編に参加させていただいた。「水路を行く」の外輪太郎さんをツアーガイドとする江東デルタ地帯の水路クルーズ。 水面から眺める都市ってのは本当に面白い。視線…

見附交差点

赤坂見附とは江戸城に対する外敵の進入を見張るための城門のひとつであり、いまも石垣が残されている。その遺構を背にして、近傍の交差点の様子を監視してみよう。首都高と青山通りの平面線形と縦断線形が複雑で、平衡感覚がなくなるよ。個人的には、かなり…