はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

改修

超巨大写真

少し前に札幌に行った際、改修工事中の北海道庁・赤れんが庁舎の脇を通りがかり、一瞬ドキッとした。完成はまだまだ先のはずなのに、その姿がバッチリ見えると。二度見すると、写真を転写したシートで覆われているではないか。もちろん実物の佇まいからはほ…

吊橋改アーチ橋

ひょんなことから「とくしま橋[はし]ものがたり」という、吉野川に架かる橋について記述された本をいただいた。そして、そこに掲載されていた三好橋という橋に目を奪われ、早速訪問することにした。なにしろ、もともと輝かしい吊橋だったのに現在はアーチ…

魔改造水飲み場

弘前では雨に降られたことでまち歩きを断念し、8つある前川國男建築を巡ることに注力した。弘前公園の中にある弘前市民会館と弘前市立博物館の外観を一通り眺め終えると、目の前にあった水飲み場に目を奪われた。 3方向に分岐する水道管が、躯体の表面に露…

抽象画の意図

コロナ禍の影響で、自分自身のインプットとアウトプットのバランスが大きく崩れたことは自覚している。昨年末に『日常の絶景』を出版できたこと自体は、大きなアウトプットとして大いに意味があったと思うのだが、インプットの量が圧倒的に少なくなっていた…

古い駅舎の新しいシェル

ロンドンのキングス・クロス駅は、ハリー・ポッターの9と3/4番線でおなじみ。でも僕の中では、2012年につくられた新たなコンコースを実現したグリッド状の構造を持つシェル屋根でおなじみだ。 1852年から続く由緒正しい歴史的建造物である駅舎を現状保存しつ…

退廃的緊張感

海外旅行で知らない街を訪れた際に、少々不穏な空気を感じてゾワゾワする場面がよくある。できればそんなシチュエーションに陥りたくないなと思いながらも、あの緊張感をついつい能動的に堪能してしまう人も少なくないだろう。結果的に旅の体験を豊かにして…

脇を固める

これまでにもまち歩きをしている最中、いろんな耐震改修の事例を写真に撮ってストックしてきた。もちろん知識に基づいて見ていたわけではないので、なんとなくというレベルだが。 先ほどそれらを一覧していたときに気付いたのだが、松江のテレビ局にあったタ…

残す再開発

ロンドンのセント・パンクラス駅とキングスクロス駅に近接し、1820年に開通したリージェンツ運河の北岸にある「コール・ドロップス・ヤード」というショッピング・モール。その名の通り、鉄道と運河を結びつけて石炭を積み降ろすことで産業革命を支え続けた…

ラッピングX字歩道橋

X字の横断歩道橋もそれなりに珍しいが、それが補修工事の足場で半分だけラッピングされているとなると、見に行かないわけにはいかない。しかも、近所だし。この交差点は夜に車で頻繁に通るので、気になってはいた。昼間にちゃんと見に行かねばと常々思って…

今が旬

もう10年近く前になるが、オランダ滞在時に有名な観光名所が改装中という事態に幾度となく見舞われた。それを繰り返すうちに、足場や養生シートで覆われた名所になんとなく反応するようになり、気がつくと写真で記録するようになっていた。 そんなこともあっ…

ラッピング名所

ロンドンの象徴とも言えるウエストミンスター宮殿およびビッグ・ベンと呼ばれる時計塔は、現在絶賛大改修工事中。もちろん僕もその事実は知っていた。だからこそ、今回の旅でわざわざ立ち寄ってきた。なにしろ、みんなが知っているガイドブックの写真と同じ…

山中の緊急災害復旧

津和野川に合流する名賀川。細長い島根県の、山口県との境界をなす山中を流れている。つまり、千葉から行くにはずいぶん手ごわい場所。その風景の第一印象は、しっとりと地域に馴染んでいるなあというものだった。ところがここは、2013年の豪雨によって甚大…

パラドール体験

「パラドール」とは古城や修道院などをリノベーションしたスペイン国営のホテルのこと。その存在を知ったのはもちろん「水曜どうでしょう」なわけで、いつか泊まりたいなあと密かに思っていた。そこでお正月のスペイン旅行の目的のひとつに設定して、バスク…

給水塔ホテル

千葉高架水槽についてツイートしていたときに、2年ほど前のケルン訪問時に泊まった給水塔リノベホテル「Hotel im Wasserturm」のことをブログに残していないことに気がついた。少々忘れかけているが、写真を見ていろいろ思い出したので、今回あらためてメモ…

絶景の道

ビスケー湾に浮かぶガステルガチェという島は、最後のジェダイや伝説のドラゴンの気配が濃厚に漂っていた。どうやら千年以上前から開かれた場所らしい。樹木の生育を拒む荒れ狂う風と波、大地の褶曲が感じられる岩の層、長い石段を経て到達する頂上の礼拝堂…

ドナドナ城

上海訪問の大きな目的のひとつは、コンクリートのただならぬ重厚感を漂わせながら、オシャレな店舗やクリエイティブ関連のオフィスなどが入っている1933老場坊という施設を尋ねることだった。ここは何と、租界時代にイギリス人建築家によってつくられた、当…

段差の更新履歴

職場の近所を通る私鉄の切土区間にある跨線橋。鉄道の建築限界をクリアするために、少々無理をしながら路面位置が持ち上げてられている。この様子には事情が積み重なっているような気がして、個人的にはがっちり心をつかまれた。そこで現状を観察しながら、…

将来対応の角

旭川の繁華街にあるビルの側面に、大量の角(つの)が盛大に飛び出していた。神田明神の近くで見たビルにも似たような角が生えていたなあと思い出したのだが、いまひとつその役割がピンとこなかった。SNSを通じて、複数の方から増築のための仕掛けだろうとい…

コンテナタワー

コンテナ好きとしては、チューリッヒに行くならどうしても立ち寄らねばならない重要な場所がある。それは、トラックの幌をリサイクルしたバッグで有名なブランド「フライターグ」の旗艦店。全部で19個の中古コンテナを用い、4層までは店舗、階段部は9層まで…

擬窓

ミラノのドゥオモにアプローチする通りにて。 心ない落書きは、いくら僕でもそれなりに心が痛む。でも、落書きの消し方が雑すぎてさらに心が痛む。でも、そんな落書きも窓の部分は避けていて少しほっこりする。でも、よく見るとその窓は実物ではなく、ペンキ…

がんばれ橋脚

先日、ものすごく無理しつつも必至に桁を支えている橋脚を、新宿で見た。これほど見た目に限界付近で耐えていることが理解できる橋脚は珍しいので、どうしたって応援したくなるよねえ。そんなことを一緒に歩いていた方々に興奮しながら伝えたのだが、あまり…

再生煙突

ロンドンを訪れている大山顕さんのツイートにより、驚愕の情報がもたらされた。長い間放置されていた有名な都市内廃墟物件の「バタシー発電所」の4本煙突のうち3本がなくなっているというのだ。ちなみに上の写真は、2011年の放置状態の様子。 バタシー発電所…

リプレイス

道路照明を説明するための写真が必要になったので、もやし柱と高圧ナトリウムランプのセットの写真を撮ろうとして、帰宅時にレンズを向けてファインダーを覗いた。ところが、なんだか様子がおかしい。灯具が妙に薄いのだ。光源も複数個見えるし。 よくよく見…

増築ビル

ピカピカの高岡駅前広場との鮮やかな対比が魅力的な「アドニスビル」は、全く様式が異なるファサードが隙間なく連なっている。無計画に増築を繰り返したのだろうか。香港にあった九龍城を彷彿とさせる、フリーダム感と威圧感が同居した佇まいだ。 富山の町屋…

ハイブリッド・パラダイス

何度も言うけど、僕はなぜか大阪と縁遠い。先週末は、昨年の12月から数えると3回目の訪問だったので、珍しく頻繁に訪れていることになる。しかし、打合せやらイベントやら雨やらで、ろくにまち歩きやドボク鑑賞ができないもどかしさは相変わらず。今回の訪…

後付けの将来対応

数日前、習志野市の埋立地を歩くフィールドワークに参加させていただいた。この付近は自分の職場の近くであり、いつもは車で往来しているエリアだ。つまり、歩くことはほぼ初めてと言ってよい。 スタート地点のJR京葉線・新習志野駅を出てすぐ、同行のメンバ…

セクシー網タイツ

博物館の王様と言えば、大英博物館だろう。古今東西のアーカイブの充実っぷりは、想像をはるかに超えていた。各種の侵略を繰り返しながら略奪してきたものだろう、という側面も窺えるが、ここだからこそしっかりアーカイブされているという厳然たる事実も目…

後付けの屋根

大英博物館やルーブル美術館をはじめとする欧州各地の古いゴージャス建築では、その中庭に後からガラス屋根を設置することで、天候や季節に左右されない内部空間として活用することが増えてきた。しかも、その屋根構造そのものがひとつの見どころとして成立…

景観公園

4年前に撮った写真をあらためて見返しても、ルール地方のデュイスブルクにある「ランドシャフトパーク」はすごい。日本語で言うと、「景観公園」だ。ここは1985年に操業を停止したテュッセン製鉄所の遺構を利用している公園で、斜め上を行く様々な施設が盛…

ラッピング橋梁

先日Twitterで、新幹線の車窓から見た丸子橋のアーチリブに、おそらく塗装のための仮囲いが設けられていることが話題になった。なかなかすてきなラッピング橋梁なのだが、見に行く時間がなかなか確保できなさそうだ。 それならば。自分もどこかでラッピング…