はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

ロンキエール


欧州に来てみて、可動橋やら閘門やら、水運にまつわる構造物があたりまえのようにあることにびっくりした。日本における内陸水運はモータリゼーションの波にさらされて消滅の一途をたどったのに、欧州では現在も平然と機能しているんだね。オランダのように標高差がほとんどない国はなんとなく理解できるが、ベルギーのように起伏がある国であっても水路ネットワークが機能していることがすごい。
その水位差の解決の仕方もまたすごい。ブリュッセルから40kmほど南にあるロンキエール・インクラインは、91m×12mの巨大なバスタブに船を浮かべて、まるごと昇降させてしまうというとんでもない施設。68mもの標高差を1.4kmの距離をかけて上る。こんなばかばかしいことを思いついた上に、実際につくってしまうなんて、ベルギー人もなかなか根性が据わっている。
数年前にカワウソ写真家の佐藤さんのブログ(Das Otterhaus 【カワウソ舎】:ロンキエール)を拝見してそのかっこよさにしびれ、先週末にようやく行くことができた。まさかの2週連続ベルギー行だ。あいにく雨混じりの天候ではあったけど、欧州土木技術の強引さの一端に触れることができて、すっかり興奮したよ。