はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

復興へ


この度の大震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災されているみなさまに心よりお見舞い申し上げます。救助や救援や復旧にご尽力されている無名のヒーローのみなさま、ご活躍とご無事をお祈りしております。日本に暮らすみなさま、引き続き冷静な言動で日本の社会秩序を維持し、世界に日本の底力を見せつけてくださいますようお願いいたします。どうか一人でも多くの方の安全が確保でき、全ての混乱が収束に向かい、うるおいのある生活が取り戻せますように。
地震発生時、僕はルクセンブルクにいた。朝出かける直前にホテルの貧弱なインターネット回線を通じて日本で大地震が起きたことを知ったんだけど、この時点ではこれほどの大惨事になっているとは想像できず、何はともあれ日本の家族に向けて安否確認のメールを送った後に、予定通り隣国ドイツに向かった。世界遺産にもなっているフェルクリンゲン製鉄所を、ドイツ人の展示はすごいとか言いながら1日かけてじっくり堪能した後、ザールブリュッケンのホテルの快適なインターネット回線を通じて、信じがたい現実を突きつけられた。そして脱力感や無力感や罪悪感などを伴って、かなり混乱してしまった。翌日オランダの自宅に戻り、ようやく落ち着きを取り戻した。
遠い異国の地においては直接的に復興に貢献できることが限られてしまうけど、少なくとも周りのオランダ人には、日本の防災システムの素晴らしさや災害に対する備え、日本人が持っている相互扶助精神やしっとりとした細やかな気遣いや困難への粘り強さなどをしっかり伝えようと思う。そして、長期に渡るであろう復興への協力を求めていこうと思う。些細なことでも、できることはやっていかないとね。
ちなみに上の写真は旧東ドイツ出身の「アンペルマン」。なぜか南西部の街であるザールブリュッケンで見かけた。大股で闊歩する彼は、国家の分裂と統合という大混乱を乗り越えてきたのだろうから、自然災害を受けてもその歩みを止めない象徴でもあることを期待したい。