はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

記憶の定着に寄与するもの

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ここ数日、わけがあって欧州滞在時の写真を必死にほじくり返している。自分のだけではなく、妻が撮影した写真も一気に閲覧している。大量にある未整理データとの格闘はとても骨が折れるのだけど、自分とは異なる視線からの記録によって、新鮮な驚きと大きな興奮とともに当時の記憶が生き生きと蘇ってきている。 

その中で、ロンドンからアイントホーフェンに戻る飛行機からの素晴らしい記録写真が見つかった。このブログでもたびたび取り上げているオランダの超絶高潮対策事業「デルタワークス」 を説明するのにふさわしい航空写真だ。びっくりしながら小躍りして妻にお礼を言ったのだが、そんな記憶は全くないという。それどころか、飛行機や電車で窓側の席に座らせてもらったことなどないと、若干やぶへびなことになってしまった。なんだかいつもごめんなさい。

おそらく窓の外を眺めていた僕が、慌ててカメラだけを借りて撮ったのだろう。自分のカメラで撮った膨大な記録写真は後からチラチラ見ているので、引き出し可能な状態で記憶に残っている。しかし、いくら感動したであっても「定着」のプロセスを経ていないものは、忘却の彼方に葬り去ることもありうるのだ。ちゃんとした長期記憶に持っていくためには、それなりの後処理が必要なのだろうね、おそらく。

僕のように記憶力に自信がなく、デジタルの外部記憶装置にばかり頼っている人はご注意あれ。しっかり「ログ」を取るだけでなく、上手に「アーカイブ」しておかなければ、引き出せなくなってしまうよ。まあ多くの場合は体験したことすら忘れるので、なにも問題は起こらないのだが。

なお、上の写真にある矩形の突堤は、道路として連担している「水門」のピアをつくるために構築された堤防の痕跡である。なにかとすごいスケールだね。この一万年確率の災害に対応しようとする「デルタワークス」の断片については、以下のリンクを併せてご参照いただきたい。「残されたブロック」の中にある動画の1'40"あたりからを見ると、ピアの製作の状況がよくわかるよ。