はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

後付けの屋根

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大英博物館やルーブル美術館をはじめとする欧州各地の古いゴージャス建築では、その中庭に後からガラス屋根を設置することで、天候や季節に左右されない内部空間として活用することが増えてきた。しかも、その屋根構造そのものがひとつの見どころとして成立している。

ローラン・ネイが手がけたアムステルダムの海洋博物館もそのひとつ。海図をモチーフにした幾何形状のドームは、なにかのマジックを見ているよう。細いスチールの部材と平面ガラスだけで構成された構造体は、もともとの建物に水平方向の負担をかけない設計になっている。格点にLEDが仕込まれていてじんわり色が変わるという演出も、おまけでついている。

もともとの価値を相乗的に向上させる構造体って、個人的には強烈な魅力を感じるんだよな。機能的な必然性を満足させながら、そのもののカタチを極限まで洗練させることで味わい深さを獲得するって、物体のデザインが目指すひとつの方向だよなあ。