はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

デザインの勝利

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今朝はいつか行かねばと思い続けてきた岡山県にある「苫田ダム」を、ようやく見に行ってきた。一昨日に訪問するつもりでいたのだが、雨天のため急遽予定を変更したことが功を奏して、快晴に恵まれた。

このダム、なにかと整っており、かっこよすぎて困った。全体のプロポーションが緻密に構成されているだけでなく、かなり細かい部分の造形にも配慮が行き届いている。これは、「見られる」ことを大きな価値に位置づけているのだろうね。その証拠に、ダムを見るための良質の「視点場」が、各所に用意されている。かゆいところを掻いてくれている気分。デザインってのは色や形だけじゃないんだよ、ということを、身を持って示してくれている。

その他も、橋梁のような管理棟、湖面をまたぐ橋梁、上流の園地なども尋常ではない突き抜けたレベル。単体だけに力を入れた一点豪華主義ではなく、それぞれの関係も含めた「全体」のクオリティがものすごく高い。僕もいろんな土木構造物関連のデザインを見てきたつもりだけど、これほどまでにプロジェクト全体のデザイン水準が高い事業って、南フランスのミヨー橋くらいしか思いつかない。いまこの瞬間は。

褒めすぎと言われるかも知れないが、今日はまだ興奮している状態なので、ご容赦いただきたい。いままでこれを見に来ていなかったことの反省も含め、また、こんな素晴らしい仕事を実現したチームへの嫉妬と羨望の気持ちも含め、さらに、日本の土木デザインが萎縮しないでほしいという願いを含め、いまの正直な気持ちを書き留めておく。