はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

滝になったダム

“ピョウタンの滝”と呼ばれる構造物が北海道にある。天然の岩と人工の平滑面が共存するユニークな姿と、その組み合わせによって生まれた豪快な落水表情から、なんとも不思議な感覚に浸ることができる。

元々は発電用のダム(正確には堰堤)として、昭和29年に建設されたものである。しかし竣工の翌年、豪雨により大量の土砂が上流から流れ込み、ダムとしての機能が失われた。たった1年の短命であった。建設に携わった方々や地元の方々落胆は計り知れないよね。取り壊す資金も必要性もなく、そのままの姿で放置された。

現在は地域の観光資源として活躍している。周辺には公園やキャンプ場が整備され、多くの人が人工の滝の見物に訪れる。人の役に立ってるけど本来の使命じゃないので、元ダムからすると気恥ずかしくて複雑な気分かもね。