はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

鋼鉄の天守閣

蘇我駅前の通りは、鉄鋼の街を象徴する景観になっている。“山アテ”ならぬ、“高炉アテ”なのだ。そのことを意識して高炉を配置、もしくは、道路を整備したのかどうかは不明だが、高炉が確実にランドマークとなる印象的な構図が形成されている。

この景観を日常的に目にしている住民の方々は、どのように感じているのかな。親しみのあるものなのか、なにも感じないのか、目を背けたいものなのか。地域の方々にとって、高炉はどのような存在なのかな。

この高炉は現在稼働していないとのこと。ということは、早晩解体されるのだろう。もしこの景観が地元にとって価値があるのなら、産業遺産として保存・活用することはできないだろうか。街の活力を求める地域住民、地域との距離を縮めたい企業、イメージアップを図りたい産業界、景観資源の発掘とその周辺の整備をしたい自治体、みんなひっくるめてメリットを得ることはできないだろうか。

こんなことをまじめに進めようとすると、市場原理主義者や環境原理主義者はもちろん、景観原理主義者や景観操作反対主義者など、各方面からの風当たりが強いんだろうなぁ。