はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

逆さまの斜張橋

ドイツ・アウトバーンのネッカータール高架橋。この写真ではわかりにくいけど、復員は30m、橋脚の高さは120mの巨大な橋だ。10mの張り出し床版を支えるストラットがすてき。渋い配色もすてき。

この橋の支間割りは、230+3@134+230。端が長い変則的なもの。普通の桁橋では、構造的なバランスから、両端の支間は中央の支間よりも短くする。つまりこの橋の支間割は、かなり無理しているように見える。

なぜおかしな支間割になっているかというと、橋台がある斜面は地盤条件が極めて悪いので、無理に橋脚を設置したくなかったから。地震や豪雨での土砂災害を見てもわかるように、斜面はとっても怖いのだ。

いろんな問題を解決するために、橋台と橋脚部分にケーブルを渡して、その中央に柱を立てて、宙に浮いた橋脚を設定した。ちょうど斜張橋をひっくり返したような形だね。こうして、仮想的に2@115+3@134+2@115とすることで、構造のバランスを保ったわけだ。

ぱっと見には素っ気ない感じだけど、いろんな創意工夫が満載されている橋だ。すてき。