はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

曲げる理由

コンビナートでは、グニャリと曲がったパイプをよく見かける。一直線に伸ばせば済みそうなところでも、一定間隔で曲げられている。効率が悪いような気がしてならないが、もちろん理由があってのこと。

これは、熱によるパイプの伸縮を吸収するためなんだそうな。

物質は温度が高いと膨張し、低いと収縮する。この力は侮れず、無理に拘束すればどこかが壊れてしまう。物体が大きければ大きいほど、この影響も大きくなる。そうそう、橋の端部や鉄道のレールに継ぎ目があるのもこのためだね。

コンビナートのパイプは、高温高圧のスチームやホットオイルが通っているので、常軌を逸した温度変化にさらされる。しかも、隙間ができるようなジョイントは設けられない。このため、パイプ自身を変形させることで、伸縮による力を受け流すことにしているというわけだ。

どこかで曲げられたパイプを見かけたら、その中を通っている熱いモノを想像していただきたい。そして、嫌がりもせず黙々とがんばっている彼の魅力的な姿を愛でていただきたい。