はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

2枚のレンズ

ピッツバーグのダウンタウンは2つの川の合流部に位置しているので、必然的に多くの橋が架けられている。それらの橋はみな、申し合わせたように鋼製の年代モノである。かつて鉄の街として栄えていた証なんだろうね。

中でも目を引くへんてこな橋がある。“レンズトラス”という構造形式の橋。2つの曲線が交錯する見た目は、なかなかユニーク。昨年訪れたときに、はじめて実物を見た。

細かい部材で構成されているディテールは、手作り感満載でヒューマンスケールに溢れている。引張の形、圧縮の形、ピンの形、剛結の形、それぞれの意味が視覚的にもわかりやすい。高価な材料をチマチマ使っていることに共感しつつ、ウキウキしながら渡った。

この形式は一時的にしか流行らなかったようだ。たぶん、構造面と製作面のメリットが少ないからだろうね。でも、そのおかげで結果的にレアものの価値を獲得できているのかも。