はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

去りゆく老兵


デンマークの鉄道用海底トンネルの坑口付近に、その建設で使われたトンネルボーリングマシンのカッターヘッドが展示というか放置されていた。
人によっては、ただの汚い鉄の塊に見えるかもしれない。しかし、幾何学的な形態や錆びた表面は美しさを帯び、遺跡にも似た存在感がある。周囲の環境に溶け込んだアート作品のようなたたずまいである。
技術の粋を結集した鉄のエリートがその重責から解放され、かつての活躍を誇示するわけでもなく、ゆっくりと朽ちてゆく。その情景からは、なんとも感傷的な気分を呼び起こされる。放置ってのは、技術の展示にふさわしい方法のなのかもしれない。