はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

土木発・ドボク再発見


昨年から土木を扱った雑誌や番組が散見されるようになってきたように感じるが、先日発売された「AXIS」というデザイン系雑誌に、極めて重要な特集記事が掲載されている。タイトルは「土木の神髄」。これはまさしくドボク・エンタテインメントの範疇だよね。デザイン系雑誌の老舗であるAXISらしい上質なレイアウトで、美しい紙面がつくられている。

なにが重要かというと、土木の「内側」から「外側」に向けての情報発信であるということ。ここ最近の土木への好意的まなざしは、土木の「外側」にいる方々が発見してきた。たとえば、大山顕さんの「ジャンクション」、萩原雅紀さんの「ダム」、佐藤淳一さんの「恋する水門」、小島健一さんの「社会科見学に行こう!」などなど、昨年から相次いで出版された写真集の著者を見てもそのことがわかる。

あくまでも私感であるが、土木はその社会的役割の重要性に比べて、プロモーションが極端に下手であると思う。男は黙っていい仕事をすることを良しとする文化が根強いせいか、専門性が細分化されて全体が見えなくなっているせいか、扱う対象がでかすぎて市民感覚が失われているせいか。この特集記事は、そのような現状に対するブレークスルーになりうると感じる。なにしろ、土木の社会的位置付けやそのデザインの方向性などが、一般の人にとってもわかりやすく記載されているので。土木の人にとっても再認識することが多いと思う。

ちなみに、記事の内容もとても面白い。たとえば、土木の仕事領域の広さを具体的に示していたり、これまで当たり前のものとして享受していた土木の風景を意識化することで見え方が全く変わることを示していたり。それに、個人的にファンになっている環境ノイズエレメントの宮本佳明さんや、土木学会デザイン賞の選考委員長である天野光一教授の記事が載っていたり。ぜひとも多くの方々にご一読いただきたい。そして、土木の社会的役割を少しでも感じ取ってほしいと思う。

企画に携わったトーキョー・ドボク・ソサイエティのこれからの活動も、目が離せないね。


AXIS (アクシス) 2008年 04月号 [雑誌]

AXIS (アクシス) 2008年 04月号 [雑誌]