はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

人気のないすてきな橋


首都高速道路湾岸線のA型主塔を持つ一面吊り斜張橋・鶴見つばさ橋。プロポーションもいいし、構造デザイン的にも造形的にもバランスがとてもよく感じられる。個人的には、側径間が寸詰まりの吊橋・レインボーブリッジよりも、仰々しいH型主塔の斜張橋・横浜ベイブリッジよりも、遙かに洗練されていてかっこいいと思う。でも、それらの橋に比べて、知名度も人気も低いように思われる。それはなぜか。
単純な話、観賞する場所がほとんどないのだ。特にレインボーブリッジはいろんな角度から、いろんなシチュエーションで眺められる場所がふんだんにある。サンフランシスコの湾口に架かるゴールデンゲートブリッジと同じように、あるいはそれ以上に幸せな橋だ。多少不細工な部分があっても、見られる場所があることが重要なのだ。
最近参加させていただいた横浜キャナルクルーズのおかげで、海から鶴見つばさ橋を眺める機会を得た。ついつい興奮して、シャッターを切りまくってしまった。いくらすてきなデザインが実現できても、それを眺める視点場がなければ、市民からは愛されないと言うことは、どうやら事実のようだね。特に風景を一変させる長大橋梁の場合、見られることを多少なりとも意識しなければならないので、視点場の整備はセットで考えるべきだろう。鶴見つばさ橋の場合は、海上のクルーズが有効な手段になるだろうから、相乗効果を期待したいね。