はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

土木デザインの賞


先週末、土木学会デザイン賞の授賞式および受賞者プレゼンテーションに行ってきた。今年の最優秀賞は、岡山の苫田ダムとその周辺の整備、札幌のモエレ沼公園、山形の金山町の街並み整備。バリエーションが豊富。どれも最優秀にふさわしく、納得行くどころか、感動した。

苫田ダムとその周辺は「土木デザインのテーマパークだ」という講評。ダム堤体だけでなく、付け替え道路の橋梁群やトンネル群も一気に楽しめちゃうのだそうな。個々のデザイン水準の高さが揃っているってのが素晴らしい。管理庁舎もなにげにかっこいいし。それに、ラビリンス式越流方式がすてき過ぎだ。あぁ、行ってみたい。

モエレ沼公園は当然行ったことがある。なにしろ、元札幌市民だからね。でも、僕が札幌に住んでいた頃は、ガラスのピラミッドがまだできておらず、未完成の状態だった。かのイサム・ノグチのマスタープランを前にして、関係者が苦労して現実のものにしたというプレゼンには泣けてきた。ともかく、あんなスケールのでかい公園はなかなかないと思う。まさに大地の彫刻。あぁ、また行きたい。

金山町の存在は、そもそも知らなかった。だからそんなに期待していなかったんだけど、これがまたいい話だった。20年以上かけて住民と行政とつくり手が一体となって地道に醸成してきた街並みなんだそうな。審査委員が現地に行ったとき、町の子どもたちはみんな元気よく挨拶してくれるんだそうな。街並みづくりは人もつくるんだねぇ。あぁ、そんな街に住んでみたい。

ともあれ、土木のタイムスケールのでかさとデザインの力と関係者の実直さを再認識した一日だった。この表彰制度は一般からの推薦も受け付けているので、お気に入りの土木構造物や土木的空間があれば連絡してみるといいと思う。応募に至った場合には、かなりまじめに審査してくれるので。