はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

陸の水門


日の出桟橋で水上バスを降りて浜松町の方向に歩いていくと、黄緑色の物体が唐突に現れる。よく見ると、下にレールがついていることから、この先の道路を閉ざすゲートであることがわかる。でも、普通のゲートにしては厚さが尋常ではないし、中途半端に低い。
実はこれ、陸閘と呼ばれる水門。常時は堤防の内側と外側の行き来ができるように開けられているが、高潮のときには連続した堤防の一部となって街を守る。堤防の高さは低いけど。そのときにはとんでもない水圧がかかるため、異様にごつくつくられているわけだ。
陸に上がった水門は、一目見ただけではピンと来ない。むしろ、変な物体にしか見えない。でも、じっくり考えながら観察してみると、いじらしくてかわいいやつだと思えてくる。そこらへんが非常時インフラの難しくて面白いところ。