はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

ヤバネ

北海道のとある田舎道。ここには本州ではあまり見られない道路作工物がある。車道の縁端部を示す赤白の矢印、通称・矢羽根(やばね)、正式名称・視線誘導柱。
もともとは除雪作業の範囲を示すためのものとしてどこかのメーカーが開発したものらしいが、結果的に荒天時の道しるべとして機能し、北海道内で爆発的に普及した。たしかに、吹雪の時にはとても役に立つ。
でも、本来の機能が全く発揮されない夏ではどうだろう。かつて札幌で景観の仕事をしていたとき、個人的には北海道らしい風景を阻害している要素だと思っていたので、安易な設置を避けるようにあれこれ策を弄してきた。しかし、北海道らしい風景を構成している要素なのだという主張により、押し切られたことの方が多かった。
ものごとに新たな観点や価値を見出すことはいいんだけど、それが大事なことに目をつぶる言い訳になって、本質的に保守的になっちゃうのは困る。という気持ちは今も変わらない。あれからだいぶ時間が経ったけど、いま矢羽根はどんな位置付けになっているんだろうか。