はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

一周忌

昨年の9月11日、ジャズ界でひとつの時代を築き上げたジョー・ザヴィヌルが亡くなった。享年75歳。訃報に接してから数日の間、何もする気がなくなったことを覚えている。それほど自分の中では大きな存在である。なにしろ僕は中学生のときにはまってから、今でも毎日のように聴いているのだから。
ザヴィヌルの名前はウェザー・リポートというバンドで知られることが多いと思うけど、亡くなる直前まで活動していたザヴィヌル・シンジケートというバンドも見過ごすことができない。東京でのステージを5回ほど観たが、とても70歳を超える人間とは思えないパフォーマンスだった。孫のような世代のメンバーたちを、鋭い眼光と驚異的な集中力でコントロールし、ものすごい高密度な音楽を奏でていた。そこで生みだされた怒涛のリズム、強烈なグルーブ、美しいメロディー、緻密なアンサンブルは、世界最高峰の洗脳音楽となって昇華したことを今でも鮮明に憶えている。
ザヴィヌルは、良くも悪くもプロ中のプロだった。聴衆に迎合することはなかった。自分の信念を貫き通していた。常に視線は世界に開かれ、常に最新のテクノロジーを取り入れ、常に最高のテクニックで理想を実現化してきた。そして、歳をとるほど過激になっていった。
と言っておきながら、あまり人にはおススメできない。あまりにもアクが強いらしく、多くの人は拒否反応のほうが先行してしまうのだ。事実、ザヴィヌルの音楽で興奮する僕は、これまで何度も変態扱いされている。

ワールド・ツアー

ワールド・ツアー

  • アーティスト: ジョー・ザビヌル,ゲイリー・ボウルソン,リチャード・ボナ,ビクター・ベイリー,パコ・セリ,マノロ・バドレーナ
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 1998/05/21
  • メディア: CD
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