はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

下部工付きバルコニー

橋梁において、桁や橋面は「上部工」、橋脚や橋台は「下部工」と呼ばれている。上部工と下部工の接点には「支承」もしくは「沓」と呼ばれる荷重を上手く伝える装置があり、それなりの頻度で点検をする必要がある。このため、下部工には点検のための足場として「下部工付き検査路」が設置される。下部工付き検査路は鋼製であることが多く、見た目にも煩雑になって、橋の外観を損なう場合が多々ある。
前置きがややこしくなってしまったが、この橋梁はだいぶ前にデザインで関わらせていただいた物件である。この橋の下部工付き検査路は、橋脚と一体化したコンクリートにさせてもらった。ちょっとしたバルコニーみたいになって、鋼製にするよりもだいぶすっきりしたと思う。しかも、主要な視点場である国道とは逆の面に設置しているので、通常は見えない。
この前、はじめて現物を目にした。当時のことを思い出しながら実物を眺めると、感激する。こんなとき、土木の仕事に関わらせてもらってよかったとつくづく思う。