はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

夏休みの宿題案


訳もなく、いや、訳あって、およそ四半世紀ぶりに最新のガンプラをつくっている。ちまちまつくっているのだが、手でモノをつくる楽しさを、久々に味わっている。いいねえこの感じ、たまらんねえ。
この最新ガンプラが、とにかくすごい。接着剤不要の組み合わせを実現するものすごく精度の高い型、材料ムラがほとんど見られない精巧な成形、異なる素材で構成された柔らかくフレキシブルな関節、作業を進めていくごとに感動を覚える。これを開発・設計・製作した人々はすごい。すごすぎる。尊敬する。
その完成度の高さと引き替えに、昔のガンプラにあったある種の「隙」は、陰を潜めている。昔のガンプラは、作り手が一手間かけないとそれらしくならなかったものだ。たとえば塗装とか、パテ盛りとか、ヤスリがけとか。最新のガンプラでは、丁寧に編集された説明書に従っていれば、簡単にレベルの高いモデルを作ることができる。これは「想像力」の涵養には貢献すると思うが、作り手の「創造力」を逆に阻害することになっているのではないだろうか。
僕は現在、ある大学において工業デザインの基礎教育に関与している。おっさんくさいことを言うが、最近の学生の立体モデル制作力の低下は著しい。本当にしゃれになってないレベルだ。モデルに関する基礎的な知識やスキルが全くない状態で入学してくる学生も少なくない。デザインの学科だというのに。
というわけで、来年度の入学生では新たな実験をやろうと思う。夏休みの課題で、プラモデルを1体作り、それを写真に納めて提出させるのだ。対象はクルマでも、航空機でも、ガンプラでもなんでもいい。条件は、必ず「塗装」によって仕上げる行程を加えること。もちろん改造は大歓迎。どうだろうか。
簡易的なモデル体験を早い時期に経験させれば、モノをつくる喜びを味わうとともに、立体造形のスキルに役立つことだろう。型で成形されているモノに直接触れれば、製品の成り立ちを体感的に理解できるだろう。塗装をする行程では表面の仕上げに対する洞察力が身につくだろう。写真を撮る行為によって、表現の入り口に立つことができるだろう。
しかし、親からしてみれば、遊んでいるようにしか見えない課題だな。


1/100 ダブルオーライザー

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HG 1/144 GN-0000 ダブルオーガンダム (機動戦士ガンダム00)

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