はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

橋を横切る船


大きなものが動くことは、それだけで楽しくなる。ふだん動かないはずのものであればなおさらだ。
エラスムス橋の見えるカフェでお昼を食べ終わって移動しはじめると、橋の方からブザーのような音が聞こえてきた。橋面を見ると、遮断機が下りてきたではないか。絶妙なタイミングで船が現れてくれたようだ。そそくさと橋のたもとに行き、わくわくしながらその時を待った。
程なくして、静かに桁が跳ね上がりはじめた。そのスピードは動いていることがはっきりとわかるほどに意外と速く、みるみるうちに桁が屹立していった。そして80度くらいだろうか、直角にはならない微妙な角度で停止した。その後、上流側で待機していた背の高いクレーン船がゆっくり下ってきて、橋があったところを悠然と通り過ぎていった。
これはなかなか見応えのある光景だったよ。滅多に見られないものを見ることができると、かなり得した気分になるね。