はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

過激な自由


アムステルダム中央駅から東へバスに揺られて約15分、十数年前に行われた湾岸地区の再開発を見に行ってきた。デザインが適度にコントロールされた長屋群による街並みも面白かったのだが、圧巻はボルネオ埠頭とスポーレンブルグ埠頭を結ぶ奇妙な赤い歩道橋。実物を目の当たりにして、とにかく衝撃を受けた。正直なところ、笑うことしかできなかった。
諸制約条件からの工学的アプローチは微塵も感じられず、ひたすら造形からのアプローチのみ。冗談からはじめたイロモノを高いクオリティで完成させる、つまり本気でやる渾身のギャグ。僕は橋のデザインには力学的な合理性が不可欠であると信じているのだが、そんなことはただの思い込みに過ぎないとあっさり否定されたような、そんな気分だ。
オランダという国は、自由で寛容で大胆で滑稽なのだと再認識したよ。