はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

治水テーマパーク


オランダに来る機会があれば、ぜひ訪れていただきたい場所がある。それは、東スヘルデ防潮水門に併設されている、水にまつわるテーマパークのDeltapark Neeltje Jans。
公式ホームページをご覧になっていただくと感じられると思うが、バブル景気の頃に日本でも流行ったテーマパークにあるような、いろいろとっちらかった微妙な香りがそこはかとなく漂っている。しかも、入場料は一人あたり16ユーロと結構お高め。車で行くとさらに6.5ユーロの駐車料金も徴収されてしまう。交通アクセスも決して良いとは言えず、ロッテルダムから車かバスで1時間半程度かかる。でも、人によってはチューリップや風車を見ること以上に価値のある、非常に思い出深い貴重な体験が得られる。なにしろこの施設に入場すれば、東スヘルデ防潮水門の内部を見ることができるのだ。
信じがたいことに道路橋であるPC箱桁の内部を歩いて渡り、ジョイントの隙間からひょっこり外部に出ると、そこはめくるめく水門の目の前。興奮しすぎてなにをしていいのか全くわからなくなり、おろおろしてしまう。この見学コースは結構な延長があるのに、なんのセキュリティーチェックも目立った監視もなく、かなり自由に動き回ることができる。ここまで見せちゃってもいいのかと思うほど、なにかと成熟した振る舞いをしてくる。これも大人の余裕ってやつだね。
ともかく、この閑散としたテーマパークでは、国土を人工的に造りだして守ってきたオランダの本質のひとつを垣間見ることができるよ。ぜひ訪れていただきたいな。