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はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

金持ちの国のスリバチ


ベルギー、ドイツ、フランスに囲まれた神奈川県ほどの大きさのルクセンブルク大公国は、ガイドブックにもたいして情報が載っていないマイナーな小国だ。グーグルパブリックデータによると、総人口はおよそ50万人。神奈川県のおよそ900万人と比べると、いかにも少ない。それにもかかわらず、ベルギー(およそ1080万人)、オランダ(およそ1650万人)と合わせた3つの国の呼称である「ベネルクス」のうち、3文字も占有している。なんて横暴な国なんだろうと思ってウィキペディアを見てみたら、なんと1人当たりのGDPが世界1位なのだという。
それを支えているのは、欧州の金融センターとしての地位。かつては地方の貧しい農業国だったが、鉄鋼業で財政の基盤をつくった後に、産業構造を金融サービスに転換して成功したらしい。低い税率のおかげで世界中の大企業や投資マネーが集まっているのだそうな。しかもその富は一部の金持ちが占有しているわけではないため、国民の経済格差は小さく失業率も低いという。
世界1位の余裕は、いろんなところで感じ取れる。たとえば、高速道路の維持管理レベルが隣国と比べてあからさまに高い。舗装のグレードが明らかに違うし、落下物も少ないし、道路照明も十分だし、サービスエリアの質も高い。おまけにガソリン代もかなり安い。オランダだと現在1リットルあたりおよそ1.7ユーロもするのだが、ルクセンブルクだと1リットルあたりおよそ1.3ユーロ。ガソリンを消費してでも給油しに行きたくなる価格差だ。あと、街がきれい。ゴミは落ちていないし、落書きは少ない。それに市内地図が無料でもらえるのもうれしいね。
そんなルクセンブルク大公国の首都であるルクセンブルク市には、オランダでは考えられない豊かな起伏があって、とても楽しめる。市内のど真ん中でこれだけの高低差があるスリバチを拝めることは、地形マニアにはたまらないだろう。もともと城塞都市なので、史跡を利用した見晴らしの良い展望台があちこちにあって、眺望マニアや高所マニアも大満足だろう。特に舌状に突き出した高台にある「ボックの砲台」という要塞跡では、空中洞窟探検という不思議な体験ができ、城址マニアや地下マニアには必須の場所だろう。
なかなか日本からルクセンブルクへ旅行に行こうとはならないけれど、欧州に長逗留する人であれば訪れる価値はある国だと思う。もちろんマニアでなくとも。先ほどはマイナーとか横暴とか言ってすいませんでした。