はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

結構古い少数主桁


ベルギーのリェージュからE25(A26)で南へおよそ30km下ったところに架かるSécheval高架橋。この端正な橋の特徴は、主桁が2つと少ない上に、横構や対傾構といった細かい部材がなく、かなりシンプルに成り立っているということ。
これは少数主桁橋といって、通常の多主桁橋に比べて部材や継手箇所や表面積が少ないことから、製作や施工の手間が省けて維持管理でも有利になるという優れもの。もちろんそれに伴って、床版の剛性は高いものにしなければならないのだけど。
たしか日本では、北海道のホロナイ川橋が少数主桁橋の最初だったように記憶している。僕が札幌の建設コンサルタントに入社した当時に、日本道路公団の方に連れられて現場見学させていただいたので、おそらく1995年頃の竣工だと思う。なんでこんなことを思い出したかというと、このツイッターのまとめ(1995年、どんな風に暮らしてました? #life1995)を見た影響で。これ、いろいろと示唆に富んでいる面白いネタが転がっているから見てみてね。
話を写真のSécheval高架橋に戻すと、こちらは1979年の竣工だという。欧州ではかなり前から少数主桁橋に取り組んでいたようなので、この橋が設計された頃にはすでに一般的な技術になっていたのだと思われる。かたちのまとめ方とか、こなれている感じがするもんね。
日本は慣習的に単純な実績主義から抜け出せない面があるので、新しい取り組みに対する動きはどうしても遅くなる。かつて発注者様からよく言われたもんな、「事例を示してくれ」と。明確に意図していなくても、デザインにはオリジナリティが必要なので、そのたびにじりじりした気分になったことを思い出した。