はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

ひまわりの種がある空間


中国の有名アーティストである艾未未(アイ・ウェイウェイ)が、4月の頭に中国公安当局に拘束された。どうやら脱税の容疑ということらしいのだが、これまで政府を批判してきた人物であるだけに、真相はわからない。先月ロンドンに行ったとき、たまたまラッキーなことに、テート・モダンで展示されていた氏の作品を見ることができた。
この作品はひとつひとつ手作業でつくられた磁器製のひまわりの種を、1億個以上使ってホールの床に敷き詰めたというもの。いやものすごいパワーを感じたよ。こんなことは間違いなく中国にしかできないよね。当初はこの上を自由に歩いて手にとって体験することができたのだけど、粉塵が舞い上がる問題が起こって見るだけになってしまったとのこと。残念だけど仕方ないね。
これほど壮大な作品を受け止めているのは、もともとは発電所のタービン建屋。このホールの空間の力があってはじめて、作品との絶妙なバランスが成立している。テート・モダンはヘルツォーク&ド・ムーロンが改修の設計を行った。何層にも渡る作品展示フロアだけでなく、1階のミュージアムショップや6階のレストランなど、非常に居心地のよい空間が作られていて、何度も出たり入ったりして、朝から晩までかなり長時間楽しませてもらった。入場無料ということも素晴らしいね、ちゃんとドネーションをしたくなるもの。