はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

ブンカー美術館


今回のベルリン訪問の中で、最も感激したのがSAMMLUNG BOROSという2008年にできた現代アートの美術館。Bunkerというコンクリートの要塞?防空壕?トーチカ?をリノベーションしたもの。外壁の厚さはなんと1.8mという、なんともばかばかしい元軍事施設。最大収容人数は3,000人だそうな。外壁に小さい四角い穴が並んでいるが、窓ではないよ。
ここがオープンしているのは金土日のみ。閲覧は要事前予約のガイドツアー(1回につき12人まで)にて。ガイドはドイツ語のみ。入場料はベルリンにしては少々お高い10ユーロ。残念ながら内部は撮影禁止。なんだか妙にお高くとまっていて、なにかと謎めいた美術館だ。
どうやらChristian Borosという美術収集家が個人的にBunkerを買い取って、自分のコレクションのための展示スペースに改装し、それを公開しているらしい。アーティストと建築家と綿密に話し合って不要な天井や壁を大胆に取り払い、空間をそれぞれの作品に最適化しているようだ。しかも、Boros本人は最上階にハイパーモダンな住居をつくってしまい、実際に住んでいるんだとか。いやはや、桁違いのセレブリティっぷり。
この展示は腰を抜かすほど素晴らしかった。極めてレベルの高い(と思われる)作品と黒歴史の重みを持つ特殊な空間が渾然一体となって、これまで(アートでは)経験したことがないほど興奮したよ。アート好きや建築好きや歴史好きだけでなく、コンクリート好き、壁好き、廃墟好き、軍事好きなども行くべきだと思う。
こちらの建築事務所のページ(REALARCHITEKTUR)でリノベーションの経緯や一部の作品と住居スペースの写真を見ることができる。簡単な概要はこちらのベルリン観光ガイド(Visit Berlin)をどうぞ。