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はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

念願のサーベイ

橋梁 形態


セーヌ川の河口を跨ぐノルマンディー橋が供用したのは、1995年のこと。個人的な話で恐縮だが、この年は僕がデザインの修士を修了し、土木の設計会社に就職した年でもあるので、この橋のことがとても印象に残っており、いつか現地に見に行ってみたいとずっと思っていた。入社当時はバブルがはじけていたとは言え、まだまだ長大橋へのあこがれや夢がそこはなとなくあったからね。今回、パリに行く用事に強引に絡めて、ノルマンディー橋サーベイが実現することになった。
橋長は2,141m、最大支間長は856m、桁は中央径間の一部が鋼箱桁でその他区間がPC箱桁のハイブリッド形式になっている。高さ215mの良く造形されたスレンダーな逆Y字タワー、長い中央径間、シャープなラインを描く薄い箱桁とのバランスは現代的に洗練されたものなのだが、どこからどうやって眺めても、どうも腑に落ちない点がある。素直に素敵だと思えないのだ。
それは、高低差がおよそ60mもある強引な縦断線形に起因しているだろうことは、想像に難くない。路面はほぼ0mの位置から一気に約60mの高さまで上がるのだ。その結果、桁の描くラインはまるでアーチリブのようなラインを描き、主張の強い造形要素として加わっている。たとえば、同じような規模の斜張橋である多々良大橋と比べてみると、縦断線形には極端な変化はつけられておらず、水平の桁と垂直の主塔が安定感のある構図を生み出していることが理解できる。
というわけで、せっかく見に行ってきたにもかかわらず、手放しで脳天気によろこぶことができなかったわけだが、そのことも含めて、ようやく念願が叶ったという気分だ。めでたし。