はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

真っ直ぐではない塔


バルセロナのモンジュイックの丘にあるカラトラバがデザインした通信塔。これが、想像以上にさわやかなかっこよさだった。
カタルーニャの突き抜けた青空のせいなのか、オリンピック会場のばかばかしいほどの空虚感とのマッチングに感激したせいなのか、前日からこってり見てきたガウディの壮絶なテイストに疲れてきたせいなのか、直前に見たミース・ファン・デル・ローエの本家モダニズムパビリオンの研ぎ澄まされた空間を見て「いまさらシンプルなんてコンセプトにもなりゃしないよ」なんて反省してしまったせいなのか、ともかくまあ、かなりかっこいいと思ってしまったわけだ。
緊張感とバランスの卓越した彫刻的通信塔は、写真などで昔から見慣れていたにもかかわらず、とても新鮮で未来的な印象を受けた。そのスケール感や周辺環境や土地の文脈などを実際に体験できて、気分的に非常にすっきりした。要するに、カラトラバ作品の中でも好きな方だということがわかったわけだ。