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はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

高級健康ランド


人口わずか1000人のスイスのヴァルス村にある温泉保養施設「テルメ・ヴァルス」は、ピーター・ズントー(Peter Zumthor)が大規模に改築を行ったデザイナーズ健康ランド。現地産の石材を丁寧に積層させてできた空間はミニマルで、重厚で、神々しく、心の底からかっこいいと感じた。素材と光を巧みに使った各種スパは、質の高い癒しを目指すコンセプトをそこかしこから感じとれるようになってくる。ただし、システムや全体像を理解していない初回はかなり緊張するので、癒しどころではないよ。2度3度と慣れてきてから、ようやく落ち着いて緻密な空間と対峙できるようになる。
僕はここに2泊した。客船の船室をモチーフにしたと思われる部屋はとてもいい雰囲気と眺望だったけど、残念ながらズントーが手がけたものではない。ズントー棟の部屋はとてもお高いので、まったく手が出せなかったのだ。ところが建築学生らしき日本人の男女4人組がズントー棟に泊まっていたことに、軽い嫉妬を憶えた。彼らは一体いくら出したのだろう。すごい向学心だとは思うけど、それだけの資金があればほかにやることもあるんじゃないかねえ。いや、ただのねたみなのだが。
スイスの旅は秘境にあるダムや橋ばかり行っていたせいか、ほとんどアジア人を見ることはなかったのだけど、ヴァルス村では多くの中国人、韓国人、日本人に遭遇した。土木に比べて建築はメジャーであることを実感したな。