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はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

水中と空中と地中のあいだ

先日、宮ヶ瀬ダムの点検に同行する機会をいただき、奇跡の空間を体験させていただいた。宮ヶ瀬ダムとは、神奈川県を流れる相模川水系中津川にあり、堤高156m、堤頂長約400mという首都圏最大の重力式コンクリートダムだ。
今回訪れたのは、堤体のてっぺんにある「天端側水路」という場所。台風や大雨などによる洪水でダム湖の水位が急上昇した場合に、写真右側から越流し、ここを通って左側の非常用の洪水吐から放流される。写真の右側上部の開口部ぎりぎりまでダムの湖水があり、左側は高さ100m以上の空中に位置していて、堤頂の管理用通路の直下という、なんとも不思議な位置にある空間なのだ。
ここは人間がいる場所ではない、神がいる場所だ、などと思ってしまうほど圧倒的な空間。ヨーロッパでたくさん見てきた大聖堂の内部空間なんかもすごいと思ったけど、あれは来訪者にそう感じさせるためにわざわざしつらえたもの。こちらにはそんな意図などまったくなく、自然の摂理に対抗せざるを得ない人間の社会を守るために結果的に生まれたもの。アプローチが全く違うのに、同じような畏敬の念を抱くってのも面白いもんだね。