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はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

色のサンプリング


もともと僕にとって写真を撮ることは、対象となるモノや空間の様子を資料として記録するためである。フィルムカメラのころは、メカとしてのカメラは大好きだったものの、写真そのものは被写体が写っていればいいという程度の認識だった。
ここ10年ほどのデジタル技術の躍進によって、腕や知識がなくても見たままの様子を細密に写し取ることができるようになった。撮影に関わるコストがぐんと下がったことで写真がお気楽なものとなり、インターネットにより公開性がこれまでにないほど高まった。こうした環境の変化で、僕も多少は人に写真を見せることを意識するようになった。つまり、かっこつけたがるようになったわけだ。
しかし僕はまだ写真を「表現」のツールとして位置づけるには至っていない。なにしろ写真で「表現」したいことなど、特にないものね。というか「表現」ってなに?というレベルだ。
一方、最近のデジタルカメラには、お手軽にアーティスティックな表現ができるフィルター機能がついている。僕が使っているカメラにもたくさんあるのだけど、上記のことからほとんど使ったことがなかった。しかし先日、ほんの思いつきで、彩度のレベルを異常に上げるフィルターを使って石油化学工場のプラントを撮ってみた。
これがなかなか楽しい。雨混じりの曇天にもかかわらず、緑のフレームや足場、黄色の手すり、赤の消防設備、水色の継ぎ手などが極めて鮮やかに浮かび上がってきた。ポップなプラントは、かなりキュートだね。いまさらだけど、新たな発見だよ。
プラントの塗装色は企業によって異なるという話を聞いたことがある。これから様々な企業のプラントをこのフィルターを使って色彩のサンプリングを行い、それをずらっと並べて、この会社はセンスがあるねとか、ちょっとフレンチテイストだねとか、にやけながらカラーコーディネートについて考えてみたいな。