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はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

時空を越えるコンクリート塔

塔楼 素材


複雑で繊細で豊かな表情を持つ長崎の海岸風景の中に、3本のコンクリート塔がそびえ立っている。その眺めはあまりに異様だ。極限までミニマルで常軌を逸脱したスケールのコンクリート塔がある風景は、リアルなシュールレアリズム。そこにいても夢を見ているような気分になり、クラクラするよ。
この塔はもともと旧海軍の通信施設だったのだが、今は通信設備も展望設備もなにもない「純粋な」塔として存在している。高さは135〜137m、底部の直径は12m、つくられたのはなんと90年前の1922(大正11)年。
長い年月にわたって放置されているにも関わらず、劣化や荒廃を一切感じないコンクリートのクオリティにはびびった。縦に組まれた小幅板の型枠が絶妙な陰影とテクスチャーを生み出していて、いっそう現実感を喪失させている。やはり技術の粋を結集して丁寧につくられたものに特有の、神がかったオーラを身にまとっている構造物だ。この貴重な宝物は、末永く大事にしていかなければね。
なお、この連休を利用して行ってきた九州調査旅行は、この塔に導かれたものに違いない。8月にこちらの記事(デイリーポータルZ:針尾の無線塔がやばすぎる)を読んで居ても立ってもいられなくなっていた状況で、すぐ近くにある西海橋を見に行く必要が生じた(というかそうすることに決めた)のだ。そして無理矢理にスケジュールを組んで現地に乗り込んだわけだ。実際に見てみて、そうするだけの価値が十分にあったことを実感したよ。すぐ近くにあるハウステンボスは車中からチラ見しただけだったことが心残りだ。山のあるオランダという、強烈なイミテーションの町を体験したかったのだが。
塔の詳細についてはこちらの記事(建築マップ[針尾送信所無線塔])が最もよくまとまっていると思うので、じっくり参照して現地に赴いていただきたい。