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はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

砂防の十種盛り合わせ


先月の前半、長野県小谷(おたり)村で開催された「ドボクアート砂防ダム巡りバスツアー」に参加した。これがとんでもなくキレキレのツアーでびびった。ここでしか体験できないというご当地プレミア感が満載で、すっかり興奮しまくり。そのツアーの模様は、偶然一緒に参加したダムの萩原さんの記事(デイリーポータルZ:砂防ダムだけめぐるバスツアー)を参照してください。
砂防施設って山に行けばどこにでもあるように感じるけど、じっくり体験することはあまりないよね。たいてい道路から見える範囲だけをチラリと横目で確認するだけにとどめてしまうよね。そもそもごく一般の人は、その存在すら意識していないよね。ところが専門的な知識と実物に触れる体験をセットで提供されると、面白いのなんのって。自然災害が多発する日本において、土砂災害への対応の現状を体験的に理解しておく経験は、もっと一般化してもいいよねえとあらためて感じた次第。
砂防堰堤の設計の世界には、その現場の環境条件に最適化するための応急処置的な対応を常に繰り返しているためか、様々な実験的試みが入り込みやすいように感じた。つまり、設計者の設計思想が極めて重要なポイントになっているようなのだ。解説をしてくださった県(?)のOBの方も、「担当者に聞いてみないと、なんでこうしたのかわからない」と頻繁におっしゃっていたし。
そして、ツアーで見た砂防堰堤のバリエーションの豊かさには、腰を抜かした。こんなラインナップを10種も揃えたコーディネーターの手腕と小谷村の砂防ポテンシャルがすごい。これらが整備されるきっかけとなった1995年の災害時の時代背景に加え、冬期オリンピック直前の長野という事情もあるのだろうけど。ともかくこれらを見せる順番も緻密に組み立てられていた。どんな専門家が関わってコーディネートしているのか、ぜひ詳細な話を伺いたいな。このむちゃくちゃとも言える企画を実現した役場の体制も気になるし。
最後を大規模崩壊地で締めくくることによって、不思議な余韻が生まれた。見た目や技術力にただただ興奮するだけでなく、それがどうして必要なのかという現実をまざまざと突きつけられる。エンタテイメントを入り口にした、極めて重厚で濃厚なツアーだった。満腹感が半端ないよ。
来年もぜひ開催していただきたいな。関東からは現地に行くまでが少々たいへんだけど、多くの方に参加していただきたいな。僕もまた行きたいな。