アムステルダムの造船所跡地に、かつてはクレーンが載せられていた全長270mのコンクリートのフレームが残されていた。これまでもオランダ人のすさまじいリノベーションマインドを数多く見てきたが(たとえば、飛行機に泊まる、クレーンに泊まる、毒虫の部屋、船のホテル、時の刻み方、アムステルダムのゆがみ、など)、それはここでも遺憾なく発揮されていた。クレーンに替わって、異様に横長のオフィスビル「Kraanspoor」が載せられているのだ。さすがに荷重条件が厳しいようで、いかにも軽量感のある鉄とガラスで構成されており、浮遊感さえ覚える。
あまりにもすてきな解決方法に、ただでさえ大笑いしたくなるところなのだが、目の前に設置されているベンチを見て、本気で吹き出してしまった。いったいどこの誰が使うというのだ、この長さ。いつものことながら、ダッチデザインのばかばかしさは、清々しいね。