はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

竪坑の内臓

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マーストリヒトにほど近いベルギーのヘンクという街に、「C-mine」という炭鉱跡をリノベーションした施設がある。ここの情報はネットでちらほら見かけていたのだけど、具体的にどんな施設なんだかよくわかっていなかった。タービン建屋のチケット売り場でいろいろ尋ねてようやく全体像を把握し、指定されたコースを一通り巡ってから「アミューズメント系」の施設であることをようやく理解した。

オリジナルに近い雰囲気を保っているゾーンもあるが、SFチックに浮遊する囲いのあるディスプレイ、床が斜めになっていて平衡感覚を失うゾーン、つっかえ棒が過剰な密度で林立しているゾーン、プレキャスト床版や白いラチスに囲まれたメッシュによるステキな螺旋階段で登る竪坑櫓、光が走る演出がなされた五角形断面のゾーン、臭いを風船に詰めて持ち帰ることができるアトラクションなど、下世話とも思える演出が多数ある。でも、そんなに嫌味はない。こどもたちは大はしゃぎだったよ。

上の写真は竪坑のシャフトを地下から見上げたもの。実際はもっともっと暗いため、これほど鮮烈な赤で塗られていることは、なかなか認識できなかった。

これまで様々な元炭鉱施設の利活用事例(しめたん私的ドボク大賞2012肥大化した蚊巨大重機祭りツォルフェアアインの多様性おしゃれ炭鉱、など)を見てきたけど、「C-mine」のような「アミューズメント」の切り口もアリだなと感じた次第。過去へのリスペクトがしっかりキープされているために、いろいろ演出の手が加わっていてもチャラさを感じることなく、バランスよく成り立っているんだろうね。