はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

謎の塔

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佐倉市の丘の上にある「羽鳥調圧塔」を知ったのは、友人のツイートがきっかけだった。こんなすごいものが身近にあることをなんで僕は今まで知らなかったのか!と焦ったが、落ち着いて考えてみると、20年ほど前からその存在を認識していたことを思い出した。その当時、佐倉には車で頻繁に行っていたので、この塔の頂部は「視界に入っていた」のである。しかし「見ていなかった」のだ。結局、若い頃の自分の不明を大いに反省して悔やんだ。そして、最近になって佐倉に行く用事ができたため、ようやく立ち寄ってみた。

夕暮れの曇天に浮かび上がる鮮やかなブルーの双曲面構造“風”の塔。幾重にも取り囲むリング状の点検歩廊と螺旋状に絡みつく階段。いやはやこれはすごい、聞きしに勝る迫力だね。しかし、そもそも「調圧塔」とはなんなのか、なんでこんな形状なのか、なんで高台にあるのかなど、謎がふつふつと湧き出てきた。後日、隙間を見つけてはちょこちょことネットで調べたのだが、印旛沼の水を京葉臨海コンビナートに工業用水として引っ張るための施設であることはわかっても、なかなか核心に迫る情報が得られず、悶々としながらゆっくりと記憶の底に沈降し始めていた。

つい先ほど、別件で「土木用語大辞典」と「土木工学ハンドブック」を引っ張り出して調べ物をしていたところ、ふとこの塔のことを思い出して、うっかり調べてしまった。本来やるべき急ぎの仕事をほったらかして。それでもまだ核心に迫ってはいないのだけど、忘れる前に取り急ぎメモだけは残しておくね。

たとえば、「調圧塔」と呼ばれているが、実は「調圧水槽」つまり「サージタンク」という施設らしいこと。「自由水面」を持つ水槽によって、地下に敷設された水圧管?導水トンネル?にかかる急激な負荷を逃がす装置らしい(橋梁で言うところの伸縮装置みたいなものなのか?)こと。その負荷とは「サージング」「ウォーターハンマー(水撃圧)」というやたらかっこいい言葉で示されていること。などなど。

ははあ、なるほど。パイプの中の水って空気のような弾力がなく、「固い」んだろうなあ。もろに力が伝わるので、完全密閉されているとたいへんなことになるんだろうなあ。高台にあるってことは、できるだけ長い方が変動幅が大きいために機能的に優れるってことなんだろうなあ。というところまでは、うっすら察することができた。

しかし、この双曲面構造“風”フォルムになる理由はさっぱりわからない。「槽」でなく「塔」の理由もわからない。点検足場を何重にも設定して厳重に管理している理由もわからない。あとこの鮮やかな色の理由もわからない。結局謎が謎を呼んでしまった格好だ。どなたか簡単に教えていただけないかなあ。