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はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

私的ドボク大賞2014

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今年もいよいよ暮れてきた。第6回目となる『私的ドボク大賞』の選考を行おう。これは僕がその年に体験したドボク的ネタを振り返り、自分が最も感激したものを選定するという、誰も共感できないアワードである。ところが今回は、例年以上にレベルが高く、かつ、エントリー数が多いため、ノミネートの時点ですでに難航した。たいへん困ったので、元日からのアルバムを見ながら受賞にふさわしいと考えられる候補をシビアに選別して、それらをツイッターで連続的につぶやき、まとめサイトを利用して一覧することにした。

『私的ドボク大賞2014』ノミネート作品一覧 - Togetterまとめ

これらをじっくり眺めることで、心を引き裂かれながらも、なんとか以下の11の候補にノミネート作品を絞り込んだ。11ってずいぶん中途半端な数だけど。

 

1:ローゼンブルグ・ウインド・ウォール|ユーロポートの運河にある半円筒コンクリートが連担する防風壁。これほどクールで違和感のある風景を意図的に創出したことは、賞賛に値する]

2:ハーバー・クレーン・ホテル|港湾のクレーンを改装してしまった、あまりにもバカっぽいホテル。クレーン全体を自分で動かせたり、朝食がリフトで運ばれたり、とにかく楽しすぎて困る]

3:内川のダンメン|富山県射水市の内川地区に数多く点在している「ダンメン」。隣接する建物が取り壊されたときに生じる壁面の様子が、あまりにも素晴らしく愛おしい【追記:2015.1.2 遅ればせながら記事をアップしました】]

 

4:遊子水荷浦の段畑|平地が極めて少ない急峻な岬の輪郭が、江戸時代から続く石垣コンターによって可視化されている。この文化的景観と地元の方々の優しさに、心から感動した]

5:立山カルデラ|100年前から延々と続けられている崩壊地との戦いの現場に、特別に潜入させていただいた。白岩砂防堰堤をはじめとする様々な砂防施設、18連スイッチバックのトロッコ、夏限定の幻の村など、見どころ満載。地球という天体の営みに小さな人類が必死に食らいついていることが、ひしひしと実感できる現場だった

6:OHYA UNDEGROUND|採石場の跡地にできた地底湖に、ゴムボートで潜入するというコンテンツも素晴らしいが、ツアーとしての質感が極めて高い。これからのインフラツーリズムが備えるべきひとつの方向性を、明確に示している]

7:常願寺川の治水利水施設群|世界屈指の急流河川を通じて、「水」を畏れ敬ってきた地域文化を濃密に感じ取ることができる。砂防堰堤、床固工、水制工、頭首工、分水工、用水路などからなる。先の立山カルデラが源流のひとつである]

8:稲田石の露天掘り採掘場|様々な著名構造物に使用されてきた高級御影石を産出している現場を見学させていただいた。垂直に刻まれた壁面からなる巨大な穴の景観は、とにかく圧巻]

9:シンガポールのコンテナターミナル|世界の物流の要となっているハブ港は、様々な場所から眺めることができる。タイムラプス動画でその様子を捉えると、絶妙なアルゴリズムを人海戦術でこなしていることがよくわかる]

10:シンガポールの団地群|超高密度都市の集合住宅はすごいことになっている。多種多様な高層団地群の景観は、見ていて飽きない]

11:曽木の滝分水路|川内川激甚災害対策特別緊急事業として、岩山をばっくり切り取った分水路。ものすごく大胆なことを、ものすごく丁寧にやっていて、もはや自然の領域に行ってしまったのではと思わせる、ものすごい土木事業]

 

 

いやあ、これはまいったね。5つくらいに絞ろうと思ったのに、11ですってよ。ここから1つ選ぶのか。毎年のことながら、まいったね。しかし、ここはビシッと決めよう。

よしっ!『7:常願寺川の治水・利水施設群が今年の大賞だっ!!

 

決め手となったのは、昨年後半から上流域も下流域も含めて何度も現地を訪れて、地域文化や治水・利水システムを体験的かつ多角的に理解してきたこと。それは、一度見ただけでは到達できない領域があって、そこが評価ポイントになったってことだよね。つまり、ずるいってことだな。

それと、最後まで大賞を争った「立山カルデラ」や「稲田石採掘場」はおいそれと見に行くことができないという点で、若干不利になったね。それと「コンテナターミナル」も、今年でなければ大賞の可能性が高かったね。

以上のように、今年のドボク鑑賞は個人的な旅行以外にも取材やら調査やらが重なったために、極めて充実したものになった。来年はもう少し落ち着いたものになると予想されるので、ひとつひとつの対象をより丁寧に深くマニアックに鑑賞しようと思う。

今年はこれまで以上に多くの方に見ていただき、まことにありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いします。